あやつりぞうくん

お調子者のぱぱ。心配性のまま。宇宙一かわいい僕(陽和音)。
二人は今日も陽和音に夢中。わがやは毎日、陽和音びより

もも太郎さん

2010-07-11 21:10:16 | Weblog
二日目、疲れが抜けきれない我が家は、熱海を後にした。

帰りは鈍行でゆっくりと。

かまぼこ作り体験をしようと小田原で下車。

しかし、混雑のため本日は体験できないという。

そこで、小田原城へ足を延ばすことに。

小田原城に着くと、貸衣装いかがですか!?という看板が。

行ってみると、陽気なおじさんが事務所で待っていて、パパとひなくんはタイムスリップしてしまう。

パパは武士?

ひなくんは桃太郎?

その気になった二人は剣を振り回し、おじさんに危ないよ!と注意を受ける。

小田原城へといくつもの階段を登ってゆくパパとひなくんを見送り、私はしばし休憩時間。

お城の中はきっと資料の数々・・・・案の定、何の感想もなしに帰って来た二人の興味は、子供用の汽車ばかり。

そういえば、さっきからお城に似合わない『ポッポー!』だの『カンカンカンカン』だのの音がどこからともなく聞こえていた。

ヤツが聞き逃すはずもなく、汽車乗り場へ一目散。

思いもよらない出会いに相当喜んでいた。

端から端まで

2010-07-11 21:09:41 | Weblog
私達が宿泊したのは、食事はバイキング、お風呂は大浴場といった、ごく普通の観光ホテル。

その中にも、家族で貸し切れる露天風呂があったり、夜はしっとり暗く大きなお月さまが望めるような露天風呂があったりと、なかなか雰囲気も楽しめるホテルだった。

数あるお風呂を制覇したパパは、どこも気持ちのいい入浴が出来たらしく、満足そうだった。

我が家の温泉旅行はいつも、お風呂に入ってはお部屋でくつろいで・・・・という年寄りに近い時間を過ごす。

しかし、今回はホテルを楽しもうということになった。

どういう訳かこのホテルは、どうぞご自由に!

というスペースばかり。

カラオケもどうぞご自由に!なので、おじさんが歌っている部屋を覗きに行ってみたり、ひなくんが『バタフライ』を歌おうとしたら団体のおじさんおばさんが入って来て一緒に聞いていたり、と何だか面白い状況になったりする。

普段行かないゲームセンターでは、お金も入れずにひなくんは遊びまくっていた。

その後、『ダンスホール』と称されているスペースに入った我が家。

その名の通り、ダンスを好む人々が利用できるようにと解放されている部屋。

もちろん利用者はいない。

誰もが使い方に首をかしげるであろうその部屋には、壁一面の大きな鏡と、音響が設備されていた。

酔っぱらったパパと、いつでも酔っぱらえる陽和音がそろえばだまって出てくるはずもなく、始まってしまった。

意味もなく大音量のジャズを流し、マイクで勝手に歌いまくり、踊り狂う。

出演者2人のこの舞台、どうにもこうにも悔しいのだが私は笑ってしまう。

その爆音を聞きつけ『何事か!?』と様子を見に来た人がちらほら・・・・

派手な音楽を流している割には大人と子供がたった二人で歌って踊ってる・・・・一体何のショーなのだ!?

