ぐだぐだくらぶ

ぐだぐだと日常を過ごす同級生たちによる
目的はないが夢はあるかもしれない雑記
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英語のレポート用の小話

2014年05月18日 15時35分24秒 | 小説
ある企業が、テーマパークを建設するため、木が生い茂る森林地帯の土地を購入しようとしていた。

しかし、林業を営むその土地の所有者は、適正価格の数割増の値段を提示してきたため、企業は交渉に頭を抱えていた。

そこで、ある開発担当の社員が良いアイデアを思いついた。

その社員は、一台のチェーンソーを手に、林の所有者にこう提案した。

「これは、弊社の子会社が技術を集結して開発した、次世代のチェーンソーです。

切れ味、出力もさることながら、特筆すべきは、絶対に壊れる心配がないということです。

このチェーンソーを無償で差し上げますので、土地の売値を何割か下げてもらえないでしょうか」

林の所有者は、怪しんで言った。

「絶対に壊れないというのは、どうも信用ならないな」

「そうおっしゃるなら、試してもらっても構いません。もし故障するようなことがあれば、あなたの提示なさっている通りの金額で、土地を購入させていただきましょう」

その日から、林の所有者は毎日のように、受け取ったチェーンソーを手に林に入っていった。

確かに、木を切れども切れども、チェーンソーは故障しなかった。

それでも、林の所有者は信用していなかった。

「こんな見え透いた嘘に騙されてたまるか。いつか壊れるに決まってる」

そうして約一年が経ち、所有者が林に残された最後の一本の木を切ろうとした時、ついにチェーンソーが煙を上げて動かなくなった。

林の所有者は得意顔で、故障したチェーンソーを企業の社員に見せた。

「見ろ、やっぱり嘘だった。それじゃ、約束通りこちらが提示した値段で買ってくれ」

社員は、ニッコリ笑って言った。

「分かりました、その値段で手を打ちましょう。あなたは、土地の整備にこれだけ協力して下さったのですから」


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