見えざる声

感じたこと・思ったこと・追想、思うままに書きなぐった文章の
羅列を目指し・・。

漠然とした不安 3

2006年12月11日 | ショートストーリー
着いた所は、工場の端にあるコンクリートで出来た物 彼にはそれが何だか分からなかった。 それでも看板には「**汚水処理施設」と記されていて、 かなりの規模の水槽なのが分かった。 ニメートル近くの壁を初老の男は、階段を使っ昇っていった。 そして手招きをする。 彼もそこを昇り、茶色の水が勢い良く動き泡を吹く水槽を見た。 「さて、こっちだ」 初老の男は、水槽の間の二十センチ幅の仕切りを奥の方へと歩いていく . . . 本文を読む

漠然とした不安 2

2006年12月09日 | ショートストーリー
うなだれる彼を見ると、初老の男はつい余計なことを口走った。 「どうだ、人生でも、見に行くか?」 彼は男の顔をまじまじと見た。 「人生?」 初老の男は、深く頷いた。 そして立ち上がると、くたびれた車に乗り込む。 彼も従って助手席に・・。 車はとろとろ走り出した。 「こんな曲を知っているかい?」 初老の男は言いながら、カセットテープをデッキに押し込んだ。 流れ出る曲に合わせて、初老の男は歌いだした。 . . . 本文を読む

漠然とした不安

2006年12月07日 | ショートストーリー
初老の男は目元に優しさをたたえ、押し黙った彼に口を開いた。 「それで見つけられたのか?」 彼はその問いに、首を振って答えた。 「そうか・・、まぁ、あせらずだな」 初老の男は呟くように告げ、煙草をくゆらした。 「もっとも、それでも年はとってしまうがな」 彼はその言葉に、急に不安を覚えた。 するとどこからともなくニール・ヤングの 「ハートオブゴールド」のメロディーが 聞こえて来た・・。 Iwant t . . . 本文を読む