どう理解したかは知らないが、誰もがボーッと二人を眺め、何も言わずに去って行く。

たった一人の観客であった私は、とても目を合わせられなかった。

ここが近所なら仲間を呼ばずにはいられない、そんなスペース。

他の日、ここがどんな風に使われているのか、全く想像がつかない、な
ぞの部屋。

しかし、ホテルを端から端まで満喫するという目的は大いに果たされた。


ここでもパワーを使いきった彼らに残されているのは眠ることだけ。



そして翌日。

一日目で二日分のエネルギーを消耗してしまった私達は、グダグダな二日目を送ることになった。

初島 そして 温泉宿

2010-07-11 21:09:13 | Weblog
熱海駅からフェリーに乗り初島に渡る。

下り立ったその小さな島は、海の上にポンっと乗っかっていた。

散歩道のすぐ横は岩だらけの崖っぷち。

波がザッブーンと押し寄せては大きなしぶきを上げて去ってゆく。

見晴らしの良いその素敵な景色は、ただそれを繰り返す。

そんな島の一部に、ものすごく人工的に作られたアジアンリゾート風の敷地がある。

キレイに芝が敷いてあり、いくつものパラソルが広げられたその場所では、ちょっとオシャレな食事が楽しめるようになっていた。

パラソルの横には、これもアジアンリゾートならではのハンモックなんかが置かれていて、自由に寝そべる事が出来る。

すぐさま飛びついたパパは、ハンモックギリギリの長い体を埋めてみる。

身動きとれないその姿は、とても優雅とは言えない。

それを見た陽和音がじっとしているはずもなく、隣のハンモックへ飛びつく。

しかし、臆病者の陽和音は片足を入れては『怖いっ!』お尻をはめては『出来ないっ!!』ゆらゆら揺れるハンモックになかなか身を埋めることが出来ずにもがいていた。

この後必ず面白いことが起きるに決まっていると思った私は、ビデオカメラを構えて待つ。

期待通り、おーっとっと!の瞬間を納める事ができた。

一度面白さを味しめた陽和音は、納豆のようにくるまったり、ゆーらんゆーらんとブランコのようにゆらしたりと思う存分楽しんでいる。

そしてまたお決まりのように、調子に乗りすぎ頭をゴッチーンとぶつけて泣く始末。

君達男というのは、どうしてそう分かり切ったオチを作らないと気が済まないのだ。



こんな時ほど強く思う。

早く出てきておくれよ。私側のベビーちゃん。

ママとこの頭の痛さを分かち合おうじゃないか。



それから親父と息子は芝生で転がり回り、体力のほとんどを使いきっていた。



そうして島を一周し、フェリーで熱海へ戻った私達は、温泉が待つ宿へと移動した。

GWの始まりは

2010-07-11 21:08:36 | Weblog
都営新宿線急行橋本行きに乗車、

総武快速を乗り継いで東京へ。

東京駅からは、ひなくん3歳にして初の新幹線に乗った。

その名は『こだま』

目的地は熱海。

この旅行最大の目的は『新幹線』であった。

したがって、ひなくんのテンションもこの道のりがMAXであったことは言うまでもない。

その中でも、熱海駅で『こだま』を下車してからが最高潮。

ひなくんが降り立った熱海駅ホームには、『ひかり』と『のぞみ』がひっきりなしに通過する。

そのスピードと迫力はすさまじい。

電車に魅力を感じたことが無いママでさえ、その勢いにちょっとテンションがあがってしまった。

そんな興奮を彼が我慢できるはずもなく、

『まもなく、2番線ホームをひかりが通過します。安全柵から離れてお待ちください』

この魅力的なアナウンスをマスターし繰り返した後、新幹線へと身を化かした陽和音が、ママとパパの前を新幹線と共に通過するのであった。

一度や二度ではなく、何度も何度も通過する新幹線と陽和音。

新幹線のスピードは毎度ものすごい迫力なのに比べ、

陽和音のスピードは疲労とともに、徒歩に近いスピードへと後退している。

それでも気持ちだけは新幹線に負けていないあたりが素晴らしいと思う。

そんな様子でスタートからテンションをMAXまで上げた我が家の旅行。



さぁどうなる!?

だ~いすき

2010-07-11 21:07:39 | Weblog
あっという間に妊娠8カ月(たぶん)。

赤ちゃんも1000グラムぐらいになったらしい。

それなのに、水天宮での安産祈願をついこの間ようやく終えました。

どうしても一人目の時のようにはいかない。

赤ちゃんよ、なかなか優先してあげられなくてごめんね。

でも出てきたらきっと、お兄ちゃんが焼きもち焼くぐらいあなたに光が注がれることでしょう。



ところで、ひなくんお兄ちゃんの声は聞こえている?

