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by hamarie_february

「消えた年金」について

2007-06-15 09:41:36 | 気になるニュース

年金給付問題の対応策に動きがあったようです.

asahi.com:「消えた年金」判断の第三者委,300人規模に(2007年06月15日06時11分)

年金保険料を払った証拠が本人にも社会保険庁にもない場合に年金支給の是非を判断する第三者委員会について、政府は14日、総務省に設置する中核組織と地方の出先機関を合わせ計300人程度の規模にする方針を固めた。弁護士や社会保険労務士などの専門家を手厚く配置し、きめ細やかな対応を目指す。  

全体を統括する中核組織は、本人の証言や家計簿、税務関係書類などから保険料納付の事実を認めるかどうかの基準作りや、判断が困難な場合の認定などを行う。核となる10人のほか、ケース別に5人ずつのチームを五つ作り、計35人とする。  

全都道府県にある総務省の行政相談窓口に設置する出先機関にも、弁護士、税理士、企業の年金実務の担当者ら計5人をそれぞれ配置。人口の多い地域には複数の窓口を置くことも検討する。

 

なるほど...この有識者の方々が業務をボランティアでされるとは思えませんから,報酬は税金投入でしょうか.無駄に終わらないことを祈ります.

もちろん皮肉です.

基準作りの策定ということですが,記事内に上げられている「税務関係書類」は文句なしに納付事実を証明できると思いますが...

困難な点は「本人の証言」と「家計簿」に関するものですが,多くの社会問題が同様の困難を抱えていると思います.「慰安婦問題」しかり「中国残留孤児認定問題」しかり「水俣病訴訟問題」しかり.

そんな中,年金だけは基準作りが出来るのだという理屈は成り立つのでしょうか.これは,これまでの道理から言って,必然,個別対応にならざるを得ないはずです.

ところが基準作りをするという方針なわけです.

...ということは,その基準が決まり次第,各都道府県の出先機関である相談窓口は,「説得窓口」の度合いが高くなると思います.しかも政府が任命して設置するんですよ.そもそも「第三者」と名付けていいのでしょうか.

いかにも誠実な対応と見せかけて,実は巧妙な「責任逃れ」だろうと思います.

そんな上滑りなことをやっている間にも,年金を正しく受け取れていない方で,それがために介護サービスを十分に受けられない方が,不便をともなう日々を過ごしていらっしゃいます.

社保庁の職員や厚生労働省の担当職員は,実際にその介護現場に出向いて,ボランティアをなさったらどうでしょう.そのほうが実際の「責任」を少しでも果たせるのだろうと思います.若者ばかりに「ボランティアの素晴らしさ」なるものを説き伏せて,どうにかしようという政府の方針は,最初から破綻傾向だと思います.

ついでなので書いておきますが,コムスン問題で「介護とビジネスは不釣合いだ」とコメントしていた多くの有識者には,介護現場での労働環境の劣悪さがちゃんと認識されているのかと思います.

所帯を持とうと思っても養っていけないほどの給与です.それが為に,志高く介護という仕事についた方も,いずれやめざるを得ない状況に追い込まれています.

ある所帯持ちの方の話:介護施設で朝から晩まで立ちっ放しで動き回って,手取り17万円.辞めて,携帯ショップで適当に働いて(←もちろん感じ方には個人差あると思いますが)手取り24万円だそうです.

ある学生の話:心理系の勉強をしていて看護の現場で働きたいと思っている.現在病院でアルバイトを経験しているようですが,ほぼ高齢者で介護の現場のよう.立ちっ放しで動き回って腰も痛くて時給1000円.合い間にテレオペの仕事を入れたら,座ってるだけで(ほとんど鳴らない)時給1300円.

どう考えてもヘンですよね. 

最後に,5号館のつぶやきさんの「気長に待ちましょう」趣旨のエントリーに,軽くツッコんでおきたいんですが...(ツッコまれたいとしか思えないエントリーですので).

最も重要な点として待てる年代とそうでない年代ってあると思います.多くの社会問題がそうだと思いますが,常々,権力側の対応は,「死んでいくのを待っている」としか思えないほど非情です.

それから生活状況の差も,対象問題への切実感の差に現れているなと思います. つぶやきさんだけじゃなくて,大学の教員って多かれ少なかれ,「始めからわかっていたこと」と言いがちですね...えっと...いつぐらいから? 

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2 コメント

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TBありがとうございました。 (5号館のつぶやき)
2007-06-15 12:52:12
「ツッコまれたいとしか思えないエントリー」というほどでもない(笑)と思うのですが、反応していただくのは書いた甲斐があるというものですので、感謝します<(_ _)>。

 「待てる年代と待てない年代」があるというのはその通りだと思います。私としては待てない年代の方々に関しては、(政府)保険庁へのペナルティとして、「証拠があろうがあるまいが全員に全額支給」されるべきだと思います。その上で待てる年代の方々向けには、社会保険のしくみそのものを変えていかなければならないというふうに思います。いずれにしても急がなければならないのは、「待てない年代」の方々だけだと思います。まだ、数年以上ある方は時効がなくなったのですから、数年かけても良いのではないでしょうか。

 それと、大学関係者のニヒリズムですが、自分はその程度が少ない方だと思っていたのですが、やはり外から見るとそう思われてしまうのでしょうね。不徳のいたすところです(^^;)。

 しかし、年金問題に関しては、国民が政府(保険庁)を信頼しきってだまされ続けてきたことは認めざるを得ないと思います。この次の選挙でもまだ、自民・公明が勝つようなことになるとしたら、それはこの年金制度を認めることになると思います。前からわかっていたとまでは言いませんが、秘密になっていたわけでもない社会保険の制度を認めてきた(自分を含めた)我々国民の側にも責任があると思っています。正しい政策をしてくれるように、政府を取り換えるのは我々の義務だと思います。
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コメントありがとうございます (hamarie_february)
2007-06-16 17:38:21
失礼しました.ツッコミしか能がないもので
(いや十分ボケだという話もありますが

本筋でない(しかし,やもすると直接的トリガーとなりうる)「大学関係者のニヒリズム」へのツッコミは,「一種の芸」と思っていただければ幸いです



ところで「待てる年代」は「待ってもいいのではないか」というつぶやきさんの本旨は,早急に事が運ばれすぎているということでしょうか.

ワタシは(実は)『証拠があろうがあるまいが全員に全額支給」されるべき』だとは思っていないので,意見が分かれるのかもしれません.特別措置をとる場合,必ず「境界線」問題が浮上しますし,余計にやっかいだろうと思います.

ですから,「待てない年代」の方から優先的に早く厳密な調査を行うべきだと思います.全国一斉電話相談受付は,見ての通りかなり無駄金です.この上,エラそうなおっちゃんたちで作られる「第三者委員会」なんて,会議室代と昼の弁当代やタクシーチケット代が嵩むだけのような気がします.

社保庁なり各自治体の担当者が電話連絡や訪問をして親身な「個別相談」に乗るべきでしょう.ついでに年金暮らしのお年寄りの生活をしかと見てくるべきだと思います.

まぁ親身さが身についている=官僚としては失格,でしょうけど


「国民」が「だまされ続けてきた」という見解については,かなり長くなりそうなので,また改めてにします.

では,今後ともよろしくお願いします.

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