クリフハンガーな人たち①

2008-01-25 21:23:23 | 20XX年うつうの旅
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 多少、精神を壊された方と関わる仕事をしている。

 率直に言って、精神のことを考えていた。病気になるアレのことを。先週あたりから気になっていて、きっかけは、古本屋の文庫本の高騰に耐えかねた僕が手に取った新書が『人の心はどこまでわかるか?』(河合隼雄 講談社+α新書)だっただけで、そんなことで思い出したり、今更思ったりすることが沢山あっただけだと思う。

 そんな大それたことを言う前に僕のことを話さないといけないと思う。フェアか?アンフェアか?って、問題じゃなくて、適当なことを並べる上での手続きとして。何か批判っぽいことを言われた時に「そんなのは、知らねぇよ!」で済ませたいから。

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んじゃ、プロローグ。

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 精神までの道のりが酷く遠かった。僕は、最近まで何も考えないで生きてきた。もしかしたら、今も大して考えていない、部類に入るかもしれないけれど。

 多分、自我なるものが確立されるのが遅かったんだと思う。今となっては、信じられないことだけけれど、鏡を見て、「そこに映っているのは自分だ!」って、知ったのは、実はつい最近。多分、2,3年前だったと思う。『自分が平均より背が高い』って知ったのは、確か…?二十歳を過ぎてからだった。そんな感じだから、僕は未だに『他人の痛み』なるものは理解出来ていない。

 おかしな話なんだろうと思う。じゃあ、その前に自分をどのような形で認識していたのか?と言うのは、僕の場合『痩せている人間』…って、ことだけだったんです。姿かたちは『痩せている』しかなくて、生活全体からみると、『痩せていて、足が(なんとなく)速い』ぐらいだった。高校時代を中心に振り返ってみる。

 オートマチックに毎日を消化していた。僕は、走っていて、タイムを気にしていて、それ以外は、まるで無かった。皆無。走る為に学校に行って、走り終えて家に帰る。そして、風呂に入って(入っていなかったかもしれない…)、明日の走る準備の為に、寝る。でも、そこに僕が、僕として、存在する意義はなかった。そのことすら自覚をしていなかったから、仕方がないことだけれど。

 軽く、壊れていた。だって、何も考えていなかったから。夢見る余裕もなかったんだ。その必要も、なかった。自分を自覚する時間は、タイムに吸い取られていた。そんな、3年間があった。ホントに、それだけの3年間。


 何となく進学し、知らない人たちの中に入る。走らなくてもよくなった痩せた男は、迷走する。規範がない。何処に行っても、タイムがない。幸い、自覚がなかった分、混乱を回避する。ぼやぁあ…っと、それっぽい、地平線が広がる。何となくの自分を中心とした、地平線。正直、びっくりしたけど、静かだった。自覚はまだない。自我は遠くにすら、見えていない。遠くに、海が見えていた。だから、どうってことはないんだけど。走るのが速い痩せた男は、ただの痩せた男にになった。マイナーチェンジ。全然、…まだ、顔を上げることに気付いていない。姿勢が悪くて、醜い。



 …続く。




『納得したような、精神シリーズ』 あと、2回位で終わらせたいです。









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