ぐだぐだくらぶ

ぐだぐだと日常を過ごす同級生たちによる
目的はないが夢はあるかもしれない雑記
「ぐだぐだ写真館」、始めました

狂蛾

2007年11月21日 15時40分40秒 | 小説
いつからだろう。

今となっては、思い出せない。

不思議だよね。こんなに頭の中を一杯にしてる感情が、

いつの間にか生まれるなんて。



この気持ちを知らない頃は、

何にも知らなかった頃は、

想像もつかなかった。

あの頃と、今の自分は、違う生き物みたいだ。

私も、いつの間にか生まれ変わっていたのかな?

自分の知らないうちに。



自分は生まれ変わっても、

世界は何にも変わらない。

夏の暑さ、冬の寒さ。

街の喧騒、テレビの画面。

私を包む、空気。


けれど、世界は、違って見える。

私の「目」は、「心」は、見つけてしまったから。

世界の端っこで、光るモノ。



あの人はいつも、そこにいる。

私の目は、あの人に吸い込まれる。

気だるい世界は、視界の隅っこに追いやられて。

私の「目」は、輝きを取り戻していく。

私の「心」は、それだけで満たされていく。



この気持ちを、わかってくれる?

わかってくれなくたっていい。

私は、これ以上の幸せなんていらない。

あなたが、私の目に映る。心を照らす。

それだけで。



私の目は、あなたを探す。

あなたを見つけて、視野が定まる。

私の「目」は、ずっと光を求めていた。

暗い世界を映すのに、疲れて。




私の「世界」は、ちょっと眩し過ぎる。




あなたはいつも、そこにいる。

私の目は、あなたを映す。

映ったものは、何?

私の「目」は、あなたを視界から外す。

私の「心」が、軋む。



この気持ちは、何?

私の心は、何も変わっちゃいない。

私の目も・・・



私の目は、あなたを求める。

あなたを捉えて、息を呑む。

私の「目」は、陰りを嫌い出す。

明るい世界に、慣れすぎたのかも。




私の「世界」に、影が忍び込む。




私の「目」は、あなたを覗く。

眩しくて、眩し過ぎて、目を閉じる。

閉じた「目」には、残像が映る。

暗い闇に浮かぶ、あなた。



「心」を這うのは、あなたの影法師。

軋む「心」は、影の重さに耐えられない。

私の心に、穴が開く。

私の「心」を、光が貫く。

それでも私の「目」は、蛾のように光を貪る。

私の「心」が、真っ黒に焦げていく。



この気持ちを、わかってくれる?

きっとわかってくれないよ。

私には、こんな幸せも許されない?

あなたの光が、目を照らす。

「目」を抜けて、「心」の内壁を晒す。

痛いよ。もうやめてよ。




私の「世界」が、ひび割れる。




暗い闇に浮かぶ、あなた。

私の「目」は、それでもあなたに向かう。

どうして?

私の「目」はもう、理性を失った。

私の「目」は、あなたを食い尽くす。



この「気持ち」を知らない頃は、

あの気持ちしか知らなかった頃は、

想像もつかなかった。

あの頃と、今の自分は、違う生き物みたいだ。

あの私は、いつの間にか死んでしまった?

今の「私」は、何?



私の「心」は、黒く染まる。

あの頃と同じ、真っ暗な世界。

あなたの光は、それでも黒い壁を照らす。

今の私は、一体何をしているの?




私の「世界」が、光を浴びてなお、黒さを増す。




いつからだろう。

今となっては、思い出せない。

おかしいよね。こんなに頭の中を一杯にしてる感情に、

自分が気付かないなんて。



私の「目」は、狂っている。

私は、「目」を捕まえられない。

私の「心」は、焦げている。

私は、「心」を元には戻せない。

もう、手遅れだよ。



「私」は死んでしまっても、

私は何にも変わらない。

私の目、私の心。

私の手、私の足。

世界に触れる、私の壁。


けれど、「世界」は、変わり続ける。

私は、「私」に追いつけない。

私は、手を伸ばす。

「手」が、影に飲み込まれる。




私の「世界」に、「私」が入り込む。




私の「心」は、真っ黒。

「私」は、「心」に穴を開ける。

壁の穴から、眩しすぎる光が差し込む。

黒い壁に、あなたの姿が映る。

私の「目」が、光を見失う。

「心」は、「あなた」から光を受ける。

これでいい。もうこれでおしまい。



「私」は、「あなた」に手を伸ばす。

私の「手」は、「あなた」をすり抜ける。

「あなた」は、「私」を照らす。

どうして?



あなたは、私の目の前に。

手を伸ばせば、触れる距離に。

私の「手」は、「心」の穴を出られない。

どうしてあなたは、そこにいるの?




私の「世界」が、あなたを蝕む。




暗い闇に浮かぶ、あなた。

あなたには、この世界は暗すぎる。

あなたは、眩しすぎるから。

こんな終わりのない世界を照らして、

どうして私の狭い「心」を、照らしてくれないの?



世界から、光が消える。

私は、「私」が消えるのを見つめる。

私の「目」が、闇に迷うのを眺める。

「あなた」が消えて、暗い「世界」に戻って、

何も見えずに、さまよいたくて。



でも、私の「心」は、黒いまま。

「あなた」も、私の「心」に居座って、

つまらなそうな顔で、私を見る。

どうして?



私は何も知らなかった。

あの頃から、何にも知らなかった。

あの頃と、今の自分は、何も変わっちゃいない。

私は、生まれ変わったあの時から、

狂ってたんだ。




私の「世界」が、音もなく崩れていく。




どうしてだろう。

今になっても、わからない。

不思議だよね。あんなに頭の中を一杯にしてた感情が、

あっという間に崩れるなんて。



「あなた」は、私の「世界」を照らす。

「あなた」の光が、斧を照らす。

斧が、私の「目」を砕く。

斧が、私の「世界」を崩していく。



斧が、私の「心」に迫る。

「あなた」は、私に微笑みかける。

私は、「あなた」に照らされる。

私は、あなたに微笑むことも出来ない。

あなたに触れることさえ出来ない。

斧が、私の役立たずな「手」を切り落とす。




私の「世界」に、私は一人。



斧が、私に刃を向ける。



私は、斧に微笑みかける。



あなたは、斧を振り下ろす。



















あとがきみたいなもの