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ひろさわの人生ダメ詰まり--No Liberty--

現在アニメ「山月記」を制作中です。囲碁もゲームもご無沙汰です。

アテルイ伝・最終回の感想

2013-04-30 09:51:04 | 日記
ついに最終回の感想か・・・
なんで2か月もかかってしまったんだろう・・・
まあその間に、原作の「火怨」を読んだり、坂上田村麻呂の伝記を買ったり・・・
ついには、続日本紀(しょくにほんぎ)と日本後紀を借りてきてしまった。
今作ってるアニメには関係ないのに、(弓部分は参考になる)つい深入りしすぎてしまいました。
原作と歴史とドラマの比較をしたり、絵を描いたりと、
いろいろまだまだこの世界で遊べそうだけど、
この感想書いたら、いったんアテルイから足を洗おう・・・

以下↓、若干原作の内容について述べているところがあります。




まずアバンで前回のダイジェストからスタート。
志和のワヌシコを弓で射殺すアテルイ!!!!
って、あれ?
なんか気を抜いてちょっとよそ見したら、そんなふうに見えた・・・
で、前回のダイジェストかと思ってたら・・・
「その(=延暦8年、5万の大軍を打ち破った戦いの)5年後、ヤマトは10万の大軍をまた東北におくりこんできたのす」

・・・ナレーションで5年たってしまって(いやその5年にお兄さんが暗殺者としておくられてきたりしたんだろうけど)、
テーマ曲終わったらいきなり戦ってるよ、しかもいきなり胆沢に本営作られてるし!
あんまし言いたくないけど、総集編みたいじゃねえか!!

・・・ちょっと混乱してきたので年表にしてみる。

ドラマ第1回
宝亀11年(780年)
伊治のアザ麻呂叛す
ちなみに歴史ではタムリン(=坂上田村麻呂)23才。
原作なら「宿命」の章あたり。

ドラマ第2回は、
原作「挑戦」「震動」あたり・・・かな。
下巻の「宿敵」(平安京に行く)展開も先取りしてますな。
仲間をまとめて戦闘訓練、また製鉄の延手を仲間に引き入れたりするところ。
原作の(訓練を兼ねた)戦闘シーンはドラマには無かったか。

ドラマ第3回
延暦8年(789年)
紀古佐美 5万の大軍を率いる(多賀で指示与えただけか)が、エミシに負ける。
ちなみにタムリン31才。
原作だと「雷火」の章。アテルイ27才ぐらいかな?
文庫本だと上巻が終わり下巻に入ります。


で、ドラマ第4回
原作の下巻「血闘」「黙示」「火怨」。文庫本で397ページあります。

○延暦13年(793年)
とりあえず、タモとか巣伏(北上川東側?)からは
弓隊が山の地形効果で攻撃力+2という感じの戦いで、ヤマト勢を追い払ったけど、
胆沢(北上川西側?)は奪われた・・・のかな。取り返したのだろうか。

・・・しかしなんということだ!
砦のネットワーク作ったり、準備したり、ものすごく苦労してた「血闘(221ページ)」が、ドラマでは、冒頭数分で終わり・・・
原作ではエミシ側が勝ってる感じなのだが、なんだろう、ドラマの敗北感・・・
いや、考古学的に砦の跡とか出てないだろうから、
ドラマのほうがそういう意味では正しいのだろうけど・・・

で、妹のアサトが記憶を取り戻す・・・のは良いのですが、
なんでヒコ兄のことは聞かないのだろうと疑問が・・・
このあたり、馬に蹴られた単なる記憶喪失じゃなくって、
やっぱり複雑な事情があったんだろうかと思わせます。
(複雑な・・・というのなら第2回でアザ麻呂の剣が「後ろ」から突き刺さっていた件。さすが脚本が火サスの人?)

