はぐれの雑記帳

極めて個人的な日めくり雑記帳・ボケ防止用ブログです

山靴の歌:鷲羽岳・水晶岳・烏帽子岳縦走

2021年04月26日 | 山靴の歌

1999年8月4日-7日

(新穂高温泉)

アルプスの山に入るべし朝明けに槍穂の空気肌に感じる

六年も前のことかと思いつつ左股林道涼やかな風

(鏡池)

槍ヶ岳尖りは雲に隠れいて鏡池には映らぬももさみし

(弓折乗越)

弓折れの乗り越しに見ゆ鷲羽岳遠くにあれど姿優雅に

双六の小屋から見つる鷲羽岳威風堂々見事なり

雲せまる天突く槍の尖りみて穂高につづく稜線を追う

友死せる硫黄の尾根の肌赤し彼の歌本大事にもてり

(鷲羽岳)

立山と槍穂高との真ん中にアルプスつなぐ鷲羽岳

鷲羽池火の山ならん跡のこしずっしり重し山の姿よ

黒部なる大河の一滴落ちるらし鷲羽にワリモ祖父の岳から

雲せまる天突く槍の尖りみて穂高につづく稜線を追う

(硫黄尾根を眺めて)

友死せる硫黄の尾根の肌赤し彼の歌本大事にもてり

黒部川その源の山らなぶ水晶鷲羽岳大鷲の飛ぶ

暮れゆけば雲を背にして槍ヶ岳巌尾根広げ天そそり立つ

(鷲羽岳山頂)

鷲羽岳その頂きにわれ立てば山と言う山遮るものなし

竜の池と言われたる小さな池を眼下に見ており

幾億の時間が過ぎたこの星の小さな襞にわれ立てる

(水晶岳山頂)

雲の平手前において三俣を越えてはるかに槍聳え立つ

われが立つ水晶岳の翳越えて黒部五郎の残雪光る

巌山の幾連らなれる真中に雲の平は神憩う原

数多ある峰々におわす神々が集える原か雲の平は

山ありてわが人生は豊かなり苦しみ耐える源にあり

名を知るは十七歳の夏のこと水晶ヶ岳にわれついにたつ

夢として残れる原や雲の平雲降りてきて隠しゆくなり

(野口岳稜線)

のびやかに翼を広げる水晶岳の奥に赤牛しずまれり

水晶のカール谷水堕ち下り黒部の深き湖になる

ましろなる雲間おれば視界なし野口五郎の頂き哀れ

悟堂詠む大鷲の飛ぶ三つ岳の空もま白に鳥も鳴かずか

*歌人中西悟堂

稜線の雲の中をば歩き来て雲去れば水晶岳黒し

(烏帽子小屋)

9時消灯小屋静まって明日をまつ眠りに見るや北斗七星

ガラス窓透かして探す天の川漆黒の空満天の星

(烏帽子岳)

さわやかな風そよぐ朝烏帽子岳への道しずかなり

朝の空青く光りて烏帽子針ノ木真向っている 

烏帽子来て岩に遊べるひと時を過ごせば愉快腹から笑う

ブナ立の急なる尾根を駈け下り山中二泊の旅をおえたり

*2021.4.26


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。