HARUSYO'S WORLD 二宮春将の世界

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二宮春将の歴史小説 卑弥呼の恋人 第10回

2010-12-22 04:31:47 | 日記
 邪馬台国も時代が流れた。卑弥呼にとっていつも頭の中にあり脅威だったのは、邪馬台国がこの連合王国の盟主の座から滑り落ちて一回のただの国になる事だった。
 卑弥呼は重臣達やおつきのものを呼んでこう言った。
「実質的な遺言である」
 静かなしかし威厳のある口調で喋り始めた。
「この国は私の死後大いに乱れるかもしれない。その時は必ず女の王を立てよ」
 こう言ったのである。
この遺言がその後現実になったのだ。
「卑弥呼はこの国の行く末を案じていたのである」
 卑弥呼はもう一度威厳のある言葉で傍にいるものに言った。
「この国は盟主でなけれないけない」
 人々は黙って頭をさげた。
やがて卑弥呼は死んだ。
「卑弥呼とこの国の存在は伝説と魏志倭人伝の記述を残すのみとなった」
 この国がどこにあったか誰も分からない。
ただ、邪馬台国と卑弥呼が存在した事は間違いないのである。
                            完 

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