先週の木曜日、仕事の後で、阪大CSCDが主催するラボカフェに行ってきました。京阪電車中之島線「なにわ橋駅」のアートエリアB1。ここに来るのは久しぶり。しかもサイエンスカフェは初めてだと思います。
帰り際に、ファシリテーターの方が「どんどんブログにも書いてください」とおっしゃっていたので、それじゃあ。ということで遠慮なく(笑)
テーマは
中之島コミュニケーションカフェ サイエンスカフェ「地球温暖化、あなたはどう考える?〜デンマーク発、国際ネットワークの試み」
温暖化対策について、ポスト京都議定書を決める会議がコペンハーゲンで開かれます。それに先だって行われる「市民の会議」であるWorld Wide Viewsについてご紹介します。
温暖化とデンマークというキーワードに惹かれました。World Wide Views については初耳であり、全くの下調べ無し。
話によると、デンマークの首都コペンハーゲンで開催される「COP15」に先立った9月26日に、世界同時開催される「市民会議」のことのようです。壮大な社会実験になるだろうとカフェマスターの小林さんは言うてました。
と…。これだけじゃ何のこっちゃ解りませんね。ちなみに、「COP15」は、ポスト京都議定書の枠組みを決めるかなり重要な会議ですよ。
World Wide Views in Japanのウェブページからプロジェクトの趣旨を抜粋します。
この世界市民会議は COP15 の政府間交渉、及び、今後の世界の気候政策の行方に影響を与える機会を、市民に提供することを狙いとして開催されるものです。
世界の市民は地球の温暖化の進行だけでなく、今後の気候政策のもとで生きてゆかなければなりません。これこそが、COP15 において政治的な意思決定者が交渉を行う前に、市民の意見を聞くべきだという本プロジェクトの趣旨です。
うんと…要するに…。パブコメ(=パブリックコメント)のワールドワイド版ってことですかね?
じゃ何も、会場を借りたり参加者を集めたり、しかも世界同時開催イベントなんて面倒くさいことする必要なんてないじゃん?と思いますよね。 インターネットで意見を集めればいいんじゃない?と。
ところが、「それ(ネット)じゃあ市民の意見は集まらないよ!」というのが、このWorld Wide Views in Japanさんの主張みたいです。
果たして、市民という集団がいると仮定しての話ですが、まず目指されるのは、、「性別・地域・職業・教育レベル」などが均等になるよう考慮しながら、「利害関係のない」「非専門的な」「問題関心のある」「熱心な」市民を日本全国から100名選出することだそう。
何故、「問題関心のある」「熱心な」市民でなければならないかと言うと、「丸一日をかけて(あるいは、たった一日のみ!)熟議したうえで、結論(独自の提案)をひねり出さねばならないから。
そして、「選出」と書きましたが、この会議に参加する市民は、自由公募制ではなく、マーケティング会社によって、まさしく選出されるそうです。だから、いくらあなたが参加したい、意見を表明したいと思っても、選ばれなければ無理って話。
で、自分でない誰かの意見が「市民の意見」としてまとめられ、判断の目安にされるのか?...。
裁判員制度を思い浮かべたのは、ワタシだけではないはず。
もちろんカフェマスター・小林さんも言及されていたように、これまでのパブコメの結果には相当な偏りがあることは事実。しかし、それこそが民主主義の結果とも言えますね。つまり、自らの意見を主張する道は全ての者に開かれている。自らその権利を行使しない者には道は開かれないということ。
ワタシはそう習ったよ。
わざわざ、物言わぬ人びとの意見を丁寧に吸い上げようなんて、世の中、親切になったもんです。
日本で温暖化対策に関するパブコメ、つまり物言う人びとの意見は両極に分かれています。そのどちらかに政策をシフトするほど学術的根拠があるはずもなく、「物言わぬ市民」は「真ん中でいいんじゃない?」ってなると思いますねぇ、たぶん熟議するまでもなく。
一方、この企画を立ち上げたデンマークの主催者が、「世界の市民の意見」として届けたがっているものは、かなり明確な意思と態度を示すだろうと思います。
果たして、やはり日本はCOP15において、「市民」レベルでもリーダーシップを取れないのでしょう。
昨年6月に採択された「クラスター爆弾禁止条約」でも、議長国を務めたデンマーク。小国ですが、いや小国だからこそ、ブレないのか。どうも器が違いますな。
ところで、パブコメで最近話題になったのが、宇宙基本計画(案)に関するもの。知ったのはこちらのブログで。
458人から1510件!宇宙基本計画(案)に対する意見の募集(パブリックコメント)の結果@Bサイエンスコミュニケーション
某著名な方がネットで呼びかけられたためでしょうか。1510件とは恐れ入りました。しかし、意見を出されたのは、利害関係者や専門家が大多数ではないのかしら。
じゃ、こういうの、無駄なんですかね。World Wide Views in Japanさんの考えでは無駄ってことになります。
宇宙の場合は、環境問題と違って、政治化・組織化されてないから無駄ではないって?
そんなバカな!
無駄だとすれば、民主主義の権利をマジメに行使している「物言う人びと」に、書かせるだけ書かせて意見が活用されないところですよね。
活用というのは、全ての意見を政策に反映させるべきだと言いたいわけではありません。
585ページに及ぶ意見集(PDFファイルはこちら)。別添してもよいけど、出す前に、整理して傾向を分析してほしいですね。それが、官僚、あるいは関係する研究者の仕事じゃないんでしょうか?
【追記】K_Tachibanaさんのトラバで教えていただきましたが、ラボカフェの主催者の方のblogで当エントリーをご紹介いただいてます。
WWVのサイトで、トラックバック受付(トラックバックを是非お願いします)@天使トラバるを恐るるところ(Migrated)
こういったウェブでの議論に開かれていないというのも問題だと思いますので、担当者の方にちょっと無理をいって、WWVのウェブサイトでもトラックバックを受け付けるようにしていただきました。
恐れ入ります。「無理をいって」と書かれてますが、いろんなゴタゴタがあったのではないだろうかとちょっと心配。でも嬉しいな~。こういう研究者がいるなんて。
World Wide Views in Japanさんの熟議スタイルに今後とも注目です!
方たちのようですね。
市民活動も期待します。