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花日和 Hana-biyori

小説『ばにらさま』聴き終わり

オーディオブックで山本文緒の短編集『ばにらさま』(文藝春秋)を聴きました。朗読は金丸 由奈。

先日読んだ凪良ゆうの本で対談してたので聴いてみたのですが。うーん、なんで私今まで山本文緒を読んでこなかったんだ…という衝撃がありました。

表題作『ばにらさま』は、大手企業に勤めだした冴えない男性の視点から、細くてバニラアイスのように色の白い美しい恋人について語る物語。と思いきや、途中で視点がその彼女のブログになり、彼女の本音や嘘が見え隠れしてギョッとします。

つまり2視点一人称の形式で、そういう小説好きなのでおお、と喜びました。が、ブログなだけに本音のようでいて虚飾に満ちており、よくみる多視点小説ともちょっと違っていてリアルさが絶妙でした。

この彼女は地方から出て来て都内で一人暮らしをしている派遣社員で、先日読んだ『燕は戻ってこない』のリキを思い出します。嫌な女子のようでいて、煎じ詰めればギリギリの生活に心身ともに喘いでいる。最初は話の構造の面白さに気を取られたけれど、ラストはそんな寄る辺ない彼女のやるせなさをぎゅっと包んであげたくなるような終わり方でした。

次の『わたしは大丈夫』がまた壮絶でした。節約に勤しむ専業主婦の視点と、夫の不倫相手の視点を交互に展開する…と思いきや、終盤であっと驚く真実が明かされて度肝を抜かれました。

ここまで書いちゃうと察しのいい人は分かっちゃいますかね。私はぜんぜん、わっかりませんでした。


 
 
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