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花日和 Hana-biyori

漫画「ブランチライン」5巻(感想)

池辺葵「ブランチライン」(祥伝社)

まだ続いていて新刊6巻が出ましたが、5巻をやっといまごろ読みました。

***

成人しそれぞれの道を歩む四姉妹。その母親や同僚、たった一人の甥など、それぞれの人生と日常の機微をしっとり垣間見させていただける群像劇。


四女の仁衣が、会社の部下である山田に対して「山田も私が見つけた宝物だぞ」と言うのが率直で愛を感じる名ゼリフ。

山田の喜び方も時間差で帰宅してから、なのがすごくいい。これで即男女の恋愛に流れないのがまた絶妙。恋愛と、良い仕事をする仕事仲間へのリスペクトをきっちり区別して描いてはいるが、そこに愛がないとは言えない。

現に他の姉妹も何気なく仁衣が口にした山田への思いが愛であると受けとめたようだ。


淡々としたストーリーのようだが、離婚した人たちが随所に登場し、複雑な心情や事情が物語に起伏を与えている。

役所づとめの次女、タエが同僚から不倫の告白を聞きたくないと言った理由にもハッとさせられた。恋愛に興味がないと言いながら、それよりも同僚の娘(10歳)と偶然会い、親が離婚した子供の切実さに触れてしまったからだった。セリフはごく短く、ことばで善悪を糾弾することはないが、弱い立場の子供の境遇に寄り添っていることが分かる。

タエがその子に言う「(親から)自立することと忘れることは違うぞ」も名ゼリフだね。

それぞれの誠実さが胸に沁みる。おおきな余白で深い余韻を感じさせる名作だ。





 
 

 
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