ダイエットの定説が覆る?
食事は朝はしっかり、
夜は控えめが良いといわれるが…
【役に立つオモシロ医学論文】
【役に立つオモシロ医学論文】
一般的に、朝にしっかりと食事を取り、
夕食は控えめにしたほうがダイエットに効果的で、
肥満を予防できると考えられています。過去に行われた研究でも、
夕食と比べて朝食の摂取カロリーが高い人は、
より多くの体重減少に関連していることが報告されていました。
1日のエネルギー消費量は、生活スタイルや時間帯によって異なり、
食事の摂取タイミングはダイエット効果に
何らかの影響を与えている可能性があります。
しかし、その詳細なメカニズムについては明らかになっていませんでした。
そんな中、食事の摂取タイミングと体重減少の関連性を検証した研究論文が、
生理学に関する国際誌に2022年10月4日付で掲載されました。
英国で行われたこの研究では、
体格指数(BMI値=[体重]÷[身長の2乗])が27~42の
30人(平均年齢50.9歳、平均体重95.4キロ)が対象となりました。
被験者は、カロリーの摂取量を朝食に高くするグループと、
夕食に高くするグループにランダムに振り分けられ、
4週間後の体重変化やカロリー摂取量が比較されています。
その結果、4週間後の体重は、摂取カロリーを朝食に高くしたグループで3.33キロ減少、
夕食に高くしたグループで3.38キロ減少と、変化量に明確な差を認めませんでした。
また、1日の摂取カロリーにも明確な差はありませんでした。
ただし、摂取カロリーを朝食に高くしたグループでは、
空腹感を感じた人が減少していました。
論文著者らは、「朝食の摂取カロリーを高く、
夕食を控えめにしても体重減少に差は見られない」としつつも、
「朝食を多めに摂取することは食欲を適切にコントロールすることができ、
ダイエット計画を円滑に進める助けになるかもしれない」と結論しています。
(青島周一/勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰)