具体的な挙動は、15km/h以上で走行したあとに、ブレーキペダルを踏んだまま停車する際、約10km/h以下になったあたりでエンジンが停止する、というもの。作動時には、回転計内のランプが点灯する。
取扱説明書には、以下のように「エンジンが停止しない条件」が書いてある。
- セレクトレバーを[R]、[S]または、[L]で停車したとき
- エンジン水温が低いとき
- エンジン始動後
- ミッションオイルの温度が低いとき
- IMAバッテリーの残量が少ないとき
- 電気負荷が大きいとき
- 外気温が低いとき
- 急制動(パニックブレーキ)で停車したときなど
上記の中で、オートアイドルストップを多用した運転をしようと考えたときに、もっとも高いハードルになるのは「時速15km/h以上で走行したあとに」である。
どこにでもあるような信号のある交差点で前方の信号が赤に変わり、停止する場合を想定してほしい。
前の車に続いて停止すると、オートアイドルストップが作動するが、ここで前車が少し前進することがある。おそらくは前方の車間を修正したのだろう。こちらも、前車との間隔が大きく開いたので、ブレーキペダルから足を離してクリープで少し前進すると、当然エンジンが再始動する。
次に、適正な車間を保って再度停止しても、「15km/h以上で走行したあと」ではないので今度はオートアイドルストップは作動せず、エンジンは停止しない。
このような場面では、もう少し融通を利かせてアイドルストップが動作しないものか、と感じてしまう。
オートアイドルストップに関連して、ごくまれな状況ではあるが、こういう状況もあり得るという趣旨でもう一つ紹介しておきたい。
止まるか止まらないかの速度から再度発進しようとするときに、オートアイドルストップが作動してしまうことがある。一時停止の標識はないが、ちょっと見通しの悪い交差点を通過するときなどだ。
安全を確認して発進しようとアクセルを踏み込むが、エンジンが停止していた状態からの発進であるから、コンマ数秒、予想した挙動よりも遅れて車が反応する。危険を感じるという話ではないが、違和感を感じた記憶がある。
ホンダのハイブリッドシステムは、その存在を意識する場面が少ないのが特徴のひとつではあるが、車の基本的な性能である「走る」「止まる」の部分に直結するシステムなので、少しの違いであっても、ガソリン車との違いを意識する必要はある。
最後に、新型インサイトに試乗された方のブログなどによくある記述だが、止まる寸前に一瞬ブレーキがスコッと抜けるような感触があることにも触れておかねばならないだろう。誤解を恐れずに表現すると、運転する側としては停止しようと思っているだけに、逆に加速するような感じさえする。
この感覚は、ES9にもある。
乗り始めてしばらくの間は、回生ブレーキかオートアイドルストップあたりが関係していて、ハイブリッドならではの挙動に違いないと考えていたのだが、点検で代車(非ハイブリッド車)を借りたときに同じ挙動に遭遇して驚いた。
調べてみると、どうやらハイブリッド機構とは無関係で、クラッチ式のCVTでは機構上発生するようだ。今では、すっかり慣れてしまったので、私には問題ない。