『あーかーちゃん』

『赤ちゃんだーい好き』

『あーかーちゃん、何してるの?』

『早く出てきてほしーなー』

『赤ちゃん出てきたら、ひなくんが抱っこしてあげるよ!』

『ひなくんがミルク飲ませてあげるよー!』

『赤ちゃん出てきたらどーしゅる!?』

毎日毎日ママのお腹にくっついては、あなたが誕生するのを楽しみにしています。



安心して生まれておいで。

パパもママもお兄ちゃんもみーんな、愛情の準備は万端だよ☆

うちのおとこたち

2010-07-11 21:06:53 | Weblog
お腹の赤ちゃんが

『わたし、女の子よ♪』

って教えてくれた。



いつの頃からか、陽和音くんは期待していた。

ママの赤ちゃん、女の子がいい、と。



病院での結果を耳元で伝えると『ニヤリ』

大満足の陽和音くん。



彼は電車好き。

良く分からない戦いのポーズなんかも最近決め始めた。

男の子特有の性質を持ちながらも、何やら変な気配もある。

そう、彼は女趣味なのだ。



彼が小さい頃から私は、色んな物を出来るだけ自分で選択させるようにしていた。

それを見ている限り、結構彼はスパッと決める。

しかし、決めた物が結構な確立で女物である。




まだ分からないんだろうという想いと、面白いなぁという想い、そして本当に女の子に憧れているんだろうか・・・・という複雑な想いを抱える私。



しかし、最近気づいた。

彼は女の子になりたいのではなく、単純に女の子が好きなのだ。

小さい頃から女の子に囲まれて育ってきた。

それによって、必然的に目にする物が女物だったのだ。

男が何なのか分からないボクは、ちょっとヒラヒラしてみたくなっちゃったりもしたんだろう。




それはさておき、お腹の子が女の子だと分かった我が家。

パパと陽和音は今まで以上に私のお腹にまとわりついている。




女好きな我が家の男子。

ひなとのやきそば

2010-07-11 21:06:18 | Weblog
陽和音がお箸であんかけ焼きそばを食べている。

そして何やら楽しげにしゃべっている。

耳を澄ましてみると、いつものごとく一人芝居である。

『あっ通過しちゃったっ!次の急行で行くか!!』

『あっまた通過しちゃったっ!次の急行で行くか!!』

焼きそばをすすりながら、何度も繰り返されるそのセリフ。



そしてついに私も巻き込まれる時が来たようだ。

『ママ~!!』

お呼びがかかる。

『あっ通過しちゃったー!次の急行で行くか!ってお箸が言ってるよー!!』



焼きそばと会話をしている人にそうふられた時、普通なら何と返すのでしょう。



残念なことに、私は一瞬にしてその答えを見つけてしまう。

『ホントだ!トンネルに入って行くんだね!』

よりにもよって、彼にとって最高の返しを・・・・



彼が握っているその箸は、箸でなく線路であった。

その箸で挟まれる麺は、麺でなく電車であった。

その先で迎える彼の口は、口ではなくトンネルだということまで想像してしまった。



流れ作業のようなその動きを見ていると、彼の言う通りの事態が起きている。

線路(箸)で挟まれた電車(麺)を口ですするたび、線路(箸)の上を電車(麺)が通過していく。

そして、間違いなくそれは急行並みの早さなのだ。



悔しいが笑ってしまう。

またもや彼の電車ワールドへと引きずり込まれたようだ。

両親そろって・・・・



親父が息子に自慢する。

『パパの電車、新幹線だったから、もう無くなっちゃったー!!』

息子が覗く。

親父のお皿を。

ない。

・・・・ホントにない。

彼の心境は手に取るように分かる。

(新幹線すごい・・・・)

すかさず息子が対抗する。

『ひなくんもしんかんせーん!!』

一本のもやしを新幹線ぐらいのスピードですすったその時、

『ぐふぇっっっ ぐふぇっっっ!!』

息子が時々志村けんに見える。

勢い余ってむせやがった。

一人コント。

たった一本の『もやし』で。

おめでとうが嬉しい日

2010-07-11 21:04:07 | Weblog
4月9日 陽和音くん、幼稚園の入園式

幼稚園選びをしている時から、幼稚園に行きたくて行きたくて待ち切れなかった。

幼稚園が決まってから、幼稚園バックが欲しくて欲しくて仕方なかった。

制服を買ってから、何度も何度も着てみたかった。

今日も明日も明後日も、幼稚園に行きたかった。


4月のカレンダーになってから、

『ひなくんの幼稚園が始まるのはどこ!?』

『ママ、しがつここのかってどこだっけ!?』

一日に何度も確認していた。

しがつここのかを覚えてから、

『ひなくんのよーちえんね、しがつここのかにはじまるんだよ!!』

みんなに教えていた。



4月7日の朝。

『ひなくん、明日寝たら幼稚園だよ!』

と教えると、ニッコー!!と笑い、

『パパー!!明日寝たらひなくんのよーちえん始まるんだよ!!』

と報告する。

その日一日、その話題で持ち切りだった。



4月8日の朝。

『ひなくん!!明日ひなくんの幼稚園だよ!!』

そう言うと、

『やったーやったー!!』

起きぬけの布団の上で踊り回って喜んだ。



4月9日の朝。

チリリリリーン!!

