「内野さん大好き!」の私は、映画「初恋」を観た時に、半分はうっちーファンの贔屓目として、そしてもう半分は純粋に映画を観た感想として
当然今年の映画のぶっちぎりトップは「初恋」であるぞよと
独善的に確信致しました!
ですがここに来て強力なライバル出現!であります。
堤真一さん主演の「望み」です。
建築家として自分の事務所を持ち、仕事をしている堤さん
映画のあらすじを役柄では無く、役者さんの名前で書いてしまう
ど~しようも無くずぼら人間の私をお許しあれ。
ある意味その地点では、人生の勝ち組として現れます。
堤さんには、ふたりの子供がいます。
高校生の岡田健史君と、難関有名高校合格を目指して受験勉強に
励んでいる清原果耶さんです。
そのふたりを見守る母親が石田ゆり子さんです。
ふたりのご夫妻の心配の種と申すのが、サッカーの練習中に怪我をして
今まで通りサッカーを続けられなくなって自暴自棄な態度を見せている
高校生の息子です。
岡田健吏君演じる高校生の部屋を掃除していた母親の石田ゆり子さんは
その時偶然ナイフの空になったパッケージを見つけます。
そこから何やら不穏な空気が漂い始めます。
堤さんはそのナイフを預かっておくと伝え、自分の作業所の棚に保管します。
そしてそれ以来息子は家族の前から姿を消します。
それから息子の友人が惨たらしいリンチ遺体として発見されます。
岡田健史君は重要な参考人として警察にリストアップされます。
もちろん警察は被害者が高校生である事、そしてそのリンチに
かかわった人物も未成年である可能性があるので
積極的な情報開示は一切致しません。
その中でマスコミは堤さんの息子が事件に深く関わった人物として
強引な取材を行い、その情報だけが独り歩きして
家族は疑惑の目を向けられてしまいます。
そんな中で母親は、どんな形であったとしても息子が生きている事を
切望します。
それが、父親との意識の違いとして現れてきます。
そんな時に或るゴロツキジャーナリストがインターホンを鳴らします。
演じるのは松田翔太さんです。
警察は事件については何も教えてくれませんよとの
悪魔の囁きと共に、事件の真相が解明したらインタビューをさせて下さい
それを条件に発表されてない情報も教えますよ。
甘い言葉をかけます。
最終的に母親はその取材を受け入れる意思を示します。
建築家の堤さん一家は、事実が確定していない状況の中で
マスコミと世間からのバッシングが強まって行きます。
その状況は、ある意味架空のお話であるとわかっていても
観ていてとても辛いシーンが続きます。
少年をリンチして死に追い詰めた少年たちの身柄を確保したとの報道が
発表されてから更に過酷さを増していきます。
堤さんはなくなった少年の葬儀に参列しようとしますが
冷ややかな目を向けられ、出席する事は叶いませんでした。
堤さんは息子から預かっていたナイフの所在を確かめようとしましたが
そこにはありませんでした。
息子の部屋でも丹念にでナイフのありかを探します。
そして部屋の中から、箱にきちんと収められたナイフを見つけます。
それは家族への「暴力は封印した」との無言のメッセージに思われました。
それから間もなく堤さん一家に、息子の遺体が発見されたとの
一報が届きます。
息子はその暴力事件に加担したのではなく、飽くまでもそれを防ぐ為に
動いた事が、殺害の要因となった事を知らされます。
残された家族の間には絶望の空気が漂います。
そんな中父親は、息子の部屋でリハビリの専門書を見つけます。
父親は息子が怪我をした時にサポートしてもらったリハビリの先生を訪ねて
息子は、サッカーへの道が閉ざされた故に自暴自棄になっていた訳では無く。
此れからはスポーツによる大きな怪我をしてしまった少年たちのために
サポートする職業に就きたいとの新しい人生の目標を、見出していた事を知ります。
再び母親の前にゴロツキジャーナリストが姿を現します。
そしてこの事件についてのインタビュー記事を公表するとの件は
取り下げると伝えます。
私は、あなたの息子さんが事件の重要な関係者であると確信していた
からこそ、あなたに近づいた事を告白します。
私はその中にゴロツキジャーナリストが持っていた
報道する人間としての矜持を受け取りました。
この映画は見終わったあと、ほんわかとした暖かい気持ちになる
作品ではありませんが、絶望の真っただ中にある荒野の中に
ひとつの小さな種から芽を出し、ふたばを開いた植物の存在を感じました。
「おかえりモネ」の主役の清原果耶さんは、健吏さんの妹としてご出演です。
清原さんは、ひょっとしたら兄が友人の殺害に関わっているのかもとの
疑惑が生じて、どうしたらいいのか分からないと戸惑う受験生を
等身大の存在として演じられていました。
清原さんは、映画「宇宙で一番明るい屋根」で大先輩の女優であられる
桃井かおりさんと同じ土俵に上がり、しっかりと演じる者として
互角に立っておられると、その映画を観ている私にはしっかり伝わりました。
「望み」の映画については、ネタバレが過ぎたか知らと思う気もしますが
私が書いたのは飽くまでも「望み」の外側の概要でした無いと思っています。
もっと詳しく機微の部分を知りたいと思われた方、ぜひとも映画館に
足をお運び下さい。