○延暦14年(794年)
鳴くよウグイス平安京。
原作ではこの時、アテルイ様ご一行が都を見に行くのだが、ドラマでは第2回に。

で、アテルイの妻のカナさんが「もう終わりにできませぬか」と、例のセリフを・・・!!
暴れた挙句に最後は女のところに帰らせようとする、大河ではよくあるパターンですが・・・
以前、多賀城をアテルイが焼いたとき、「わーは誇りに思います」と言っていたアグレッシブなカナさんはどこに・・・
(私は、このセリフ、おお、いいな! と思っていたのですが・・・)

一方、平安京では、桓武天皇が、だんだん悪の帝王みたいになっていってるんだが・・・
「海の向こうの敵」って、この時代に敵がいたっけ・・・?
「策を変えるぅ?」というセリフがなんとなく大阪弁ぽかったが、よく考えると関西アクセントで問題ないのか・・・

○↓この辺から時間の経過が、ドラマ的にあいまい

タムリンは、餌をぶら下げた懐柔策を提案・・・って、
この人、第3回でアテルイを「内部から」暗殺しようとしたり、ろくなことせんな~
原作的には、「餌」などと言っている相手には、絶対に勝たせてはいけない、
また切り崩されてもいけなかったのですが・・・
(原作では、勝てない戦いをどのように引き分けに持ち込み、またいかにして終わらせるか--ネタバレにつき詳細は略--という感じだったんで・・・)

円心やってた渡辺TETSUさんが、多賀城でタムリンに情けなく降伏するのに泣ける・・・
原作ファンの怒りがちょいとわかった気がした。
年表に、
782年に 胆沢公・阿奴志己たちが、陸奥国司に帰服を願う
という記述があるので、それを影響させたのかな・・・
いや、歴史的にはこっちのほうが近いんだろうけどね・・・
田村麻呂は「なんじらの和賀も稗貫も安泰だ」と地名を言ってたんですね。
当初聞き取れなかった。

----というわけで、族長たちは会議の場に居なくなった。
この時アテルイが言ったセリフ、
「ヤマトについた族長たちをひとりひとり連れてきてむりやり戦わせるのか。それではヤマトと同じではないか」
・・・これがドラマのテーマ(その1)なんだと思う。

アテルイは、
津軽のイワキムレさんに、避難民の受け入れを求めに行き、
大伴すずさんには、津軽に荷を運ぶための馬を借りに行きます。
「ヤマトはわれのクニぞ。」(だからひどい目にあったとしても逆らわぬ)というすずに、
アテルイは「クニとはなんでしょうか。吾はただ、命あるものを尊び、いつくしむ。クニなど知りませぬ」と、返します。←ドラマのテーマ(その2)

製鉄の窯は壊しますが・・・なんとなく形が原発ぽく見えるのは気のせいか。

ここまで切り崩されてしまうと、すぐにアテルイ側は崩壊したような感じなのですが、
実はアテルイの最期は802年、
このドラマの第4回で11年も経ってるんすよね・・・

○たぶん延暦20年(801年)
わーは万策尽きたと(←ってそんなに策だしたっけ?)言いつつモレが最後に出したのは、
冬の間にクリコマ山に馬を移し、ヤマトの不意を衝く・・・という作戦。
(この時点ではたぶん801年)
村や作物の焼き討ちをとめる力も無く・・・
ついに胆沢に砦が建築されてしまいます。

胆沢の田村麻呂に「征夷大将軍」のテロップが!
いや、征夷大将軍はお兄さんのほうだろ、と思ったけど、
弟は高嶋弟のほうだった・・・
何のことかわからないと思いますが、
タムリン演じている人は太平記で足利直義(征夷大将軍・足利尊氏の弟)演じてたかと
一瞬勘違いしたということですな。
高嶋兄さんのほうは「利家とまつ」で徳川家康演じていらっしゃるので、確かに征夷大将軍。
ちなみに アテルイの大沢たかおさんのほうも「花の乱」で10代将軍・足利義材を演じていました・・・けど知られていないわな。


