”知財コミュニケーション研究所 知財コミュニケーター”® 知財活用コンサルタント・セミナー講師:新井信昭のブログ 

「社長! その特許出願ちょっと待った!」。「見せない 出さない 話さない」と「身の丈に合った知財戦略」で企業を元気に!

知財経営事例集9(特許権も相続対象)

2010-02-23 07:01:44 | 知財経営事例
おはようございます。知財経営プロデューサーの新井信昭です。

知財経営事例集9(特許権も相続対象)をお届けします

確定申告の時期です。過日に知り合いの税理士さんから質問を受けました。「ある大学教授Aが亡くなりその遺産相続の手続きを行っているのだが、遺族から主人は特許権を持っていたと聞いた。特許権も相続対象になるのでしょうか。」と。

特許権は、土地や建物、株券などと同様に財産の一つです。ですから、もちろん相続の対象となります。ただ、特許権は土地や建物等と違い、形をもちません。無体財産権と呼ばれる所以です。

特許権の存在は、被相続人(先の例の大学教授A)の特許証、特許公報、特許登録原簿などによって確認することができます。上記したもののうち、特許公報は、特許庁のホームページ(電子図書館)から検索することができます。これが最も簡単な方法です。

特許登録原簿は、会社でいう会社謄本のようなもので、特許権の権利者情報、存続の有無などが登録されたもので、特許庁に請求することによって入手できます。ここでは具体的な検索方法や請求方法については省略します。

特許権が相続されたこと、つまり、上記例でいう大学教授Aが亡くなったことは、なるべく早く特許庁に知らせてあげる必要があります。この知らせる手続は、「移転登録申請書」という書類で行います。特許法の上では時期的な制限はないのですが(相続税法上の期限はあります。税理士さんに確認してください)、注意しなければならないのは、特許権を維持するためには特許維持年金を特許庁に納付しなければならないということです。

期限までに納付しなければ特許権は消滅します。財産がなくなってしまう、ということです。相続だからといって特別な救済手段はありません。特許権だけでなく実用新案権、意匠権、商標権なども同じです。出願中のものも相続対象ですが、この点については別の機会に説明します。相続が生じたときは、速やかに調査を行い特許庁に対して手続きをとる必要があることを覚えておいてください。

上記したのは相続についてですが、たとえば会社合併(これらを「一般承継」といいます)により存続会社に財産を引き継がせる場合も同じように考えます。取得した特許権等を適切にマネジメントすることは知財経営に欠かせません。相続や一般承継については、弁理士等の専門家に相談されることを強くお勧めします。

本日は、知財経営事例集9として、特許権も相続対象というお話をしました。

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