映画「前科者」観て来ました。
主人公阿川佳代を演じるのは有村架純さんで、保護司としてご出演されています。
映画で職場の同僚をナイフで刺して殺害した元受刑者で、森田剛君が出演されています。
私が「前科者」を観て最初に感じた違和感は、保護司を演じておられるのが若い娘さんである有村架純さんであった事です。
フツー保護司は50代過ぎのおっさんと認識しておりましたので
あんなに若い世代でも「保護司」に成れるんだ、と言うのが正直な驚きで
ありました。
ここからはネタバレが含まれておりますので、此れから映画を観に行く予定の方は、続きは映画を観てからにするかどうかは、自己判断でお願い致します。
保護司の阿川佳代さんは、自動車整備工場で働く工藤誠さんを見守り勇気付けながら、更生をサポートしています。
寡黙だけれど手先が器用で、真面目に仕事に取り組んでいる工藤君を観て
工場の責任者も、保護観察の期間が無事終われば、正式に工場で働いて欲しいと言ってくれるまでになります。
工藤君から、昔母親と一緒に食べたラーメンが美味しかったとの思いで話を聞き、必ずそのラーメン屋さんに一緒に行こうと約束します。
それから間もなく、派出所勤務の警官が襲われ拳銃が奪われ、その警官も重傷を負う事件が起こります。
そして工藤誠の行方が分からなくなります。
その警官は親切なお巡りさんの表の顔とは別に、相当あくどい裏の顔を持った人物でした。
昔工藤誠親子が、母親の再婚相手の男から激しい暴力を受けていると
交番に駆け込んだ時、何の対応もせずなじみのホステスの電話で呼び出され
そのまんま親子を放置しました。
その後母親はそのDV男にナイフで刺され、殺されてしまいました。
そしてその後、奪われた拳銃で福祉事務所の女性が撃たれる事件が発生します。
警察の容疑者リストの中に工藤誠の名前がありました。
ふたりの刑事ベテランと新米デカを演じるのは、マキタスポーツさんと
磯村勇斗の「何食べ」出演者のおふたりです。
磯村勇斗君演じる新米デカと保護司の阿川佳代さんは、学生時代の友人で
親しい間柄でした。
付き合い始めのエピソードは、お互い読書好きだったことからです。
それだけならば思い出話で終わるのですが、彼女が学校から帰宅途中に見知らぬ男から襲われそうになります。
それを身を挺して護ってくれたのが、磯村隼斗君の父親でした。
不運にも磯村君の父親はその犯人のナイフで命を奪われてしまいます。
まだ十代の学生であった阿川佳代さんは、とにかくこの土地から逃れれば
忌まわしい記憶から解き放たれると思い、父親と一緒に新しい土地で暮らし始めます。
ですが引っ越しをした位で、その禍々しい記憶を忘れられるはずありませんよね。
そんな時「保護司」と言う職業を知り、罪を犯した人の手助けをして
更生の道を歩む支えになればと「保護司」になりました。
なお保護司は国家公務員ですが、無給の立場です。
ですから阿川佳代さんは、普段コンビニの店員として働いておられます。
一方の磯村隼斗君は、一度犯罪に手を染めた人間に更生なんか出来るはず無いとの思いに凝り固まった人物になっていました。
磯村君の父親は、暴漢に襲われそうになっていた少女を身を挺して護り、命を落とした人物として英雄視され、事件の現場にはたくさんの花が手向けられました。
ですがその花々もやがて萎れて行き、最終的には腐ってしまいます。
中には乾燥して地面にこびり付きブラシを使っても、なかなか落ちないものもある様です。
その後始末をするのも、事件の犠牲となった家族の役目みたいです。
とても悲しいことでありますけどね。
学生時代お互いに読んだ本の感想を話し合う関係であったのに、大きな
隔たりが出来てしまったみたいです。
警察は工藤誠を犯人と目星を付け追っていましたが、犯人は工藤誠の弟でありました。
幼少の頃から劣悪な環境で暮らし、手を差し伸べてくれる人もいなかった状況の中で道を踏み外してしまった人に、どの様な支援が公的機関や社会福祉の立場から出来るのか?
でもそれは決して充分なものではありませんよね。
その中で主人公阿川佳代さん演じる有村架純さんが工藤誠さんに語り掛ける言葉は、本当に心を打つものでした。
もしその言葉、知りたいと思ったならば是非とも映画館に足をお運びください。