TOMO's Art Office Philosophy

作曲家・平山智の哲学 / Tomo Hirayama, a composer's philosophy

シェーンベルク&リーン編・マーラー「大地の歌」

2005年11月14日 | 音楽
 昨日、久しぶりに夫婦水入らずで横浜にコンサートを聴きに行って来ました。エルヴェ・ニケ指揮/オーケストラ・アンサンブル金沢による「大地の歌」です。とはいっても通常のオケ版ではなく、シェーンヴェルク&リーン編の室内楽編成版「大地の歌」です。珍しい!

 「大地の歌」はマーラーが友人からもらった中国の詩集にインスピレーションを受け、大編成の管弦楽付の歌曲として作曲しました。李太白、孟浩然、王維の詩をテノール、アルト(またはバリトン)が楽章ごとに交代で歌い上げます。
 今回演奏された室内楽版は、シェーンヴェルクが主催していた「私的音楽演奏協会」(マーラーやラヴェルなどを室内楽に編曲して演奏する団体)にて演奏される予定でしたが、同協会が財政破綻したため、シェーンヴェルクによる編曲案だけが残されたというもの。これをもとにライナー・リーンが編曲を行い、1983年にトプラッハ音楽祭で演奏されました。

 私は大のマーラーファンなのですが、実は「大地の歌」はあまり好きではありません。ところどころに出てくる中国的な旋律にちょっと違和感をおぼえるのと、あまりに大きな編成に歌手が声を張り上げるので、リリカルな感じがしないからです。
 でも、今回の室内楽版の演奏は素直に感動しました!!小編成のオケと歌手のバランスが絶妙で、なによりアンサンブル感がありました。その上、個々の楽器の音が良く通るので、曲の細部や、構成が非常にわかりやすく伝わってくる。「大地の歌」ってこういう曲なのか!と、あらためて見直しました。
 それにソロの二人、白井光子とクリストフ・プレガルディエンが素晴らしかった!歌い方がとてもsmartだし、うまくオケに声を乗せるので、声がストレートに聴こえる。私はでかい声しか出せない歌手(某大物テノールとか)が大嫌いなのでとても心地よかったです。

 ただ、ひとつ心残りなのは、フライング拍手&ブラボー…。最終楽章、「永遠に…永遠に…」と限りなく美しく消え入るあの一瞬の静寂…のはずが!!もはやマナーの問題じゃないですね。ああいう音楽の肝を感じ取ることのできない日本人のレベルの低さを嘆くしかないです。高い金払って聴きに来てるんだろうに…。

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