健康に生きていくうえで
重要な3つのホルモンを作り出す
【健康長寿のカギは腎臓にあり】
【健康長寿のカギは腎臓にあり】
「体内の司令塔」とも呼ばれる腎臓。それは、腎臓の主要な働きが、
血液が運んできた老廃物を尿として体外に排出し、
体の中に不要なものをためないようにすることにあります。
さらに腎臓は、健康に生きていくうえで重要な3つのホルモンを作ります。
具体的には、体内の赤血球を増やす役割がある「造血ホルモン(エリスロポエチン)」、
血管の拡張と収縮に関わる「血圧調整ホルモン(レニン)」、
カルシウムの吸収を促進し、
骨への吸着を促す役割がある「活性型ビタミンD」です。
造血ホルモン(エリスロポエチン)は、骨髄の造血幹細胞に働きかけて
体内の赤血球の数を調整しています。腎機能が低下してしまうと、
造血ホルモンの分泌が少なくなり赤血球が減少。
こうなると、貧血を起こしやすくなります。
血圧調整ホルモン(レニン)は、血圧を上げる作用を持つ
「アンジオテンシンⅡ」というホルモンに働きかけ、
血圧を一定に保つ手助けをしています。
腎臓がうまく働かなくなるとレニンが過剰に分泌され、
血圧が上昇し高血圧を招きます。
では、活性型ビタミンDを生成する力が弱くなると、どうなるか。
カルシウムの吸収が悪くなり、その結果、骨粗しょう症などの
骨の病気を引き起こしやすくなります。
骨がもろくなったり、骨密度が下がると、
ちょっと転んだだけで骨折してしまう可能性が大きくなる。
特にお年寄りは転んで骨折したことが原因で、
寝たきりになってしまう人も多い。
とにかく転倒しないこと、そして転倒しても簡単には折れない
骨づくりを意識してほしいですし、
そのためには腎臓の働きが大きく関わってきます。
腎臓は、3つのホルモンを作る以外にも、
体液中のさまざまなミネラルの濃度を調整する働きも担っています。
認知度が低く一見、地味な存在の腎臓ですが、
実は体内でコツコツと一生働く、働き者なんです。
(森維久郎/赤羽もり内科・腎臓内科院長)