ひーこのくつろぎ。

日々の出来事など、好きなことを気ままに語っているブログです。

『アラベスク』山岸凉子 原点にかえって萌え語

2014-05-29 23:45:16 | 漫画


ユーリはきみを愛している 世界中のだれよりも…

アラベスク / エドゥアルド・ルキン


私の少女漫画の原点。

もう何度読み返したか分からないくらいに私の心を掴んで離しません。

『日出処の天子』で既に山岸さんのファンでしたが、『アラベスク』を読み終わった時には殿堂入りしてしまいました。
作品を読んだ順番が逆の人の方が多いかもしれませんね。

多感な時期に萩尾望都さんと山岸凉子さんの漫画に出会ったためか、今でも「何か影響を受けたいな」と思ったら、真っ先にこの先生方のコーナーに行きます。

小学生の時に読んだ水沢めぐみさんの『トウ・シューズ』の影響でバレエ漫画が好きだった自分は中高生の頃、山岸さんの作品というのと表紙がバレエの写真だったことに引かれて何となく購入。(買ったのは文庫版です)

その時は第1部の上巻だけ買って帰り、次の日には全巻揃えていました。

何故にバイブルになる漫画は何となく引かれて手に取ったものが多いのか、不思議でしかたないです。
衝撃度の高い癖のある作品との出会いは母がたまたま買っていた1冊からというパターンなのも。

そんな『アラベスク』のストーリーは、落ちこぼれ主人公ノンナ・ペトロワが後に最高のパートナーとなるユーリ・ミロノフに才能を見出され、プリマバレリーナを目指すという超王道なシンデレラストーリー。

この何の変哲もない話を何度でも読み返したくなる漫画にしてしまうのが山岸凉子さんの凄いところであり尊敬してやまない理由だったりします。

何がそんなに自分と合うんだろう、惹かれるんだろうと思ったら、まず主人公のノンナが大好きだということが一つにあります。

少女漫画の主人公といえば「明るく元気な女の子」っていうのが定番(今は違うかも)ですが、ノンナは真逆の「ネガティブ思考ですぐウジウジする泣き虫な女の子」という、読む人によってはイライラが半端ない性格の主人公。

でも私はこの気弱な性格のノンナに共感する部分が多くて自然と応援していました。
物語が展開するにつれ、少しずつ強く成長していく。そこがいい!
見た目も可愛いし、頑張り屋さんだと思う。

逆にノンナを見出すミロノフ先生は現実には絶対いないだろ!っていうくらいにバレエにストイックでノンナの事を誰よりも大きな意味で愛していて、でもそれが分かりにくくて、と私のツボを突きまくる男性キャラ。

この二人の焦れったい関係が関係性オタクの私には最初から最後まで堪りませんでした♥


私の萌えボイントその①:言葉よりも行動・態度で示す。
ミロノフ先生はノンナに「好きだよ」「愛してる」などの甘い言葉・愛の囁きは(基本的に)言ってくれません。

「君じゃなきゃダメなんだ」「もう離さない」「ずっと傍にいてほしい」「君のことばかり考えてる」とか皆無です。(←言葉のチョイスが古くてすみません)

でもそんな台詞は全く要らない。だってミロノフ先生の言動でノンナの事が誰よりも大切だというのが分かるから。

例1:ノンナだけ特訓することに納得いかないマイヤが先生に特訓を頼むとうまいこと言って断る。

例2:失踪したノンナが見つかったと聞いて誰よりも先に迎えに行く先生。

例3:ノンナの踊りのことに関して見当違いなことを言ってくる人にはたとえ偉い人でも喧嘩は当たり前。

例4:ノンナの具合が悪くて病院へ行っていることを知らなかった先生はその話を聞いた途端「どうしてはやくいってくれなかったんです!」とすごい剣幕で怒って病院に直行。

例5:無関心な人間にはあまくて関心のある人間には厳しい先生。(ノンナにはもちろん厳しい)

例6:レーニン賞を受賞したことをまず一番にノンナに報告しに行く先生。

男の人にはやっぱり言葉よりも行動で示してほしい(という勝手な願望がある&その方が愛を感じる)ので、こういったノンナが知らないところでのミロノフ先生の言動というのは神視点で見ていて堪らないです。

