臨床現場の言語聴覚士(ST)

臨床現場の言語聴覚士(ST)のブログ、です。
摂食・嚥下障害や高次脳機能障害などについて考察します。

どれだけ代償を支払ったか⑤

2008年03月12日 | Weblog
最近、聴診をせざるを得ないことが多い。

頚部聴診だけではなく、いわゆる肺野の聴診をする必要が高いことが多い。

理由は、誤嚥性肺炎が多いからである。

かなり昔から、肺炎は老人の友、であったが、今もそれは基本的には変わっていない。

そのことを念頭に置いて、嚥下障害や呼吸を見る必要がある。

聴診で、何を聞くのか。

自分の場合、呼吸の音なのだが、これが本当に難しい。

意外な盲点として、聴診器の選び方もある。

なかなか、こうした文字情報で、聴診のコツを説明するのは難しい気がする。

このへんは、こういう音がするはず、というのをまず、おさえてみると良いかもしれない。

頚部聴診なら、STは得意だろう。

それを少し、下でもやってみる。

少しずつ、音が小さくなるのではないだろうか。

気管支は、どの辺りで分岐しているのだろうか。

更にその先は?

ここからは、残念ながら、解剖が絡んでくるので、この辺りまでの聴診をまず、押さえよう。

それから、次のステップに進むことをお勧めする。

いきなり、きちんとしたフィジカルアセスメントを取ろうとしても、多分、難しいと思うので。

自分の場合、今のスタイルで聴診することが出来るようになるまで、3年近くの年月と、様々な解剖学の知識、研修会参加などが必要だった。

あと、聴診器も吟味しなくてはならない。

先程述べた辺りまでの聴診なら、健常人の深呼吸であれば、わりあい分かるのではないだろうか。

ただし、いわゆる寝たきりの方々の場合で、肺活量が少ない場合、本当に聴こえにくい事が多い。

そうなると、聴こえる聴診器が必要となる。

また、必要な音を選択できる耳も必要である。

カクテル・パーティー効果、である。

心音、腸音、体を通じて聞こえてくる外界の音(テレビ、換気扇、人の声など)などから、欲しい音(この場合は肺の音)を選別できなくてはならない。

残念ながら、きちんと聴診器を当てることがまず、難しいことも多いのだが。

きちんと使えると、色々な情報を取れる。

折角なので、もう少し。

肺の音が聞こえるのは、どうしてなのか、と、無気肺の関係が分かると、いいと思う。

どう治療すれば良いのか、が分かると思うので。