TOMO's Art Office Philosophy

作曲家・平山智の哲学 / Tomo Hirayama, a composer's philosophy

人はモノを買うのではない。イメージを買う。

2017年10月01日 | 哲学的考察
出張続きでカバンがボロボロになってしまったので、ネットでオススメのブランド品(2万円くらい)を買おうとしたら、「バックくらい自分で足使って探して来なさい!」と妻に一喝された。仕方なくパ○コやらコ〇サやらで片っ端から検分したところ、結局、紳士服量販店の6,000円のやつが軽くて機能的でしっくりきた。投資家のバフェットが「Never lose money」と繰り返していたが、その通りだと思った。

思うに人はモノを買う時、以下の3つの要素を無意識に考慮している。

①機能=必要な機能を満たしているか
②品質=金額に見合うクオリティか
③イメージ=それを手に入れた時に実現すると思われる「個性的な自分」像

である。実際のところそのモノを買うことで個性的な自分が実現するわけではないのだが、人はこのイメージに大きく左右される。ジャン・ボードリヤールの言葉を借りれば、「モノが客観的機能(道具性)を相対的に失って、記号としての意味を持つようになった」社会(消費社会)では、「個性的な自分」を演出するための「差異指示記号」としてモノが消費されるのだ。
ヴィ〇ンだかシャ〇ルだかの限定モデルのバックを持った女性が誇らし気に歩いている。必ずしも周りの人々から魅力的に見えているわけではないのだが、彼女にとってはそれが「他の人々との差異(優越感)」なのである。もちろん私とてそのような消費社会の呪縛から完全に自由ではありえないのだが、せめてムダ金は使いたくないものである。

ジャン・ボードリヤール「消費社会の神話と構造」


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