結論として、私はキュンとくる台詞も好きだけど自然と出てしまう言動・行動の方に(本当のところでは)萌えるみたいです。


私の萌えポイントその②:本人じゃなく他人に自分の気持ちを語る。
それをノンナに言えー!という気持ちを親友のレオに語る先生。それに対するレオの台詞にも惚れたり萌えたりで大変なことに。

例1:ノンナの失踪で隠し撮りしていたフィルムがパーになり先生に怒るレオ。
ここで責めるレオは実のところ先生の本音を引き出したかっただけ。

そんな事を知らない先生は、
「わたしがノンナの苦しみの前で笑ったとでもおもうのか!」
と遂に本音を暴露。

私は先生の本心に大歓喜。
その後のレオの説教にも惚れる。

例2:レッスンを怠けるラーラと先生のタイミングが合わずミスを連発。

「さしものラーラも遊びすぎがたたってきたらしいな」と言うレオに、
「ミスしてるのはわたしだ」と言う先生。

ビックリするレオに対して、
「だめなんだ ラーラじゃ…… だめなんだ」
と苦しそうな表情で言う先生に萌えが止まらない。

ついでに言うと、ラーラとのレッスンで先生が
「ノンナそうじゃない そこは………」
名前を間違えてラーラが不機嫌になるシーンも好きです♥

例3:ノンナがカリンにピストルを突きつけられている瞬間を目撃した先生。
急いでノンナのもとに駆けつけ彼女を助けるもカリンの歪んだ愛情表現により先生が撃たれます。

ユーリが撃たれたと聞いてモスクワからすっ飛んできたレオに、
「もしこれがノンナだったら………と思うとゾッとする」
とその時の心境を語る先生の台詞一つひとつにノンナヘの愛が凝縮されていて、山岸さんは天才だと思いました。(←山岸さんが天才なのは皆知ってます。)

その話を聞いて「おれもそこまでだれかのために痛みをカンジてみたいよ」と羨ましがるレオの台詞でさらに萌えるという異常事態発生。

というか物語のラスト近くは萌えの塊ですヽ(*^^*)ノ


私の萌えポイントその③:二人の関係についての登場人物達の認識。
ある意味これが一番萌えるところであり、『アラベスク』にはそれが詰まっていると私は思う。

他人からの嫉妬・羨望・評価・認識。

これですよ、これ。当人達が「私たちラブラブですから」「俺たちこんなに仲がいいんだ」と言うよりも、他者からの「二人の間には入り込めないわ」「ほんとに仲いいな、お前ら」という評価の方が何十倍も説得力があるっていうやつです。(←例えが分かりにくくてすみません><)

ユーリとノンナは自分たちの関係についてほぼ語りません。

想いが通じ合ってる時も何も言葉を交わさないです。

泣いて、抱き締めて、見つめ合って、笑って、それで十分な二人の絆に憧れます。
手を取っただけで先生だと分かるノンナのシーンとか大好き(*´∀`*)

それに、二人が何も話さない分、周りがバンバン言ってくれます♥
というか皆がノンナとユーリの仲を(バレエにおいてだけでなく)公認しちゃってます( ´艸`)

中でも一番萌えたのは先生の永遠のライバル、エーディクことエドゥアルド・ルキンがノンナに宛てて綴った手紙の内容。

内容は2つ。

「エーディクの懺悔」と「ユーリの心境について」

前半の

「この手紙はぼくの懺悔なのだ」

でノンナと同じ表情・気持ちになり、

ユーリのとった態度の理由が後半でわかるのがもう、もう堪りません
しかも先生じゃなくてルキンが言うから説得力が半端ない!

