芳野星司 はじめはgoo!

童謡・唱歌や文学・歴史等の知られざる物語や逸話を写真付でエッセイ風に表現。

普天間基地跡地利用とヌチドゥタカラ

2015年12月09日 | エッセイ

 返還される普天間基地の飛行場跡地にディズニーランド・リゾートを誘致したいと、宜野湾市長がこともあろうに菅官房長官に申し入れたそうである。自分の市長選挙対策だろう。 
 菅は「たいへん夢のある話だ。オリエンタルランドの橋渡しをする」と約束したそうな。オリエンタルランドから見返りに政治献金でもあるのだろう。
 しかし、断固これに反対したい。日本にはUSJもある。ディズニーランドのようなアメリカ版の大型テーマパーク・リゾートはもういらない。またUSJも沖縄の「ちゅら海公園」にテーマパークを建設したいそうなのである。
 ディズニーランドは小さくて評判は悪いが香港にもある。また2016年に上海に超大型のディズニーランド・リゾートがオープンする。東アジアに四つのディズニーランドはいらない。上海を含め世界には12のディズニーランドがある。
 東京ディズニーランドには何回か行ったが、長蛇の列と雑踏が嫌いな私には、サービスに欠けたつまらない場所だ。しかもあちこちが本日休止、本日休演だ。
 そもそも、ウォルト・ディズニーは優れたアート・ディレクター、経営者であって、漫画家でもアニメーターでもなかった。まあそんなことはどうでもいいが…。
 世界中の子どもたちが大好きなディズニーのキャラクター・グッズはハイチなどカリブ海の最貧国の工場で、児童労働によって製造されてきた。子どもたちは親が失業し、貧しいため学校にも行けず、ディズニーのキャラクター・グッズの工場で、長時間労働をしていたのだ。つい20年前までの話である。この最貧国での児童労働は、世界中から批判を浴びたので今はやっていないだろうが、どこが「夢のある話」なのだ。

 かつて井上ひさしが「吉里吉里国」に関連して沖縄についても述べていたことがある。沖縄に世界最先端医療の研究機関、医大、最先端医療機関を誘致して、最先端医療立国、医療立県を構想してはどうかと…。大賛成である。
 世界中の医療ツーリズムが目指す場所だ。また介護、リハビリ、スポーツ医療、ちゅら海の深層水を使用した本格的タラソ医療、シルバー世代の移住地として終の棲家を提供したらどうか。
 沖縄には「ヌチドゥタカラ」という言葉がある。「命どぅ宝」だ。「命こそ大切な宝だよ」という意味だ。
 むかし戦争で、棄民のように命を軽んじられ、多くの人が亡くなった沖縄だからこそ、そして長寿の島・沖縄だからこそ、命を大事に想う、どんな命も大切に愛しく想うのだ。医療立県「命Do宝・愛ランド」…命を大切にする愛の島構想のほうが、ディズニーランド、ディズニーシーや軽薄なリゾート化より、ずっと社会的意義があると思うのだ。

 ついでながら、辺野古への普天間移設・新基地建設はすぐ取り止め、基地受け入れを表明している岩国市や安倍氏の出身県である山口県にアメリカの海兵隊と空軍基地を移設し、フィリピン政府とアメリカ政府を取り持って、「思いやり予算」を、名称も「思い切り予算」としてフィリピンとアメリカ軍に数千億円提供し、スービックの海軍基地、空軍基地、アメリカ海兵隊基地の整備と再生に使ってもらったらどうだ。
 アメリカがフィリピンのスービックから撤退後、中国は東沙、西沙、南沙に猛烈に進出し、海域からヴェトナム、フィリピンの漁船、監視船を追い出し、岩礁を埋め立て、軍事施設の建設を始め、間もなく完成させようとしている。ここにアメリカに請われて日本の艦船を出すより、いまフィリピン政府が始めたスービックの再生、整備を助けたほうがよいと思うのだ。再びアメリカがスービックに腰をおろすよう取りはからえ。それが中国の南沙海域、シーラインを制覇することを阻む唯一の方法だ。