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ケセランパサラン読書記 ーそして私の日々ー

◆ 『一〇五度』 佐藤まどか 作  あすなろ書房

                    


 作家、佐藤まどかは児童文学の書き手として活躍目覚ましいが、彼女は学生時代にイタリアに留学し、そのままイタリアに在住し活躍しているプロの家具デザイナーでもある。

 だから、新刊『一〇五度』は、専門家が書いた児童文学である。

 椅子のデザイナーを目指す中学生の少年が主人公。

 大体、大人は、中学生が、具体的な職業、しかも、特殊な職業を目指すことを由としない。
 「無理だ」というのである。
 
 しかも、この主人公の少年は、学業にも成果をあげているので、親の期待は、椅子のデザイナーなんぞ、そんなマイナーな職業なんぞ、とんでもない!という発想になる。


 このような親と主人公の少年の葛藤が描かれているのだが、私の気持ちが引っ張られたのは、やっぱり、専門家が書いた専門的知識と語彙によって、主人公の夢が語られ展開されている児童文学だというところだ。


 “105度”って、なんだ ? と思うワクワク感なのである。


 “105度”という語彙。
 作中に度々出現する、例えばモックアップ(原寸模型)とか。
 その語彙から、浮かび上がる世界観……。
 いいと、思わない?



 まったく知らなかった語彙で描かれる世界、その語彙の未知なる背景に心がザワザワと騒いでしまう。

 そういうのって、私は、存外、好きだ。


 『一〇五度』は、斟酌することなく、必要と在れば、しっかりと専門的な語彙でセンテンスが綴られてており、もう、期待通りなのである。

 知らない世界、聞いたこともない語彙、興味を持ったら、読者は、調べるものだ。
 読者を信じてる作家の潔さがカッコイイではないか。



 例えば、この絵本。  
 以前にもこのブログで紹介した絵本だが、作家伊礼智は、琉球大学の建築学科から東京芸大建築学科の大学院で学んだ建築のプロが、沖縄の家屋について描く絵本だ。
 これが、実に素晴らしい。

 

 こういう専門家による専門的な語彙で表現された作品が、文学としても、しっかり耀いているというのが、私は心惹かれてしまう。

 見たことがない世界を文学の世界でリアルに感じるって、なんかいいね!!


 

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