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内外行動日記です。blog復帰しました^ ^

シェードテイキング1

2009-09-24 22:14:25 | 歯科臨床
最近は白い補綴物を希望される患者さんが多くなってきています。
当然といえば当然なのですが。

そこで、難しくなっているのがシェード(色あわせ)です。
シェードガイドもいろいろあり、
・Vitaクラシカルガイド
・ノリタケシェードガイド
・Vita3Dマスター
・4Season
・ヴィンテージ
・Etc
とまあいろいろとあるわけです。
私自身も全てを使いこなしているわけではないのであまり語れないというのが本音です。(^^;

写真はVita3Dマスターのものです。
今まではA色、B色、C色、D色と4種類に分け、そこから明度によって
1、2、3、3.5、4と分けてきていました。
東洋人はA色が合う、西洋人はB色、という感じです。
A色はやや黄色が入り、B色は白が強い。
C色は青、グレーがかり・・・・といった曖昧なものです。

そこで、もう一度シェードを「明度、彩度、色相」といった3つの視点から見直すことを目的として作られたのが写真のVita3Dマスターなのです。
・明度で5グループ
・彩度で2~3つの選択肢
・色相で、黄色~赤の範囲

優先順位は「明度」≧「彩度」≧「色相」
となります。
要するに、明度が合えば、色は合ってくるわけです。

写真でも明らかにわかるのは明度による色の違いです。
右にいくにつれ、暗くなっているのがわかるはずです。


こんなふうに、学術的に作られたVita3Dマスターは最高!


・・・・・・と思いきや実は意外と使いづらいのです。
もちろん「慣れ」もあると思うのですが。

長年Vitaのクラシカルなシェードガイドに慣れ過ぎてしまっています。
そのため、完全なる色あわせにはまだまだ研究が必要なのです。

私自身も「ホワイトニング」で研究しています。
今は、ゲルタイプではなく、固形物タイプのホワイトニングが好きです。
これも充分に試験したら臨床に導入しようと考えています。

明度とセメントと、透過性によるカメレオン効果の3つが、現時点での結論です。

メーカーによって、同じA色でもまったく違うのも事実。
大切なのは、全国共通の基準を作ることと、その歯医者さん独自の基準を作ることです。

しかし、これには歯科だけでなく「色彩」の知識が不可欠なのです。

専門分野だけにとらわれると大切なものを見落とします。
これは「バルックの法則」と似たものがあります。
「専門家はその分野で何事も勝負しようとする傾向がある」
ということです。
物事を多角的に診るためには専門分野以外の知識が必要不可欠なのです。
今回は「歯科」と「色彩」の知識を応用するため歯医者さん全体でまだ未完成だと言えます。

この「シェード」と「色彩」についてはもう少し考えがまとまったらもう一度レポートしたいと思っています。








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補綴前処置(矯正的挺出術)

2009-09-09 17:10:59 | 歯科臨床
抜歯かな?と思いましたが保存ができた例です。

右下の歯の痛みが原因で来院され、エックス線より、インレー直下に大きなカリエスが存在したため、麻酔抜髄法を行いました。
が、インレーを除去した時、歯に亀裂があることに気づき、骨縁下まで達していました。
原則として、骨縁下まで達したむし歯は抜歯の対象となります。
それは、生物学的幅径が破壊されることと、亀裂部より感染が起こるためです。
こういった歯を治療する場合は大きく2つに分かれます。
1、保存不可能と判断し抜歯する。
2、生物学的幅径を回復し、保存する。

1の抜歯することは簡単ですが、その後の治療方針がブリッジ、入れ歯、インプラント、移植といった方針になり、その後の処置がやや大きくなり補綴物も大きいため、当然費用も大きくなります。
今回は2の生物学的幅径を回復させる方法を選択した例です。

2の生物学的幅径の回復方法は、3つあり、
1、そのまま歯の亀裂の下、まで骨を削ること。
2、歯を矯正で挺出させてから骨を整形する方法。
3、再植(一度抜いてから位置を合わせて戻す)方法
です。それぞれに利点、欠点がありますが、
今回は2の矯正で挺出させてから整形する方法を選択しました。

やり方は両方の歯にワイヤーをひっかけ、ゴムで牽引するというシンプルな方法です。これにより、歯が牽引され、亀裂部分が歯ぐきの上に来ます。
歯と一緒に骨も余分に付いてきますので外科的に骨を整形してあげます。

これで補綴前処置は終了、歯にコア(土台)を入れ、かぶせることができるのです。この前処置は期間がかかるのが最大の欠点です。
実際にこの治療には歯を動かすのに4ヶ月弱かかりました。
費用も保険外になります。
しかし、今まで一般的に抜いてきていた歯を救うことができるのです。
たった一本の歯でも、時間をかけて保存することはアンチエイジングに大きな役割を果たすと思っています。
私の最も好きな治療方法の一つです。