コテナが数騎だけ連れて、田村麻呂と弓矢の勝負!!
あっけなく一射づつで終了・・・
この時、コテナが右手に弓を持っていたことが考証的に面白いと思いますよ。
今の弓道には左利き用の弓の構え方がないからな・・・

で、田村麻呂が、山に 意 味 な く 火をかけます。
この時、山の焼ける音に、ヒトのうめき声みたいなのがMIXされている・・・特撮ホラーぽいな。
アテルイは「山に火を・・・・!!!」と、哭いて絶叫。
原作の「山なんて地形効果(これは言いすぎかな) 敵を倒すのに効果的なら山も焼く」(焼かんかったけど)というアテルイと違い、
こちらのアテルイは 山や川を大事にしてますね。下手すると人間以上に大事に・・・
それが、このドラマ独自のエンディングにつながるわけですが。

ええ、原作でも田村麻呂は山を焼いていますよ。
でも、ドラマのようなニュアンスでではない。
イメージ的に核兵器みたいじゃないですか、このドラマの焼き討ち。

で、征夷大将軍役者同士の戦いもあっさり終了!!

アテルイとモレは敗走します。
田村麻呂が、なぜか討ち取れたのに逃がすわけですよ。降伏させようと・・・
あんた首を桓武帝の前にもっていくんじゃなかったのか。
どこで心境の変化があったのか、人格がぶらぶらしているような気がする。
コテナの死にざまあたりからとも思えるんですが、はっきりわかる演技ではなかったですし。
田村麻呂いわく、「いきてエミシをたばね、われらにちからをかせ!」

逃げ延びて・・・静かな夜に、アテルイはモレに語ります。
「吾(わー)らは束ねたことが間違いだったとは思わぬか。ひとつにまとまらないものを、ひとつにまとめようとした。ヤマトのように」
「しかし、ほかにやりようがなかった」
「・・・そうだ・・・・・(天を仰いで)空の神様が笑っておるぞ、しょせん汝(なー)らは小さい。考えの浅い愚か者よと」↑ドラマのテーマ)(その3

○で、運命の延暦21年(802年)、
胆沢城が建築され始めたころ、アテルイ、モレは降伏します。
二人だけなのに、弓や刀が大量にあったのは、一緒にかなりの人数がついていったから。(のはず)
ここの会話がドラマのクライマックス。
ドラマ見て、風景きれいだったという感じではなく、このドラマがよかったといった人は、
多分、原発問題などで人間の限界を感じ、
それでこのあたりのセリフに共感しているのではないかな・・・

アテルイ「田村麻呂さま、間違ってもらっては困るが、吾らは決してヤマトに屈したわけではない。汝が山に火を放ち、森を焼き、その汝のおそろしい策をとめる手立てを知らぬゆえ。吾らが刀を捨てれば、山は助かる、森は救われる」

田村麻呂「負け惜しみにしか聞こえぬが」

モレ「否! 負け惜しみにあらず!」

アテルイ「モレ、このお人に言うてもわからぬ。ヤマトだ」
←ドラマのテーマ(その4)

この「ヤマトだ」というセリフが、文字には還元できないようなニュアンスで言われるのですよ。
これを解説しろと言われても難しいな・・・
「エミシだ」と、ひとくくりに言ってきた側の人間が、
「ヤマトだ」とネガティブなニュアンスを込めて ひとっくくりに言い返される。
・・・いや、これもちょっと違うな。
なぜかはわからないけど・・・この時、アテルイは田村麻呂に勝ったのではないかという気がしました。
もちろん、今までの20年の抵抗が、言葉を言葉だけに(=口喧嘩に)はしていないのですよ。


どうやら、コテナの死にざまと、アテルイ・モレの言葉に心動かされたのか?
(明確にはわからんな~ 田村麻呂は、クールだからな・・・)
田村麻呂は桓武天皇に助命嘆願をするのですが・・・

