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閑寂肆独白

ひまでさびしい本屋のひとりごと

ある私小説について思ったこと

2020-05-31 07:20:54 | 日記

 或る直木賞作家(故人)の文庫が目についたので読んでみた。短編が4・5編、中編が三つ。短編の方はなかなか「上手いな」と思ったのだけれど、中編のほうはいただけない。 自分の子供時代の一家のことを書いているのだけれど、何しろ暗い。没落した一族、自殺した身内、宗教にかぶれた小母、言語障害のある父、高利貸しの伯母、と癖のある人々との生活が連綿と綴られ滅入ってしまう。
 他にもこういう状況を基盤に書かれた作品は多いと思う。普通ではない状況だからこそ「小説」に描けるのではあろうと察しはするけれど・・・。
 主人公の心象を書くのは当然としても脇役の方ももっと書き込めば「幅」が広がるのになあ 、と思う、一個の個人の苦労話では作品として物足りない感じがする。    あとがきに「詩や小説を書くことは救済の装置であると同時に、一つの悪である」「書くことは一つの狂気である」「私小説は毒虫のごとく忌まれ、蔑みを受けてきた。そのような言説をなす人には、それなりの思い上がった理屈があるのであるが、私はそのような言説に触れるたびに、ざまア見やがれ、と思ってきた」 とある。完全な開き直りである。 書くのは勝手だけれど、余人の心根・心情に響くものがあるべきではないか。ただのゲロ吐き、自己満足では寂しいと思う。 これを誉めそやす人がいて、文庫化し、さらに重版迄出るというのが不思議です。
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コロナ騒動 わが店の場合

2020-05-28 07:46:42 | 日記

 コロナ騒動が始まって約3か月たった。わが店には大した変動・影響はなし。
特にマスクについては ついに一度も着用せずにここまで通している。 福岡・天神へ3度(一度は車で)でかけ、電車の中でもギャラリーの中でもつけなかった。 感染の予防にはならないと専門家が言っているのだからそれに従ったまでで、一人で車を運転している者までマスクをしているのを見ると滑稽というより 付和雷同の恐ろしい風潮だと思うのは小生だけかしらん。
 周りは自粛ばかりの中、わが店は平常通りで、定休日と丸善のために休んだだけ。 図書館・ブックオフが休んだせいだろう百円均一の文庫がいつになくよく出てこれは思わぬ「特需」だが大勢に影響はなし、それよりも大型連休とあれば帰省客や学会などの出張ついでの来客などがいつもならばあるのだけれどまったく無し、というのがこれは困る。
 丸善ギャラリーの展示即売会も開催中止という話も出たり、結局土日休業、営業時間も短縮。木曜日に搬入し金曜日に初日、翌日は休みで月~木曜日営業。さらに悪いことに送付した目録がお客様の手に届いていないのが多いことだ。大学はほとんどが閉鎖、研究室にも入れず、送付した目録は郵便受けの中で「眠っているだろうという話である。  わが店は幸いにして自分で送った先の買い上げがあって、またある研究者からの注文もあって初日だけで最低目標を越えてほっとしたことでした。こんなことで全体には客足は悪く低調だった。
 わが店の売れたものはといえば相変わらず薄く、軽く、小さいという物ばかりで売れた全体の嵩はミカン函一つくらい、バナナ函主体に十数箱 持ち込んでもそのままお帰りいただくことになった。 
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