『ひなくん!!今日は何の日!?』

そう聞くと、

『何の日だっけ??』

寝ぼけながらとぼけている。

その顔はにやけている。

『幼稚園の入園式だよ!!』




ついに幼稚園生活がスタートする。

パパとママ、おばあちゃんが二人、そして私の姉。

大人5人に囲まれながら、桜道を歩いて幼稚園へと向かう。

ぶかぶかの制服に身を包んだ陽和音の、いつも以上に高いテンションを見ているだけで、大人達はみな幸せな気持ちになっていた。

可愛いなぁ、可愛いなぁ、何とも可愛い新入園児。



ずーっとずーっと陽和くんと共に楽しみにしてきたこの日。

いざ迎えてみると、待ち遠しかった以上に嬉しくて幸せな気持ちだった。

子供の成長がこんなにも嬉しいものだなんて。

すくすく成長してくれた陽和音くんにありがとう。



その夜

『みんなにおめでとう!!って言ってもらえるなんて、ひなくん嬉しいな~』

そんな風に言っていた。


その純粋な想い、いつまでもいつまでも。

こんな力があったとは

2010-07-11 21:03:26 | Weblog
お友達からプレゼントしてもらったパズル

大好きな電車が書いてある。


集中力のない陽和音が、珍しく細かい作業に食いついた。

意外だった。


一回目・・・端っこと端っこを合わせることから教え始め、見本の絵と見比べること、形を合わせることを教えた。
何度教えても端っこ(枠に合わせる)の意味が伝わらず私もイライラ。


二回目・・・端っこ(枠)のピースだけを選び、とにかく周りを埋めさせる。これで何とか端っこの意味が分かっただろうか・・・・まだまだ怪しいところだ。
そして次に、その一周中の部分を埋めさせていった。
絵と絵を合わせること、形がピッタリはまる感覚が何となく分かってきたか!?


三回目・・・手を出さず、考えさせた。


一回目・・・二回目・・・三回目・・・と、寝る前の約30分、毎晩パズルと格闘した。

度々イライラするママに、キツイ言われ方をしようともめげずに立ち向かう。
飽きっぽい陽和音がここまで集中して何かをやる姿を初めてみた。

その姿勢に感動し、ママも精一杯付き合った。


3回目が完成したのは、5日目ぐらいのことだっただろうか。


昼間、ふとみると陽和音がパズルをやっている。

ママ一緒にやろう!と誘うことなく、一人で黙々とパズルを始めた。『あっここは真っすぐだから端っこだ!!あっこれは白い電車だー!!あっこれ、ペロ~ンってしてるからここだよね!』
など、一人であれこれ言いながらはめていく。
ほぼ一人で完成させた。


毎日の積み重ねの成果が現れていた。

一度覚えてしまえばお手のもの。
それから何度もくずしては完成させている。

気づけばこれは63ピースもあるパズル。対象年齢5歳以上。

すごいなぁ。よくやったなぁ。
だただた、そう思う。



陽和音にこんな集中力があることを初めて知った。

初めて出会った僕のペット

2010-07-11 21:00:55 | Weblog
空飛ぶ風船

ふわふわゆらゆら浮かんでる

新規オープンの薬局でもらいました。

『ひなくん、飛んでっちゃうからしっかり持ってるんだよ!』

私がひなくんに教える。

珍しくひなくん、真面目な顔でうなずく。

よしっ!

私は買い物に夢中になる。

ひなくんはコレがどんな物なのか、

叩いたり、浮かべたりしながら、一生懸命調べている。

彼も彼で夢中である。

その時、背後でひなくんの気配が消える。

振り返ると、ひなくんが固まっていた。

『ママ・・・・ママ・・・・』

天井を見上げるとひなくんの風船が浮かんでいる。

とても手を伸ばしても取れる高さじゃない。

私は忠告したばず。

飛んでっちゃうからしっかり持っているように、と。

しかし、私は知っている。

真面目にうなずいたわりには、乱暴な叩き方をしていた。

『だから言ったでしょ!?ちゃんと持ってないと飛んでっちゃうって。』

諦めさせようと思ったが、店内にそのまま浮かべておくのも申し訳ないと思い、店員さんに声をかける。

『あの、風船飛ばしてしまったんですが、そのままでも大丈夫ですか?』と。

すると、店員さんは気を利かせてくれ、『取りますよ!』

無事ひなくんの手元に戻ってきた空飛ぶ風船。

今度こそ飛ばないように、と私も彼の手に結び付けてあげた。これで大丈夫。

しかし彼は風船が自分の手を離れて飛んで行ってしまったという、先ほどの衝撃が忘れられないのか、何度も何度も『ママ・・・・ママ・・・・風船が・・・・』と言っては私に助けを求めてくるようになった。

全く飛んでいく気配はないのだが・・・・。

買い物を終えた帰り道、お店を出るとわりと強い風が吹いてきた。

ひなくん必死に風船を押さえます。

ママ・・・風船がっ!!

