芳野星司 はじめはgoo!

童謡・唱歌や文学・歴史等の知られざる物語や逸話を写真付でエッセイ風に表現。

大岡昇平さん、戦争指導者を憎悪する

2016年09月07日 | 言葉
                                                            

 われわれの死に方は惨めだった。われわれをこんな下らない戦場へ駆り立てた軍人共は全く悪党だった。芸妓相手にうまい酒を飲みながら、比島決戦なんて大きなことをいい、国民に必勝の信念を持てといい、自分達はいい加減なところで手を打とうと考えていた。
  (「ミンドロ島再び」)

 彼は対談集の中で、こういうことも言った。


 戦後25年、おれたちを戦争に駆り出したやつと、同じひと握りの悪党どもは、まだおれらの上にいて、うそやペテンで、同じことをおれたちの子どもにやらせようとしている。


 彼らを「戦争に駆り出したやつと、同じひと握りの悪党ども」の孫たちが、祖父の時代を「美しい日本」と呼び、その美しい「日本を取り戻す」のだと獅子吼している。彼らが再び国民を戦争に駆り出しかねない異常な空気が、いま日本を覆い始めている。特定秘密保護法を成立させ、安保法制を強行採決し、閣議だけをもってして憲法解釈を捻じ曲げ、都合の悪い意見を持つ内閣法制局長を更迭し、NHK会長や経営委員は全て総理の友人で固め、メディアを恫喝、圧力をかけて政権に批判的キャスターたちを降板させる。両院ともに三分の二を確保したので、いよいよ憲法9条の削除をはじめとする壊憲が始まっている。


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