歯を一本治療するにもこれだけの選択肢が存在するということを患者さんも、より多く知っておく必要があるのです。



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6根管

2009-09-05 20:18:01 | 歯科臨床
長い間臨床を行っていると、色々と珍しいことを発見することがあります。
写真は上顎右側第一大臼歯の感染根管処置のものです。

上顎および下顎の大臼歯は、教科書的には根管が3~4本です。
この写真では6根管あります。

メジャーな4根管であるMB1根、MB2根、D根、P根は発見できると思います。
さらに、D根とP根の間に1根管。
MB2根とP根の間に1根管発見しました。

根管は前歯ほどまっすぐで本数が少なく、奥歯になるにつれ、根管が複雑な形態となり、さらに本数が増えます。
お口の中は奥のほうが狭いので、治療の難度はグンと上がるのです。

3~4根管でも治療は大変ですが、今回はその倍です。
非常にコクのある根管治療でした(^^;

さて、これらの根管は治療中に拡大鏡を使っていたため発見することができました。つまりです、普段は拡大鏡を使わないこともあるので、発見できないこともあるわけです。
我々の治療は、あくまで「肉眼で見える範囲の治療」なのだということを痛感した治療でした。
100%の治療が出来たとしても、治療の成功率は絶対に100%にはならないのです。
だからこそ、失敗した時のことも考え、リペアが利く治療を心がけておく必要があるのです。

治療の成功率を上げることと、再治療がしやすいようにすることは我々歯医者にとって永遠のテーマなのです。
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Esthetic Forum2009 1日目

2009-08-12 18:17:35 | 歯科臨床
8月8日、9日の土日を使ってセミナーに参加してきました。
ノーベルバイオケア社の開催する

『Esthetic Forum2009』

です。
ノーベルバイオケア社は日本、世界でもシェアがナンバー1のインプラントのメーカーです。携帯電話でいうならばNTT DoCoMoみたいなものです。
よってセミナーを開く先生方も有名な先生方ばかり。

8日はハンズオンを主体に、スピーディーグルービーのアドバンスコースと、All-On-4を受講しました。

スピーディーはもうすでに実践していますが、All-On-4は未経験です。
All-On-4はポルトガルのマロー先生の考案で、4本のインプラント体で12歯もの補綴物を支える大技ともいえる手技です。
下顎では、オトガイ孔を、上顎では上顎洞を避け、30~45°の傾斜埋入を行い、その日にアバットとテンポラリーが入ります。

要するにオペの日に仮歯が入るのです。
これは、「下顎では3ヶ月、上顎では6ヶ月、骨の無い所はグラフトを行う」というインプラントの性質を大きく覆すものです。
All-On-4のコンセプトは、
・グラフトレス
・即日機能
です。

インプラントの歴史が日本で50年と仮定すると、ここ10年の流れとしては、
「いかに早く機能させるか。」
に焦点がおかれているようです。
いわゆる「イミディエートローディング」なのですが、患者さんのニーズが、
早く咬めるようになりたいという点にあるからだと思われます。
当然といえば当然ですが。

だからこそ、最近は各メーカーも、いかに早くインテグレーションするか?
というインプラントの表面性状に重点がおかれてきたのだと思います。

インプラントの表面を疎にすれば、骨との結合は早まります。
が、インプラント周囲炎が起きた時それらは牙を向くのです。

それを考えると、昔のインプラントの性状である機械研磨は、取り外しやすく、再治療しやすい点からも、見直されてきているといえます。

All-On-4
積極的に行おうとは思いませんが、治療のオプションとして、取り入れてみる価値は大いにあると思われます。




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ラバーダム防湿法

2009-07-30 21:44:36 | 歯科臨床
歯科診療の内容については記載していなかったので書いてみようと思います。

テーマは「ラバーダム防湿法」です。

これは治療を安全に行うための準備なのです。

口腔内には「唾液」いわゆる「つば」があります。
そこには数百種類といわれる細菌が天文学的な数値で存在しています。

要するに、唾液が、歯の中に入ってほしくないから行うのです。
教科書的な言い方をすると、他にも目的はありますが、実践的ではないのでパスします。

歯にクランプと呼ばれる金具を付け、ゴムでカバーします。
これでOK。治療ができるのです。

1歯にクランプをかけ、ラバーダムをするのはそんなに難しくないですが、
隣接面処置や、多数歯の治療では、どうしても2歯にクランプをかける必要があります。2歯だと難度が上がります。

クランプで固定した後、フロスで何度も通し、歯肉溝の中にくい込むようにしなくてはいけません。

基本中の基本ですが、出来ない人も多いと思われます。
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歯科の分野2

