およそ1か月使用してみた私の感想は、「実現したいことはわかるが、仕組みとコンテンツが合っていない」といったところだ。
iコンシェルには、事前に希望した情報を配信するサービスで、メールと同様に受信が通知される。具体的には、待受画面にポップアップメッセージが表示され、このメッセージを選択すると詳細な情報にアクセスできる。
サービスには、ドコモが提供する無料コンテンツと、事業者が提供するコンテンツとがあるが、まずは、このうちドコモが提供するインフォメーションについてみてみる。
「鉄道運行情報」は、設定した路線に事故や遅延があると、随時情報が提供されるものだ。iコンシェルでの情報提供元は、株式会社レスキューナウであったり株式会社ジェイアール東日本企画であったり、路線によって異なるようだが、あくまでも2次情報となる。
しかし、こうしたサービスは多くの鉄道事業者がWebサイトで提供しており、事業者によってはメールでの配信も行っている。普段利用している鉄道路線であれば、すでに何らかの方法で入手出来る利用者が多いだろう。各事業者の運行システムと直結している1次情報のメール配信の方が当然ながら早い。
だから、このインフォメーションに活路があるとすれば、「お住まいの地域」ではなく、「今いる地域」の鉄道運行情報だ。事前に同意した利用者の位置情報を検出して、現在地周辺の主要な鉄道の運行情報を提供する方がずっと使い道がある。旅行先では、地理に不案内なことが多いので、振替輸送等の乗換案内サービスと組み合わせれば便利に違いない。現在も、駅探のトップページへのリンクはあるが、提供している運行情報とはリンクしていないようだ。
「道路交通情報」は、1日3回の配信時間が設定できる。利用シーンとしては、出勤前、帰宅前などに受信し、出発前に道路状況を把握して欲しいということだろう。こちらの情報元は、JARTIC/VICSセンター。
しかし、自動車に乗れば、カーナビに少なくともFM-VICSは装備されている。情報の見せ方はナビによって異なるだろうが、道路には各種の表示板もあるので、リアルタイムな情報配信は不要だ。そもそも運転中に携帯電話は確認できない。
だからといって、自動車に乗るまでが利用価値というのは、あまりにももったいない。そもそもこの情報は、携帯電話にわざわざ配信する情報として適していないとまで言うのは言い過ぎか。
そういえば、この機能を設定する際に気になる点がある。おすすめ設定のまま、地域全ての道路の情報を取得する場合は問題ないが、道路を個別に選ぶ際に、道路名が表示されたリストから選ぶのがかなりの苦痛だ。普段使う道が「○○街道」なのか「県道○○号線」なのか理解している人がどれほどいるのか。そして、路線を選んだら、次はどの市区町村の情報が欲しいかを選択する。この作業の繰り返しだ。要改善のインターフェースである。
こうして見てくると、iコンシェルのインフォメーションサービスは、どちらかといえば、滅多に障害が発生しない社会インフラの情報配信に適したサービスではないだろうか。例えば、電力会社の落雷による停電、ガス・水道の工事情報、NTT等通信会社の工事情報で効果が発揮できると感じられる。ドコモ自身の通信状況情報が配信されていないのなら、それも必要だ(「ドコモからのお知らせ」と言うコンテンツがあるので、もしかすると提供されているのかもしれない)
年に1度あるかないかのインフラの異常時にこそ便利に使えるという考え方は、鉄道や道路の情報と共に提供されている「気象警報」や「地震情報」「台風情報」と同様である。
参考
- ひつじの執事室サービス終了から5年。iコンシェルも6月末にサービス完全終了 (2023/6/17)
- iコンシェルがスマートフォンに対応 (2012/3/23)