芳野星司 はじめはgoo!

童謡・唱歌や文学・歴史等の知られざる物語や逸話を写真付でエッセイ風に表現。

全体主義、原理主義

2015年11月15日 | コラム
           

 20世紀は、二つの政治経済思想を旗印とした全体主義の時代だった。政治家たちがとったポピュリズムと、それが煽ったナショナリズムが全体主義を育てた。全体主義は二つの大戦を現出させたが、戦後も二つの政治経済思想は、冷戦という膠着状態として残った。
 やがてベルリンの壁が崩壊した。自由主義、民主主義が勝利したわけではなく、全体主義と膠着した政治経済思想のシステムが自壊したのだ。残ったもう一方の政治経済思想は、完全に自由至上主義(リバタリアニズム)、自由市場原理至上主義という経済思想と欲望に乗っ取られた。
 今から20年ほど前、フランスの哲学者ベルナール=アンリ・レヴィは「危険な純粋さ」という書を著した。彼によれば、21世紀は、原理主義という危険な純粋さがキーワードなのである。イスラム原理主義、キリスト教原理主義、ユダヤ原理主義、自由市場原理主義…。
 日本では自由市場原理主義に乗っ取られた政治屋たちのポピュリズムが、ナショナリズムを煽りはじめ、かつ軍産複合の自由市場原理主義が支配するアメリカの属国となり、戦前の全体主義への回帰を策謀し、それを着々と推し進めている。

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