怠惰なひな菊

漫画家・萩原玲二(はぎわられいじ)の怠惰なブログ(2006~2019)

キング・クリムゾン@渋谷オーチャードホール三日目(12/9)

2015-12-10 02:23:33 | 音楽





DGMによる、二日目(12/8)と三日目(12/9)のセトリ


King Crimson setlist
Bunkamura Orchard, Tokyo
December 9th 2015

Peace
Pictures Of A City
Epitaph
Radical Action (To Unseat The Hold Of Monkey Mind) I
Meltdown
Radical Action (To Unseat The Hold Of Monkey Mind) II
Level Five
Scarcity of Miracles
Hell Hounds Of Krim
Easy Money
Red
Interlude
The Letters
Larks’ Tongues In Aspic Part 2
In The Court of The Crimson King
21st Century Schizoid Man

Devil Dogs Of Tessellation Row
Starless

‥‥‥

初日がすごく観やすかった席だった「あざなえる縄のごとし」だろうか、三日目は1階席後方、あまつさえチケット代の5千円分くらいは前席の兄さんの後頭部の値段となってしまった。
兄さんの後頭部はメルさんとパットさん二人の価値はないんや!と心の中で怒声を張り上げつづけていた2時間なのである。

椅子に沈み込んだり、首を傾けたり、視界の確保に疲労困憊したが、演奏はまたしても最高であった。


「新曲×3+レヴェル5」メドレー、今夜は落ち着いて聴けたので、境目はなんとなくわかった。

ワルツっぽかったのは「メルトダウン」で、イントロのアルペジオは4期風。

冒頭の「ラジカルアクション1」も、いかにもフリップ先生というアルペジオではじまり、はて、何拍子だったろうか?

素人なので、シンコペーションだらけのリフで変拍子を矢継ぎ早にかまされるとすべてを見失うのである。

日本で初披露の「ラジカルアクション2」の方も変拍子なのだろうが、トリプルドラムがその拍子を無視するように重い4/4を叩くという―――かっこよい。
「レヴェル5」に繋がるだけあって、「5」の最後の方にあるようなリフだった記憶が。

このメドレーを脳で2時間に引き延ばすと、フリップ先生が中途で放棄された7期クリムゾンでやりたかったことをイメージできるんでなかろうか。


そんなフリップ先生の8期クリムゾンの動機のひとつに、幻の「シルヴィアン・クリムゾン」への未練があるのでは?と、先日このエントリ→(David Sylvian & Robert Fripp - 怠惰なひな菊)で、妄想を述べたのだった。

で、今夜「スケアシティ・オブ・ミラクルズ」を聴き、その関係妄想をますます逞しくしてしまったことを、告白しておきたい。
ジャッコさんの歌声を脳でデビシル先生に変換して聴いてしまったところ、どんぴしゃすぎるわ!と!


今日の「イージーマネー」はよかった。
中間のジャム、ギャヴィンさんが疾走感をぐいぐい先導しておった。


さて、「レッド」を聴けたのはそれはうれしいが、おれは‥‥‥正直‥‥‥「ヴルーム」を聴きたかったんや‥‥‥!
それで、いかにも演りそうな三日目のチケをとったんや!
のに!

「レッド」という、クリムゾン流ロックンロールは、うっかり演奏すると凡庸なハードロックになってしまいがちで、ようつべにそんなカバーがごろごろしておる。

その、ある意味汎用性の高い性質を、今回ドラムを3つも使って、あえてオンビート風の土着的プリミティズムに繋ぎ留めたというか(Aメロの部分)、それが逆にバーバリアニズムというか、ヴァイオレンスというか、なるほどなるほど~と。

「レヴェル5」でもそうなのだが、後半にギャヴィンさんがへ~んな拍子でゆっくりスネアをいれてくるのである(狂気)。
すたーーん‥‥‥すたーーーん‥‥‥

しかし、ブリューさんが最前でへらへら主旋律を演奏しない「レッド」を観たのははじめてで、まったく「クール」であった。


「インタールード」はトニーさんがアップライト、メルさんとジャッコさんでツイン・フルートという即興?もの。


「21マン」の中間部は、最初と最後のキメは通常運転で、前半がメルさんのサックスソロ、後半がギャヴィンさんのドラムソロとなっており、初日はメルさんのバック(というかその前)で、パット&ビルのドラム漫才がメルさんのソロを妨害するようにどんちきどんちき繰り広げられていたのだったが、三日目はなぜかパットさんはあまり叩かず、ビルさんが、「いつもより多く叩いております!」になっていた。
なぜか。





終演後のフリップ先生の客席3方向への「御辞儀」には感動したが、それは立場上あって然るべき振る舞いで、今回の8期クリムゾンにとってフリップ先生は、プレイヤーというより、コンダクターなのであり、実際フリップ先生の(1~3期の曲の)パートは、ジャッコさんがいかようにも代替可能だろう。

すなわち、キング・クリムゾン・オーケストラ最高!と称賛せねば!ならない!





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