いとうみくさんの新刊『つくしちゃんとながれぼし』です。

コロナ罹患の最中に読み終わっていたのですが、昨日、読み直しました。
やっぱり、コロナ罹患中だと、感性も相当に鈍くなっていたことに気付きます。
あらてめて、読むと、読む人の心にとって、とても良い文章を書く人だと思いました。
主人公のつくしちゃんと、おねえちゃんとお風呂に入ったときに、「耳のうしろ、あらえてない」と、おねえちゃんが指摘する場面、すごく好き。
ここ、姉と妹の描写が最高。
こういう場面をさらっと書いて、姉と妹という存在をぎゅっと描写できることは、できそうで案外、難しい。
それと、物語の初めのところで、色鉛筆を貸す貸さないというトラブルが起きたときの担任の、言葉。
ここの描写、鋭い。
当たり障りのない教師の立ち位置、或いは配慮に欠ける教師の多いこと、サラリと指摘している。
そして、なにより、かっこ、よかったのは河原のエアトランペッター。
この人の存在が、この物語の、物語りたる素晴らしさだと思う。
いとうみくさんの作品には、要らない人間が、一人も出てこない。
いとうみくさんの、執筆中の頭なかに、入っていきたいものだ。