「朕に逆らうものはその首を落とす」
・・・って、桓武天皇が悪の帝王みたいになってるぞ!?
桓武天皇は、情け深いイメージだったんだが、ずいぶん変わってしまった・・・
軍事と造作をやめたとしても、それをエスカレートさせてしまったのもおんなじ帝だった
ということなんでしょうかねえ。
この帝の遠い子孫が平清盛か・・・

帝との対面はかなわず、問いだけを田村麻呂に託すことになるアテルイ。
「わーらを何故憎むか聞きたかった。なにゆえ憎む?なにゆえ殺す? おなじヒトぞ、おなじ人間ぞ」
「・・・聞いておこう」

・・・・これ、本当に、なんでだったんだろう。いやドラマの中の話ですけど。
第1話で、ホロコーストか民族浄化かっていうようなシーンがあったのは、なんだったんだろう。実写のキャシャーンかいな。
原作が「蝦夷と大和が二つの国として並び立つのだ」というゴールをかなり最初のほうで書いていて、いわばゲームのルールがはっきりしていたのに対して、
ドラマのほうは、ゲームのルールとは何か、を延々考え続けていたような気がする。
どうすれば勝ちなのか。
「ヤマトだ」といった時点で、アテルイは勝った、という気が私はするのですが、
その考えも、この感想を書いているときに思いつきました。

市中引き回し(移送かな)されるアテルイとモレ。
「世にも恐ろしいエミシじゃ! その目でしかと見よ!」と檻の中から楽しそうに市井の人に語り掛けるアテルイ。最後までこの人 やんちゃだったな(笑)
それを「あ~もう、このひとは困ったひとやな~」という感じで魅力的な苦笑いをするモレ。
北村一輝さんって、時々、かわいらしい演技する。

結局は歴史に書かれた通り、二人は処刑されます。
その間際、虹が出て・・・心の眼で見えた虹なんだろうけど。
これで、ドラマは終わりです。

で、現代編ですが、釜石の病院にいたおばあちゃんが、胆沢に行くってことですな。
ドラマの人と、現代編の人とを混ぜなかったのは、逆に良心的かもしれないな・・・

津軽に行った里人たちがどうなったかは、
「続日本紀にも日本後紀にも書いてない」そうなのですが、
う~ん、田村麻呂が山を焼いたとも書いてなかった気が・・・
(田村麻呂かどうかは調べてないが、村を焼いたという記録はあり)

「みんながこの話をして、有名人になったら、アテルイとモレも大喜びだー」
う~ん、こんな形で有名になってもな~と、モレが魅力的な苦笑いをしてそうだ・・・

もともと歴史の物語というのは死者の供養なんだと思う。


実は、第4回(最終回)は、1回見て、なんじゃこれ、と思ってそのまま放置していたんですが、
部分部分で、なにか引っかかるものがあって、
原作借りて、さらにもう一回借りて、
歴史の本も、買ったり借りたり。



HEXで地図作った後は、小説もドラマも、面白さが全然ちがいますね。
だからこそ小説に地図をつけてほしい…という気もするのですが、
でもそれだと、見るだけで終わってしまうかもしれんか。
やはりゲーム化したほうが、地形が血肉になると思う。
ゲームには功罪の「罪」の部分もあるけどね・・・

戦闘シーンには燃えたけど、ドラマに感動したわけではなかった、と白状しておきます。
何度も見たけどね・・・(音楽のせいかもしれない)
退屈、というのとは違う。プロセス(過程)がないんですよね。時間が無さ過ぎて、原因と結果があるだけのような気が・・・

原作は・・・熱中して読んだけど、うまくいきすぎかもしれないとは思いました。
心理を丁寧に書いていくという感じではないです。
ホビットの冒険を読んだ時のような感じを受けました。
(小説というよりは物語に近い気がする。とうぜん小説>物語というわけではないですよ。)
あと、セリフをだれがしゃべっているのかが、わかりにくいぞ。
100円で文庫本買って、セリフの線引きを鉛筆で入れたい。
アテルイのセリフだと思っていたらカナのセリフだったとかいうのは・・・

まだ、書きたいことはあるけど、いったん終わろう。
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