2009-07-06 07:28:11 | 歯科臨床
「歯科」の分類
・歯内療法
歯の神経まで達したむし歯および、感染の治療です。
「根管治療」と呼ばれています。
歯の中をきれいにすることで、歯から外へ病巣が広がることを未然に防ぎます。
ここの治療の予後が悪いと、根管の先端(根尖)に病巣が出来てしまい、
再治療の対象となります。
根尖病巣を長い間放置しておくと、膿がたまり、咬合と合わさり、激痛を起こすことがあります。
この、「急性化膿性根尖性歯周炎」は、歯の痛みの中でも最も痛いものも一つです。
痛みの無い状態(慢性化膿性根尖性歯周炎)も、治療の刺激で痛みが出ることが
多々あります。
この根管治療、様々な「流派」が存在します。
大学で教える基本的な「ステップバック法」。
ニッケルチタンファイルを用いる「クラウンダウン法」等です。
私は目詰まりを起こさないクラウンダウン法を原則としています。


~代表的処置~
・抜髄(ばつずい)
歯の神経(歯髄)まで達したむし歯は歯髄まで取り除かないと感染の原因となります。いわゆる「予防拡大」です。
麻酔をするやりかた、失活させるやり方があります。

・感染根管治療
感染を起こし、病巣が歯の周囲(根尖性歯周炎)を起こした歯の処置です。
むし歯の取り残しや辺縁封鎖、フェルール効果が無い時に起こります。
ファイルなどで、感染源であるむし歯をやすりがけして取り除き、薬剤で消毒します。当院では、EDTA製剤と次亜塩素酸ナトリウムによる交互洗浄を基本としています。

・根管充填
清掃された根管を封鎖する処置です。
シーラーとポイントによる封鎖が原則です。
加圧方法により側方加圧(ラテラル)根充と垂直加圧(バーティカル)根充があります。
①側方加圧根充法
大学で教える最も基本的な方法です。
スプレッダーと呼ばれる器具で側方に加圧していきます。
厳密にはプラガーで垂直にも加圧します。
②垂直加圧根充法
こちらのほうが、封鎖性が高いといわれていますが、根管を大きく削るため、
現在では賛否両論です。
私の場合は前歯部~小臼歯部ではこの方法が多いです。
流派により様々です。
・大谷式オブチュレーション
・NTコンデンサー法
・オピアンキャリア法
・サーマフィル
・JHエンドシステム
目的はどれも一緒です。



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歯科の分野

2009-06-29 07:32:15 | 歯科臨床
ただ単に「歯科」って言いまても、なかなかわかりづらいものです。
なので今回は「歯科」とはどのような分野があり、分かれているのか?
を解説したいと思います。

・歯科 とは?
医科の中に、内科、整形外科、皮膚科、循環器科、脳外科、小児科、外科、泌尿器科、etc
様々な「科」があります。
その中の一つが「歯科」なのです。

「歯科」の分類
看板に標記できるのは以下の4つです。
・歯科
・口腔外科
・小児歯科
・矯正歯科
です。
よって、当院では、歯科、口腔外科、小児歯科、矯正歯科 の4つを
看板にて標記しています。
しかし、これがけでは足りないのです。
この「歯科」の中に様々な分野が存在します。

「歯科」の分類
・予防歯科
・保存修復
・歯内療法
・歯周治療
・補綴(インプラント含む)
・小児歯科
・矯正
・口腔外科
・咬合、顎関節
・審美
こんなに看板に標記されていたら普通の人はわからないですよね(^^;)
だからわかりやすく 4つに分類されたのだと思います。
ではこれらの「科」が具体的にどのようなことを行うのか?
について記載してみようと思います。

①予防歯科
治療ではありません。(キュアではなく→ケアです)
歯を強くしたり、歯の汚れ、歯石、バイオフィルム等を除去し、長期的に予後を
コントロールしていくことを目的とします。
主に、衛生士さんが処置にあたることが多いです。
全ての患者さんが、この分野のみの処置で予後がコントロールできることが望ましいです。
定期的(約3ヶ月)な受診を行っている人と、そうでない人で、歯の本数が、
10年単位で差が出てくるというデータもあります。
健康な人も受診していただきたい分野です。

~代表的処置~
・PMTC(プロフェッショナルメカニカルトゥースクリーニング)
・3DS(デンタルドラッグデリバリーシステム)
・口臭治療
・サリバテスト、唾液流量検査、等

②保存修復
歯の治療です。歯の第二層(象牙質)まで達したむし歯の除去、およびその修復
を主な処置とします。

~代表的処置~
・う窩処置(むし歯を削ること)
・IPC法(歯髄に達しそうなむし歯を神経を保護しつつむし歯を除去する)
・CR修復(コンポジットレジン修復)
最も頻度の高い治療法の一つ。白いつめもので直接歯を修復します。
治療が一度で済み、比較的審美的なのが利点です。
欠点は、術者の技術により差が出ることです。
良い歯医者さんほど、ここの治療の技術が高いと思っています。
・インレー修復
型を取り、技工士さんが作製します。
主に、金属での修復となります。
利点は、型を取るので、適合が良いことです。
欠点は、時間がかかることです。
保険適応の金銀パラジウム合金と、適応外の金合金、ハイブリッドレジン、セラミックがあります。長期予後を考えるなら金合金での修復がお勧めです。

また後日、後半はレポートします。
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