一昨日のウォーキングの話しのまだ続きだけど、実は修復が済んだという札幌中央図書館へも行ったのである。
外壁はまだ修復中だったけれど、中へ入ると修復したのはどこかな?というぐらい、以前と同じような気がした。
それで、せっかく図書館に来たのだから、トイレを借りて、カフェでコーヒーを飲んで、更に前から読んでみようかと思っていた『岬のマヨイガ』を借りた。
因みにマヨイガは、遠野の民話で語られる迷い家のこと。
さて、さて、この本、2016年度の野間児童文学大賞だった作品。
野間児童文学大賞は、賞金額も大きいけれど、児童文学の賞のなかでは、まず最高の賞といえるのだと思う。
というわけで、遅まきながらかなり期待して読み始めた。
文体は、読みやすい。
イントロで、松本清張の『砂の器』の、台風だったかその被害をきっかけに他人になりすますというアイディアに、似てるなぁと思い、中盤まできて、なんか流れが予想ついちゃうぞ、と言う感じなのだ。
というか、結局、おしまいまで、私の予想通りの展開だった。
しかも大人の私が読むと、この設定ってあり?という無理が何カ所かあった。
たまたま、同じ列車の同じ車両の向かい合わせに座った大人の女性と少女が中心に展開される物語で、その二人はたまたま東日本の大震災の被害にあってしまう。
そして避難した場所で一人のお婆ちゃんと会い、そこで、まぁいろいろ事情はあるんだけど、女性と少女は、このおばあちゃんの家の嫁と孫という関係になりすますことになるのだが、
この嫁になった女性は、なりすます訳だから当然、本名を伏せている。
しかし、唐突に車を買うのだ。
ん? と私は思う。
お金を持っていると言っていたので、現金で買ったのだろうと、これは了解できる。
しかし、免許証は、当然本名でしょ。
じゃ、車の保険とか車庫証明とか、どうしたんだろう?
偽名で車って買えるわけ?と、私の頭は?マークが点滅するのである。
津波で役場とか市役所とか跡形も無く被害にあったところもあった訳だから、戸籍簿も住民票もみんな流されて、通常の手続きなしで、車も買えて、少女も、偽名のまま小学校へ通学できたのかもと、まぁ、大人の私は、そのように考えることにしようと思うのだった。
女性のDV夫が、避難所ひとつひとつをしらみつぶしのように、妻だった女性の写真を持って探しにくるんだけど、この設定もクエスチョンマーク。
彼女はDV夫から逃げるために、夫に予想されない東北行きの列車に乗ったはずだった。
このDV夫は、岩手県と思われる地域の避難所になぜ現れたのか、それが意味不明。
以前、TVで、梅沢富美男が、浮気相手の女性と沖縄に行ったら、台風に遭遇して那覇空港にその女性といるところを、たまたまTVのニュースでキャスターの背景に映り込んじゃって、奥さんに浮気がばれたと、話していたことがあった。
こんな偶然でも無い限り、DV夫が岩手県の避難所に現れるのは現実では考えられない。
いっそ、天皇が被災地に来たときに、TVに映り込んじゃったっていう設定にしたらどう?なんて、思っちゃいましたわ。
で、中盤から後半にかけては、河童やお地蔵さんや、狛犬とか、いっぱい出てくるんだけど、それが、なんとも臨場感がなく、必然性も感じられず、それでふと思い出したのが小松エメルの『一鬼夜行』。この作品の臨場感はさすがだったなぁと、今更のごとく感心したのでした。
というわけで、これが2016年の野間賞だったのかと、正直、なんだかちょっと期待外れの1冊でした。
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