今回の夏季休暇中に読んだ本は最近のベストラー小説や話題小説ではなく、文豪夏目漱石の「心」です。読む切っ掛けになったのは、日経新聞の社説に「こんな暑い夏にピッタリの本」と書いてあったのが切っ掛けで、私自身、漱石の本は読んでいますが、この「心」と言う本には縁がありませんでした。検索で「心」とはどんな本かと調べると、今だに、文庫本のベストセラーだと書いてあり、何と紀伊国屋の文庫本ベスト73でした。そして漱石の後期の秀作と言うこともあり読む動機となりました。
親友を裏切って恋人を得たが、親友が自殺したために罪悪感に苦しみ、自らも死を選ぶ孤独な明治の知識人の内面を描いた作品。鎌倉の海岸で出会った“先生”という主人公の不思議な魅力にとりつかれた学生の眼から間接的に主人公が描かれる前半と、後半の主人公の告白体との対照が効果的で、“我執”の主題を抑制された透明な文体で展開した後期三部作の終局をなす秀作です。
人の心の移り変わり、苦悩が「心」に染みてきます。
さすが、文豪と言える作家の筆は違います。
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