岐阜市の公立小学校で2014年に組み体操の人間ピラミッドの下敷きになり後遺症を負ったとして、当時6年生だった高校3年の女子生徒(17)と両親が市に約5090万円の損害賠償を求め、岐阜地裁に提訴したことが16日までに分かった。提訴は3月25日付。

 訴状によると、女子生徒は14年、運動会のプログラムの組み体操の練習で、10人一組で行う4段ピラミッドの1段目を担当した。同年9月19日の練習中、上段の児童がバランスを崩してピラミッドが崩れ、他の児童の下敷きになった。事故後、原因不明の頭痛や倦怠(けんたい)感に悩まされ、16年11月に病院で脳脊髄液減少症と診断された。現在も症状は続いているとしている。

 原告側は、女子生徒のグループは練習中に1度も4段ピラミッドを完成させたことがなかったため、教員は崩落を予見できたにもかかわらず、補助する教員を近くに配置するなど危険を回避するための措置を十分に取らなかったと主張している。

 取材に対し岐阜市は「訴状の内容を精査し、弁護士と協議して対応する」としている。

 県教育委員会によると、19年度に運動会でピラミッドを実施したのは367校中62校で、いずれも3段以下の高さで行われた。

 父親は取材に「娘は先生になるのが夢だったが諦めた。誰かが同じ目に遭うかもしれないのを『放っておいてよいのか』と思っている。学校は子どもの安全について再考してほしい」と提訴に踏み切った理由を語った。