とても心配そうに風船を守る姿を見て、私も一緒に持ってあげることにした。

安心したように歩き始める。



そうか。

ひなくんはコレの仕組みを今日初めて知ったんだ。

ふわふわと浮かんでいる事実は確認できたけど、まさか自分の手を離れて飛んで行ってしまうなんてことは想像もつかなかったんだね。

『しっかり持ってないと飛んでっちゃうからね!』

私にとっては当たり前だった忠告。

うん。と言った彼のあの顔は、全てを理解した表情ではなかったことがいま初めて分かった。

しばらく歩いていると、なんと雨が降ってきた。

『あっ!風船が濡れちゃう!!』

自分も濡れていることなんてお構いなし、小さな手と小さな腕では覆いきれない大きさの風船をなんとか守ろうとしている。

『ひなくん、風船は濡れても大丈夫だよ!』

『なんで風船は濡れても大丈夫なの?
 あっ!乾くから!?』

私の言葉を理解しようと必死な表情で問いかけてくる。

『そうだよ、ひなくんのお洋服は拭いてもすぐに乾かないけど、風船はツルツルだから、拭けばすぐに乾くんだよ!』

やっとホッっとしたようだ。

それでも気になるのか、大事そうに風船を守りながら帰って行った。

お家に着き、上着を脱いで手を洗おうとするが、

『ママ・・・風船・・・・』

家に着いても不安で風船を手から離せないひなくん。

私は教えた。今度はひなくんがちゃんと理解出来るように。

『ひなくん、見て御覧!お家の天井は低いから、風船を飛ばしても大丈夫だよ!ほらね、紐に手が届くでしょ!?』

『なんでお家は大丈夫なの?』

『お店の天井は高かったからママが手を伸ばしても届かなかったけど、お家の天井はお店より低いから手が届くんだよ!』

何度も何度も同じ質問と同じ答えを繰り返し、ようやく安心した様子。

上着を脱ぎ、手を洗う。

その後もずっとずっと風船と遊び続けた陽和音。

その日は姉が一緒にいたのだが、姉の話から発覚したこと。

風船が天井ピタッとくっつきバウンドすることを、

『風船が歩く』と言うらしい。

また、お風呂に入るときや、トイレに入るときなど、一時的に風船を天井に置いておく必要がある、そのことを

『風船を貼る』と言うらしい。

それを聞いて納得した。

一日中『お散歩してるよー!』とか、『あっここに貼っておこう!』なんていう声が私の耳にも届いていた。

風船に描いてある顔も手伝ってか、まるで生き物と戯れるかのような雰囲気の陽和音。

彼にとって、空飛ぶ風船との出会いはこれが初めて。

今まで彼の身の回りで、ずっと空中を飛んでいる物など当然なかった。

不思議で不思議でたまらない。

どんなに引っ張っても飛んでいき、どんなに叩いてもふわふわと浮かんで行き、天井を歩き、天井に貼る事ができ、そこで僕がトイレから出てくるまで留守番してる。

嬉しくて嬉しくてたまらない。

この風船ってなんて素晴らしいんだ。

そんな気分だったに違いない。



その晩、風船との時間を惜しみながらも彼は眠りについた。



そして翌日。

『ママ!!風船は!?』

私は寝る前に確認した。

ひなくんが貼っておいた場所に風船が浮かんでいることを。

それなのに、そこに風船の姿はなかった。

私も驚く。

どこに行ってしまったのか。

本当に生きていて、どこかへお散歩にでも行ってしまったのか。

二人で真剣に部屋中を探す。

上を見上げ、クルクルクルクル回る私たち、

狭い部屋の天井など、何度回っても同じことだ。

やっぱり居ない。

しかし、

『ママ!あった!』

ひなくんが言う。

えっ!?どこに?

『ほら、ここ。』

なんと、昨日貼っておいた天井の真下。

どうやら人間が寝ている間に、力尽きてしまったようだ。

ひなくん、さぞ悲しんでいるだろうと彼の表情をうかがう私。

ところが、そんなにショックを受けている様子はない。

飛ばなくなってしまったという事より、風船がちゃんと僕を待ってくれていた!という喜びの方が大きかったようだ。

今朝もまた会えたことに喜んでいる。

なんて純粋なんだろう。

でもやっぱり気になるね。

『ママ、なんで風船飛ばないの?』

『きっと飛ぶ力がなくなっちゃったんだよ。』

いつもの質問攻めもなく、わりとすぐに納得したようだ。

飛ばなくなった風船でしばらく遊ぶ。

するとその風船、飛ばないまでも、結び目を下にしてチョコン!と立つことはできるようだ。

『ママ!立ったー立ったよー!!』

そんな風船の姿を見て、嬉しそうに教えてくれた。

かわいいなぁ、かわいいなぁ。