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ジークとピーク(車力の巨人)、ガリアード、コルト、ライナーたちの密談のなかで、“鉄槌の巨人”を管理するエルディア人貴族、タイバー家の存在が明かされる。
巨人はいずれ兵器としての価値を失うとみるジークは、始祖の巨人奪還を急ぐとともに「パラディ島の驚異を我々の手で解決する」という意思を“戦士”たちに伝える。
タイバー家はフリッツ王に最初に反旗を翻した貴族家で、マーレでは優遇されている。後半で姿を表すタイバー家当主ヴィリーと戦士隊隊長テオ・マガトの会話から、実はマーレはタイバー家の権限下にあることがわかる。
タイバー家はマーレに軍国主義やエルディア人を迫害する自由を与え、無干渉を通したことで今日の事態に陥った責任を感じている。エルディア人とマーレに対する諸外国からの敵意が高まるなか、タイバー家当主は「一年以内にパラディ島の悪魔を制圧する」と世界に向け宣言する予定だという。
■ライナーの回想。9年前の始祖奪還作戦
鎧の巨人を継承して名誉マーレ人となったライナー少年だが、父親を迎えに行くと無下に追い返されただけだった。失意のなか「世界の英雄になる」ことを誓うライナーは、始祖奪還作戦に臨む。
しかし4人がパラディ島に乗り込んだ直後、リーダー格のマルセルがライナーをかばって無垢の巨人(ユミル)に喰われてしまう。ライナーがその巨人から逃げたため、アギトの巨人は行方不明になる。
アニとベルトルトはライナーを責め帰還しようとするが、ライナーは強引に作戦を続行。巨人となって壁内人類に攻め込み、混乱に紛れて壁内に潜入する。2年かけて王家の秘密をつきとめ、王家に近づく術をさぐるため訓練兵となる。
エレンたちと訓練を共にしながら王都を調査するアニは、ケニー・アッカーマンにあわやの所まで追い詰められるなど限界に近づいていた。ライナーは始祖の巨人をあぶり出すため訓練兵の配属直前にウォール・ローゼ破壊作戦に出ることを2人に告げる。
ライナーの回想はエレンらと共に過ごした訓練兵時代で終わり、場面は現在へ。ライフルの銃口を口に突っ込んで自殺しかけるものの未遂で終わる。
■戦士候補生の少年ファルコと負傷兵
戦士候補生の少年ファルコは、鎧の継承者の最有力候補であるガビに好意をよせており、自分が鎧の巨人の継承者になりガビを守りたいと考えている。ファルコの兄コルトは、”獣の巨人”を継承することが決まっている。
ファルコは戦場で心的外傷を負ったエルディア人負傷兵を港で介抱、病院で再会し親しくなる。「実は仮病で、家に帰りたくない」という負傷兵から、検閲を通らない街のポストに手紙を投函するよう頼まれる。
ファルコの叔父はエルディア復権派の幹部で、関与の否定を証明するためグライス家一族が苦労した過去が、病院の庭に一人で座る負傷兵に語られる。
語ったのはエレンの祖父イェーガー氏で、彼は息子に対する自責の念で精神を病んでいた。
■エレンとライナーの再会
マーレの都市レベリオでは、タイバー家当主が世界の要人を招き酒宴が催される。当主は明日、レベリオの収容区に客たちを招待し、マーレとエルディア人問題の解決方法を発表すると予告する。
翌日、レベリオ収容区では祝祭が催され、カビやファルコたちもライナーの付き添いで楽しむ。タイバー家当主の演説が始まる直前、ファルコが会場からライナーを呼び出し、付近の地下室へ招き入れる。ライナーの古い友人だという負傷兵と引き合わせたのだ。
待っていたのはエレンで、「4年ぶりだなライナー。良かったな故郷に帰れて」と言われたライナーは驚愕する。
*** 感想
後にピークが皮肉っているが、たった4人の子供だけで始祖奪還作戦に向かわせたマーレの策は無謀というかかなりずさんだ。
ライナーは訓練兵としてエレンたちと接する中で「やるべきことをやる」「お前ならやれる」とエレンを励ましながら自分にも言い聞かせているが、「自分たちはガキで何一つ知らなかった」というベルトルトとの会話も思い出す。
少年が諜報員として成長過程で敵と寝食ともにするって、どんな地獄だよと思う。
すでに33巻まで読んでしまったので、後のことを踏まえて再読すると、あのときのこれはそういう…という気づきもあった。
エレンは病院でファルコに、戦場の地獄に外圧で駆り出される理不尽を語るが、「ただし、自分で自分の背中を押した奴の見る地獄は別だ」と言う。「その地獄の先にある何かを見ていて、それは希望かもしれないし、さらなる地獄かもしれない。それは進み続けた者にしかわからない」と独り言のように語っていた。初めそれは敵のことかと思っていたけれど、自分のことだったのかもしれない。
イェーガー氏と会話したあと、キャッチボールのグローブとボールを手に取った場面でも、すでに兄ジークと会っていたことがわかり、イェーガー家の皮肉な運命を思うかのようなエレンの無表情が印象的だった。
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