１週間ほど前に発表された政府の補正予算案のなかで、科学技術予算についてのビックニュースがありました。
最先端の研究30プロジェクトを選定し、各々90億円ずつ交付、つまり総額2700億円にのぼる研究強化基金の創設をぶちあげましたやつです。
大手マスメディアでいち早く伝えたのが読売。４月11日の科学欄。そこから少し間があって、サイエンスポータルが15日に出し、毎日が16日のライフスタイル欄と政治欄、朝日が17日の政治欄に出してます。あとは産経待ちというところだったのですが、残念ながら時間切れ←何の？（笑）
リンク貼っておきますね。
最先端研究の強化に基金創設・・・追加景気対策、2700億円＠YOMIURI ONLINE
【 2009年4月15日 新基金設立へ 30プロジェクトに研究費90億円ずつ 】＠サイエンスポータル編集ニュース
最先端研究：国が３千億円支援基金 若手育成へ柔軟運用＠毎日ｊｐ
まっ、どこも淡々と事実関係を伝えてるだけです。もちろん予算「案」だし、どういったテーマが、どういった研究＆事業計画として選択されるのか未定なので解説するのが難しいんでしょうけど、それにしても反応がニブイ気がする。あんまり興味無いんですかねぇ。
いや、そんなわけないですな。
ワタシは15日頃に某blog経由で知って、「はぁ？」と思いつつ別blogに速攻エントリーしたんですけど、主要キーワードで検索するといまだにそれが上位で出てくるので微妙です．．．あまりに毒々しいので、どなたかサクラでも、大歓迎エントリー書いたほうがよくね？と思います（爆）
つまり、ネットの反応も驚くほど静かです。アルファブロガーな皆さんもサイレント。決まる前からアレコレ書いちゃうのは、関係各位に何かと支障があるのでしょうか。
で、何の支障もないワタシはメモ的にエントリーしておきたいと思います（笑）
さて、今回の基金は、「科学技術分野での国際競争力を強化するため」というのが、大きな理由のようです。よって項目は、「追加景気対策」の一部として盛り込まれているみたい。
政府の目標は、新たな産業や技術分野を切り開くような有望な研究に重点投資して、数年後に世界をリードする領域へと育てること。そしてノーベル賞級の成果の創出を狙う、としています。
ふむ。これまでと変わらぬ目標ですよね。
違っているのは「1チームあたりの研究費補助金としては、かつてない規模」だという点です。90億円は破格の規模です。政府（あるいは官僚）の本気度を示した額と言えます。
何に本気かというと、もちろん、目に見える具体的な成果をあげることでしょう。
あるいは「有言を実行」させることです。
そう考えると、「これまでと変わらぬ目標」と思ってたものが違う様相を帯びてきますね。
さらには研究者の方々の研究環境を最大限考慮するそうです。
これまで研究者の方々は、自由に使える研究費が少ないから、あるいは研究以外の用事に忙殺されるからという理由で研究が出来ないと嘆く方々でした。
そこで不評だった年度決算をやめて、繰り越しや資金の柔軟な使用を認めること、年度末の書類による報告など事務手続きの代行を外部に任せることなどが盛り込まれているようです。
良かったですね。
しかし残念なのは、このプロジェクトが全国で30しか選定されないということです。そして厳選された30名＋αの研究者の裁量に、日本の科学技術の未来が託されるみたいです。
90億円も投資するプロジェクト。まさか趣味に限りなく近いような基礎研究が許されるわけはないでしょうが、とにかく本気出してほしいですね。
医療系なら臨床と組んだものにしてほしいし、理学系なら何らかの製品化・実用化を目指してほしいです。
ねっあんまり手放しで喜べないでしょう？
90億円でやってダメだったら見切られちゃうと思いますから、喜んでる場合じゃないと思いますよ。
まぁ個人的には、「90億円出す前に、ぜひとも、さっさと見切っちゃってください」という研究はホントに多いですけど…。
あっそっか、90億円の有効な使い道として、その（見切るかどうかの）指標になるうるって考えもあるな。真面目な話。
【追記】以下で、今回の経済危機対策や事前に行われた有識者会議の資料がまとまっています。
ましてや研究者がプロジェクトの失敗で責任をとったことなんてないですよね。
特に最先端研究においては、たいした成果があがらなくても論文を書いていれば、責任をとらされるどころか、さらなる継続予算にありつけていたんでしょう。むしろ成果が上がらないからこそ予算が続くのかと勘繰りたくなります。
一般市民が望むのはささやかなことです。予算申請書に「ウソ」だけは書いてほしくないとね。