左室内血栓から血栓が剥がれおち、脳梗塞などの塞栓症が起こる可能性があります。多くの左室内血栓は抗凝固療法が第一選択ですが、血栓がなかなか消失しない、塞栓症の危険がある場合は、手術適応となる場合もあります。
この左室内血栓の原因の多くは陳旧性心筋梗塞による心室瘤や、心筋壁の無収縮領域の血流がよどんで形成されるものです。こうした症例に冠動脈造影とともに、あまりよく考えずにカテーテル治療による血行再建をすると、治療後に心筋の壁運動が改善して、血栓を飛ばし塞栓症を発生する可能性があると考えられます。
理論上はそうですが、実際にそうした理由で塞栓症が起こったという報告は筆者は知りませんが、治療するにあたっては充分な注意検討が必要であることは間違いありません。
軽率にPCIせずに冠動脈バイパス術と同時に血栓除去・左室形成するという選択肢も考慮することが重要と考えます。