「ぼくもきみとユーリの組み合わせほどお互いにとって最高なものは 万に一つもあるまいと(嫉妬しつつも)思う…よ」

「きみたちは最高のパートナーにあまりにも早くめぐりあいすぎたのだ あまりにも人生のはじめにおいて…」

エーディクの手紙は穴があくほど何度も何度も読み返しています。


第2部の一番の盛り上がりは何と言ってもチャイコフスキー・コンクールでの「ラ・シルフィード」

「蒼ざめて 透明な 真の ロマンチックバレエを!」のシーンでは、レミルじゃないけど私も「ああ 引きずりこまれていく 彼女の妖精の世界に」状態でした。

金鎖の音が本当に聞こえたような、そんな錯覚。


コンクールでもう一つ好きなのが「ラ・シルフィード」を踊る直前の舞台裏での出来事です。

本番前、持ってきたはずのブレスレットがなくて動揺するノンナ。
「踊れないわ!きっときっと失敗する 失敗するわ!!」
と言って泣き出すノンナに、

「泣きやむんだ」

と(レミルとカリンの前で)ミロノフ先生がノンナにキスをする。

先生かっけえええええ(*´д`*)

と叫ばずにはいられなかった♥笑

ノンナのことを密かに好きだったレミルが
「ぼくにはできない! 彼女の心をここまでしずめることは ぼくにはできない」
と心で泣くのが切ないけれど萌えました。


カリンはこれぞ山岸キャラといった感じ。

ノンナの親友アーシャに子供が生まれ、その事に感動したと言うノンナに対して、

「不気味ね ああもなりたくなかった こうもなりたくなかったという性格がひきつがれて 自分の成長をもう一度くりかえし見せつけられるんだわ」

と言い放つカリンの台詞が印象的。

あとテナンの話も。

ピセアダイという若者が テナンの顔をみて憎まれていると思って殺してしまう
そこへ神があらわれて 彼女の心臓を開いてみせると
彼への愛でいっぱいだった

テナンは愛する時と憎んでいる時の表情が同じだったのだ…


まさにカリンはテナン。
ローゼへの歪んだ愛は読んでいて悲しかったです。


そして、物語で最も大切なのがラストシーン。

萩尾さんもそうだけど、山岸さんも締め方が素敵すぎる♥

「ああ、もう少し読んでいたい。でもこれ以上は要らない」という絶妙のバランスで終わります。

初読時は厚さがもうない!終わってしまう~って思いながらページをめくっていたのが懐かしいです。

最後のページは絵で語る。

このラストがあるからまた最初から読んでしまうんですよね。


と、私が思うままに纏まりなく記事を書いていきましたが、自分の中での『アラベスク』を一度整理したかったのでそれが出来てよかったです。
まだまだ触れていないところが沢山あって満足はしてませんが\(^o^)/

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

『アラベスク』は私にとって萌えと燃えがいっぱい詰まった絶対に手放せない特別な作品です。


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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ひーこ)
2015-12-25 16:44:59
>ゆーりさん

熱い熱いコメントありがとうございます!!!
返信遅くなってしまって申し訳ないです(´;ω;`)

HNからもよく分かります(*^▽^*)♥
ゆーりさんにとってどんなにアラベスクが特別な存在か。
もう一つ好きな漫画のタイトルを是非教えてください!
めちゃくちゃ気になります!!

アラベスクをリアルタイムで追い駆けていたゆーりさんが本当に羨ましいです(≧∇≦)♥♥
そしてそして、ユーリみたいな人と初恋で結婚とか理想過ぎて私もゆーりさんみたいになりたいです!笑

セリフの一言一句、空でも言えるゆーりさん凄い!!!
こうしてゆーりさんとお話しできるのもアラベスクのおかげですね(*´ω`*)
感想をUPして本当に良かったです!

私も辛いとき自信をなくした時にアラベスクを読み返して勇気づけられています(^▽^)
ゆーりさんのコメントにもめちゃくちゃ元気になりました!

ありがとうございます♥
良ければまた遊びに来て下さいね♪
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Unknown (ゆーり)
2015-12-15 01:38:31
このHN使ってるだけでも、私にとってのアラベスクがどんなに
大きな存在かお判りでしょう?
(実は、もう一つ好きな漫画のヒロインのネームでもありますが。。。汗)
私は貴女より多分かなり年上かと。

アラベスクの連載を、毎週心待ちにしていた世代ですから。
この漫画はまさに思春期そのもの。
そして、ユーリのような人に憧れ、初恋に恋して結婚までしてしまった
世代でもあります。。。(笑)

ノンナとユーリに関するセリフの一句一句は勿論、空でも言えるほどですが、デナンのエピソードまで、貴女が書いてくださったことに、ああ、
私と同じツボを持っていらっしゃる方がいる!!と感激!

