火というもの。

2013-04-24 23:30:39 | コドモオトナ(開墾日誌)

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もう何年も前から、ムカついていた。葦(よし)にムカついていた。草刈り機にガソリンを満載して、突っ込んでいっては何度も跳ね返されていた。全く、自然というもののタフさ…、といったら、葦(よし)だった。対抗で、ヨモギ。ちょっと前から燃(も)すことが、ちょっとしたブームだ。葦原(よしばら)も、燃(も)してしまおう!ということで、多分、何かが動き始めた。

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鳴ってはいけないタイミングで携帯が鳴った。「…取ろう!」何故だか僕は直感した。恐縮しながら電話の先では葦原(よしばら)を燃(も)していて派手だから見に来ないか?と、興奮気味に話している。「行かなければ!!」自分のタイムテーブルとは合わないけど、こういうことで直ぐに馳せ参じる自分でありたいと、直感的に思った。うん、昼休みを潰そう。何分かの為に、何十分かの昼休みを捨てて車を走らせた。

葦(よし)という植物はシャッキリ伸びている。見た目はかなりクール。シュッと伸びて群落を形成している。湿地を占有する、まさに湿地の帝王だ。ムカついていた。他の何者も許さない、そのエゴイストぶり!何があっても地下茎でしっかり繋がっている、その保守性!完璧過ぎて、気持ち悪い!よく分からないけど、燃(も)してやれぇ!!

倒された葦(よし)に火が点けられる。最近の陽気でカラカラに乾いた葦(よし)はメラメラと音を立て燃え始める。あっという間に火は周り、炎は僕の背丈を越え、更には僕らのまつ毛までも燃(も)し始める。風が巻き、周りをも燃(も)し始め、軽快に事は進んでいく。

しかし、僕らは知っている。そんなものではないと。

あと数日もすれば更に強い芽が強力な緑を携えニョキっと出てくる。今までよりも更に逞しくなっているだろう。燃(も)したぐらいなんかなんでもないだろう。下手したら、それが肥料になっちゃう。僕らの燃えたまつ毛も含めて。

でも、燃(も)したかったんだ。それは、徹底抗戦を表明する狼煙でもある。そういう火を点けたんだと思う。

破壊と再生は表裏一体だ。ふと、あるインドの神を思い出した。うん、そう、流石に分かってきた。その、在るんだか無いんだか分からない境界線を、勝手に、派手に、行き来しているんだと思う。

 


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