伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

いわき市議会から東京電力に申し入れ書提出

2017年08月24日 | 市議会
 いわき市議会は、復興創生特別委員会が、この間、東電福島第一原子力発電所の視察などの調査活動等を踏まえて議論し、各会派の賛同のもとにまとめた申し入れ書を、東京電力ホールディングス株式会社に提出しました。いわき市議会からは正副議長と特別委員会正副委員長及び、各派の代表が出席。同社福島復興本社の新妻常正副代表らがいわき市議会に来所しました。



 議長は、要望の確実な履行を求めましたが、復興本社の新妻副代表は、「市民のみなさんに心配をかけ、不安を与え、また迷惑をかけたことにお詫びしたい」としながら、「要望を持ち帰り検討させていただきたい」としました。

 その後、出席者からの質疑応答の時間がとられ、私は、(1)第二原発の廃炉を判断するために必要だと考えている要件、(2)柏崎刈羽原発の再稼働に関して原子力規制委員会の求めに対する東電の回答で福島第一原発の汚染す処分策を示さなかったという報道を受けてのもので、この東電の対応はトリチウムの海洋放出は視野に入れているからではないかという点、(3)情報提供に関する問題が発覚するたびに「福島県民の心に寄り添うことができなかった」など同じコメントを繰り返していることに東電の反省がないことが表れているのではないか――などといった点についてただしました。



 (1)の点では、廃炉判断の要素の一つに廃炉を求める県民の声とともに、事業者としての要件も含まれるとしました。廃炉を求める県民の声がある中で、廃炉を明確にしない東電の姿勢は、結局、県民の声より事業者としての要件を優先しているからにほかなりません。この点を指摘しても、やり取りは平行線になるんですが、やはり、そこに問題があるんだろうな、と思います。

 (2)の点については、新聞で報道されている内容は社内で共有されておらず、どこからその報道が来たのか分からないというもので、回答は避けていました。

 この問題では、トリチウムの海洋放出が、風評被害の拡大につながるという点もあり問題が大きいのですが、東電や国がトリチウム水の海洋放出を検討するのも、水として存在するトリチウム(三重水素)の毒性が低いと考えられていることに加え、他の核種もそうですが、原発を運転する過程では放射性物質が一定量原発外に放出されており、トリチウムに関して言えば、事故前の第一原発で、年間、海洋に2兆ベクレル、大気に2兆ベクレル、合計4兆ベクレルが放出されていました。管理上の目標値としては22兆ベクレルでしたが、長年、放出されていても問題がなかったでしょう、という思いがあることは間違いありません。

 原発が稼働されてきた地域では、大なり小なり、そういう事実があるということです。ならばそのことを国民的に公表して、“みなさん、これまで放出していても、問題がなかったんですよ”と説明すればいいだけの話です。

 新妻副代表は、「事実の問題として公表していくことはしなければならないと思う」と述べていましたが、おそらくできないでしょう。

 この事実がどれだけの国民に共有されているかというと、まぁー、あまり共有されていないと考えた方が良いと思うからです。私自身、原発事故後にあった一つの報道でその事実を知ったという実態でしたから。

 もし、この核種は年間にこれだけの量が環境に放出されています、といったら、原発の再稼働反対の世論に油を注ぐようなものになるでしょうから。

 でも、被災地の風評被害ということを考えれば、県内にこの事実を流すだけでなく、県外、全国的にこの事実を知らせることに、東電も、国も積極的に力を尽くすべきと思います。



 また、(3)については改善のために努力してきたということです。情報の正確性と迅速性をはかりかけるとすれば、住民にとっては自分の安全を守るための行動をとれるかどうかが問題になるので、正確性よりも迅速性が求められていると思います。こうした点にはしっかり留意していただきながら、改善のための努力をとってほしいものです。


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