まあ、こんなおばさん(おばあさん?)になっても、未だ人生の
ちょっとした苦節の折に、勇気づけられるアラベスクには感謝の一言に尽きますね♪、
<色:#996699></色>
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Unknown (ひーこ)
2014-06-02 23:29:10
>Juriさん

こんばんは(((o(*゚▽゚*)o)))

わ~、Juriさんにそう言っていただけてめちゃくちゃ嬉しいです♥♥
「アラベスク」は超超超オススメですので、ぜひぜひ読んでください!
きっとバレエが好きになると思いますよ(*'▽'*)
私も記憶を消してもう一度あのワクワクを体験したいくらいです笑
何度読んでも色褪せない素敵な作品です♥
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Unknown (Juri)
2014-06-02 22:40:09
バレエ漫画の名作と噂の「アラベスク」。ずっと気になっていたのですが、読んだことがなかったので、これを機会に読んでみたいですヘ(≧▽≦ヘ)

ひーこさんの書いてくださっていたレビューを読んだら、ほんとポチせずにはいられませんでしたw

もうすぐサイコパスのほうが読み終わるので、その次、「アラベスク」読んでみたいと思ってます♥︎
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Unknown (ひーこ)
2014-05-30 11:42:22
>てんてんさん

こんにちは(((o(*゚▽゚*)o)))

良かったですヾ(@⌒ー⌒@)ノ
やっぱりAmazonリンクが原因だったみたいですね。
てんてんさん、ありがとうございます♥

私も「トゥ・シューズ」大好きでよく読み返していた漫画なので、「アラベスク」を読んだ時には色んな意味で衝撃を受けました。

わ~い、めちゃめちゃ嬉しいです(*'▽'*)♪
「アラベスク」はとにかく登場人物が主役から脇役までみんな魅力的です!!!
話の展開はもちろん、キャラの心理描写がとても丁寧で何度も読み返して自分の中で勝手に解釈して萌えています。笑
どのシーンでも解説できそうなくらいに読み込んでる漫画ってかなり少ないので、てんてんさんも「アラベスク」の世界を堪能して下さいね(*´∀`*)

返信する
Unknown (てんてん)
2014-05-30 09:08:08
>ひーこさん
おはようございます(≧∇≦)♥︎

表示されてました~(((o(*゚▽゚*)o)))!!!わざわざ記事を修正してもらって、、、すみません~(T . T)!!

「トゥ・シューズ」が影響受けている漫画とか間違いないじゃないかーーー!!!!「トゥ・シューズ」を越えるバレエ漫画に出会えるかもしれないんですね!!!!
絶対絶対読みます!!!
ひーこさんに進めてもらった、残神も魔法科~も面白かったので間違いないですね!!!
今日TSUTAY◯行ってみます!!で、もしレンタルなかったら買います!!笑
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Unknown (ひーこ)
2014-05-30 00:03:53
>てんてんさん

こんばんは(*´ω`*)

更新記事が表示されないとのことで、「もしやアマゾンのリンクが原因じゃ?」と思い、リンクを削除して修正してみましたが表示されていますでしょうか?

てんてんさんも「トゥ・シューズ」読まれてたんですね!
この作品が好きなら「アラベスク」は絶対にハマります♥
なぜなら「トゥ・シューズ」が「アラベスク」に影響を受けているなというのがライバルの出現順や性格から分かるからです!笑

「アラベスク」はてんてんさんにガン押しします!!!!!
この作品は絶対に読んでほしい。
損はさせません!!保証します!!(←大袈裟)
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Unknown (てんてん)
2014-05-29 21:31:01
こんばんはヽ(・∀・)ノ
携帯だとひーこさんの更新記事が表示されない~(´;ω;`)
なぜだ~~(´;ω;`)
と言う事でPCからコメ♥

「トゥ・シューズ」私も小学生の頃に読みました!!めちゃくちゃ大好きな作品です!!
バレエ漫画って優雅で綺麗なイメージだけど、どんなスポ魂漫画よりも熱いですよね!!!

「アラベスク」聞いたことはあっても、読んだことはなかったです・゜・(ノД`)・゜・!!
ひーこさんの感想を読んでうずうずしてきました!!
名作臭がプンプンするぜっ!!!!笑
確かTSUTA○Aでレンタル出来たと思うので借りてみますね!!
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