臨床現場の言語聴覚士(ST)

臨床現場の言語聴覚士(ST)のブログ、です。
摂食・嚥下障害や高次脳機能障害などについて考察します。

久しぶりの更新

2008年12月29日 | Weblog
なかなか、忙しい毎日で、なかなか更新出来なかった。

ただ、色々と充実した研修などを行っていた。

呼吸、嚥下、口腔、発声といった分野の、統合的なアプローチについて、色々と学習していた。

それぞれの分野のみの研修、実技、というのは割合多い。

しかし、臨床現場では、分かりきっていることではあるが、単に○○だけ、ということは、ほとんど無い。

維持期であれば、認知症、CVA、DM、高血圧、骨粗しょう症、廃用、肺炎、嚥下障害などは、基礎疾患として複合的に存在しているのが普通だ。

よって、そのアプローチも、必然的に、様々な分野にまたがったアプローチとなる。つまり、認知症と嚥下、呼吸と発声、嚥下と口腔、などだ。

しかし、なぜか、そういうアプローチ方法は、教科書には記載されにくいようだ。

確かに、実践的なアプローチであるほど、個別的であり、一般的な項目のみ載せる宿命の教科書および教科書的なリハが求められる職場では、日の目を見ないだろう。

つまり、腕が必要なのである。

経験的に、いわゆる認知症などで口頭指示への従命が出来ない場合で、嚥下や言語を良くしようと思ったら、べらぼうに大変である。

原始反射とか不随意運動、過敏、抗重力肢位の保持困難など様々な問題点と、優先すべき点のうち、どれを最優先するかを”取引”しないといけない。

これとあれを同時に達成して、ということが困難なのだ。

かろうじて、体幹保持が出来ないので今の時点では嚥下だけ優先しよう、姿勢はちょっと目をつむって、といった取引をせざるを得ない。

だから、姿勢保持は例え、STでも、シーティングの知識、実践方法が必要になるわけである。

単に一つの分野、専門分野だけでなく、複合的に、その人を診るようにすることが必要である。