こんばんは、半次郎です。
中原中也の詩集『在りし日の歌』から、「冷たい夜」をご紹介します。
この詩集は、死の数ヶ月前に完成し、死の翌年に出版されたものです。
冷たい夜 / 詩:中原中也
冬の夜に
私の心が悲しんでゐる
悲しんでゐる、わけもなく・・・・・・
心は錆びて、紫色をしてゐる。
丈夫な扉の向ふに、
古い日は放心してゐる。
丘の上では
棉の実が罅裂(はじ)ける。
此処では薪が燻ってゐる、
その煙は、自分自らを
知つてでもゐるやうにのぼる。
誘はれるでもなく
覓(もと)めるでもなく、
私の心が燻る・・・・・・
“私”の心は、既に生気を失い、無機物のように錆びて紫色になってしまっている。
その心を包んでいるのは、暖をとるための薪の煙。
この煙に、誘われるように、求めるように、“私”の心が燻っていく。
日常のある日を詠んだのでしょうか?
退廃的な匂いがします。
それでも、そんな風情に魅かれるのは、多かれ少なかれ、人は悲しみを背負って生きているからか。
それだからこそ、生あるものに優しくできるのでしょう。
・・・棉の白さに救われる気がします。
from 半次郎
中原中也の詩集『在りし日の歌』から、「冷たい夜」をご紹介します。
この詩集は、死の数ヶ月前に完成し、死の翌年に出版されたものです。
冷たい夜 / 詩:中原中也
冬の夜に
私の心が悲しんでゐる
悲しんでゐる、わけもなく・・・・・・
心は錆びて、紫色をしてゐる。
丈夫な扉の向ふに、
古い日は放心してゐる。
丘の上では
棉の実が罅裂(はじ)ける。
此処では薪が燻ってゐる、
その煙は、自分自らを
知つてでもゐるやうにのぼる。
誘はれるでもなく
覓(もと)めるでもなく、
私の心が燻る・・・・・・
“私”の心は、既に生気を失い、無機物のように錆びて紫色になってしまっている。
その心を包んでいるのは、暖をとるための薪の煙。
この煙に、誘われるように、求めるように、“私”の心が燻っていく。
日常のある日を詠んだのでしょうか?
退廃的な匂いがします。
それでも、そんな風情に魅かれるのは、多かれ少なかれ、人は悲しみを背負って生きているからか。
それだからこそ、生あるものに優しくできるのでしょう。
・・・棉の白さに救われる気がします。
from 半次郎
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