![]() | 長編読切時代劇 大岡越前 2012年 10/6号 [雑誌] |
竹書房 |
竹書房から、↑のような雑誌が刊行されていて、近代麻雀編集部のフロアーでつくってるのでは?という雰囲気なので、「ナンダヨーイッテクレレバ明日カラソッコー林不忘ノ『新版大岡政談・鈴川源十郎の巻』ヲ描キハジメマスヨーグフフフフフ」と、折に触れ妄想しておったのだった。
『新版大岡政談・鈴川源十郎の巻』は、現在『丹下左膳・乾雲坤竜の巻』に改題。
青空文庫「丹下左膳 乾雲坤竜の巻」
なんなら、『魔像・新版大岡政談』でもよくってよ!
青空文庫「魔像 新版大岡政談」
なにやら、某・芋型編集者(!)も、キンマから異動して、携わってるみたいだし‥‥‥
しかし、次号から新装刊するような情報が! → http://www.takeshobo.co.jp/magazine_d/zid/122
4/7追記:新装刊の「コミック魁」をみたら、すでに神田先生が丹下左膳を執筆されておった!
大岡越前本と遠山金四郎本(こちらで『左膳が疾走る/作画:神田たけ志 原作:林不忘』が連載!)がテレコでイシューされていたとは‥‥‥不覚!
よって、小生の目論見は潰えることに!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/f9/d23329721ebd946d01d276d9695cba9a.jpg)
んで、『新版大岡政談・鈴川源十郎の巻』といえば、中里介山の『大菩薩峠』の主人公・机龍之介を完全にパクった、かの隻眼隻手のピカレスク剣士・丹下左膳が初登場した作品なわけであり、伊藤大輔監督によって映画化された日活の『新版大岡政談(三部作)』〔1928〕は、日本無声映画の頂点をなす大傑作だろうと思われる。
ほんの部分しか現存しないが。
忠次旅日記~新版大岡政談 - YouTube
んで、同じく伊藤監督による、『魔像・新版大岡政談』の映画化『続大岡政談・魔像篇(二部作)』〔1930~1931〕も鬼のように現存しないが、以下のような文献にてらすと、この封切りに出くわした後進には、娯楽時代劇映画のステレオタイプというか、なくてはならぬお手本となったことがわかるのだった。
加藤泰(以下、泰) ともかくこれ(『続大岡政談・魔像篇』)でぼくがびっくりしたのは、映画が始まっても、主役の大河内伝次郎が中々顔を上げない。一巻くらい続いたんじゃないですか?
伊藤大輔(以下、先生) そんなような感じがあるんだ。‥‥‥ 悪口雑言が、字幕で出るんだね。
泰 そのうちに、うつむいていた神尾喬之助の肩が細かく動き始める。すると「こいつ泣いている!」。それでまたしばらく悪口、罵詈讒謗を浴びせる、と、パーッと顔をあげると笑っておるんですなァ、これが。(笑い)
先生 だから、これ、サイレントじゃなきゃやれないね。
泰 そのあとが大河内伝次郎の得意の顔でしてね。笑いながら部屋を出て消えちゃうんですね。
それで皆が追っかけて行く。
‥‥‥
先生 哄笑して出て行って、ナマイキなと、一人が後を追っかけて出ていったから、それからどうなるんだろうと、シーンとしていると、長い長いサイレントの間―――、といきなりポカーン! 放り込まれるんだ、部屋の中に‥‥‥。
泰 首が。
このオープニングシーンの、緊張を持続させるケレンに満ちた演出は、『椿三十郎』〔1962〕の最後の殺陣や、時空を超えてタランティーノ(!)の緩急の演出にも通じておる。
泰 それでいよいよ怨みをはらすということになって、そして貼り紙をしまして「お首(しるし)頂戴」とか何とかで、一番首、二番首と消していきましたですな。いまだにやっている時代劇のパターンが全部出て来るんです。
先生 「お命頂戴」とか、「只今参上」。
泰 いま全部やってまんねん。そして後篇のほうでしたかね、神尾喬之助と茨右近と女房お絃が全部同じ格好になって、神尾喬之助が何人も出て来るという‥‥‥
先生 何であんなことやったのかな。
泰 いや、おもしろかったですよ、たいへんにおもしろかったです。
この対談の載っている、「時代劇映画の詩と真実」(伊藤大輔・加藤泰編・キネマ旬報社・1976年)は、古書でしか手に入らず、絶対に復刻すべき、「映画術」(ヒッチコック・トリュフォー)に匹敵する良書だと思うが、伊藤大輔の絶頂期の作品がことごとく現存しないという事実に、所詮映画バカのみの愉悦ということに‥‥‥
![]() | 時代劇映画の詩と真実 (1976年) |
伊藤 大輔 (著), 加藤 泰 (編集) 340ページ | |
キネマ旬報社 |
![]() | 定本 映画術 ヒッチコック・トリュフォー |
処女作から最後の作品まで、華麗なテクニックとその映画人生のすべてを、520枚の写真を駆使して大公開。ヒッチコックの魅力を満載した名著、待望の決定版!! | |
晶文社 |