「4 アミノ酸・たんぱく質・糖質・脂質の代謝」 のうち 「B 糖質の代謝」 の練習問題と解答・解説です.
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4 アミノ酸・たんぱく質・糖質・脂質の代謝 B 糖質の代謝 12問 問題
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1 解糖系に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 解糖系の反応は, ミトコンドリア内膜上で進む.
(2) グルコースは, 解糖系で嫌気的に代謝され, アセチルCoAとなる.
(3) 解糖系では, 1分子のグルコースから2分子のピルビン酸または乳酸が生成する.
(4) 解糖系では, グルコース1分子当たりATPが38分子生成される.
(5) 乳酸脱水素酵素は, ピルビン酸を酸化して乳酸を生成する.
2 解糖系に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) グルコースが解糖系によって嫌気的に代謝されると, クエン酸が生成する.
(2) ヘキソキナーゼは, 解糖系の律速酵素である.
(3) 解糖系の第一段階は, グルコースとアセチルCoAの結合である.
(4) 解糖系を構成する酵素によって触媒される反応は, すべて可逆的に進行する.
(5) 解糖系における高エネルギーリン酸化合物の生産には, 酸化還元反応は関与しない.
3 解糖系に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) オキサロ酢酸とピルビン酸は, ともにアセチルCoAから生成する.
(2) 解糖系においてATPを用いるリン酸化反応は, マグネシウムイオンを必要とする.
(3) フルクトース, ガラクトースは, ともに解糖系とは別の経路に入り分解される.
(4) グリセロールは, グリセロール 3-リン酸からグリセルアルデヒド 3-リン酸となり, 解糖過程に入る.
(5) グルコースは, 解糖系, ペントースリン酸回路, 糖新生の中間体である.
4 クエン酸回路に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 解糖系とクエン酸回路を構成する酵素反応は, いずれもミトコンドリア内で進行する.
(2) ピルビン酸は, ミトコンドリア膜を通過できない.
(3) ピルビン酸は, 細胞質でアセチルCoAになる.
(4) 3-ヒドロキシ酪酸は, クエン酸回路の中間体である.
(5) クエン酸回路は, トリカルボン酸のみで構成される.
5 クエン酸回路に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) クエン酸回路には, 基質と酸素分子との反応過程がある.
(2) クエン酸回路には, 基質準位のリン酸化による高エネルギーリン酸化合物生成反応は存在しない.
(3) α-ケトグルタル酸は, クエン酸回路の中間体である.
(4) クエン酸回路は, グルコース以外の化合物から生成したアセチルCoAのアセチル基を代謝できない.
(5) アセチルCoAは, ピルビン酸と反応してクエン酸回路に入る.
6 クエン酸回路に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) ピルビン酸脱水素酵素複合体は, ビタミンB6の補酵素型を補酵素とする.
(2) ピルビン酸脱水素酵素複合体は, パントテン酸の補酵素型を補酵素とする.
(3) クエン酸回路には, クレアチンリン酸を産生する過程がある.
(4) クエン酸回路では, 脱水素反応によってNAD+とFADが生成する.
(5) ピルビン酸は, クエン酸回路および脂質合成経路の中間体である.
7 ペントースリン酸回路に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) ペントースリン酸回路は, ミトコンドリア内に存在する.
(2) ペントースリン酸回路は, クエン酸回路の側路である.
(3) ペントースリン酸回路は, ペントースリン酸を分解するための代謝経路である.
(4) グルコースがペントースリン酸回路によって代謝される際に, NADH+H+が生成する.
(5) 核酸の五炭糖部分は, ペントースリン酸経路で供給される.
8 ペントースリン酸回路およびウロン酸回路に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) ペントースリン酸回路は, 脂肪酸の合成に必要なNADPH+H+の供給に役立っている.
(2) ペントースリン酸回路では, グルコース1モルあたり3モルのATPが生じる.
(3) ペントースリン酸回路は, 主にエネルギーを消費する心筋や骨格筋で機能している.
(4) 脂肪組織には, ペントースリン酸回路は存在しない.
(5) ウロン酸回路は, 核酸合成のためのリボースを供給する.
9 グリコーゲン合成に関する記述である. 正しいのはどれか. 2つ選べ.
(1) グリコーゲンの合成には, エネルギー源としてATPが用いられる.
(2) グリコーゲン合成酵素の反応では, UDP-グルコースからグルコース残基が供給される.
(3) グリコーゲン合成において, UDP-グルコースはグリコーゲン鎖の還元末端に α-1,4 結合する.
(4) グリコーゲン合成酵素は, アドレナリンによって活性化される.
(5) グリコーゲンの合成にあたっては, 分枝酵素によって特有の樹状構造を形成する.
10 グリコーゲン合成に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) グルカゴンは, グリコーゲン分解を抑制する.
(2) 肝臓には, グルコース-6-ホスファターゼが存在する.
(3) グリコーゲンが加リン酸分解されると, グルコース 6-リン酸が生成する.
(4) グリコーゲンホスホリラーゼは, リン酸化により不活性化される.
(5) 細胞内でのグリコーゲンの分解は, 分岐部に達すると停止する.
11 糖新生に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 乳酸, ピルビン酸, オキサロ酢酸, グリセロール, 脂肪酸などからグルコースが合成されることを, 糖新生という.
(2) 糖新生は, 細胞質で進行する.
(3) グルコース-6-ホスファターゼは, 解糖系の律速酵素である.
(4) グルカゴンは, 糖新生を抑制する.
(5) 骨格筋細胞は, 脂肪酸をグルコースに変換する作用をもつ.
12 糖質の代謝に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) ラクトースの生合成は, UDPグルコースからUDPガラクトースを経てなされる.
(2) 乳腺では, UDP-ガラクトースはUDP-グルコースと縮合してフルクトースとなる.
(3) アセチルCoAは, 糖新生およびクエン酸回路の中間体である.
(4) 骨格筋では, グルコース 6-リン酸がグルコースに変換される.
(5) 骨格筋のグリコーゲンから, 血糖が供給される.
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4 アミノ酸・たんぱく質・糖質・脂質の代謝 B 糖質の代謝 12問 解答と解説
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1=(3)
(1) 誤 解糖系は, 細胞質に存在する代謝経路である.
(2) 誤 解糖系は, 無酸素 (嫌気的) 条件ではグルコース1分子から乳酸2分子を生成する.
(3) 正 解糖系は, 有酸素 (好気的) 条件ではグルコース1分子からピルビン酸2分子を生成する.
(4) 誤 解糖系では, 基質レベルのリン酸化により2分子のATPが産生される.
(5) 誤 嫌気的条件下では, 乳酸脱水素酵素とNADHによりピルビン酸が還元されて, 乳酸が生成する.
2=(2)
(1) 誤 嫌気的条件下では, 乳酸脱水素酵素とNADHによりピルビン酸が還元されて, 乳酸が生成する.
(2) 正 骨格筋のヘキソキナーゼや肝臓のグルコキナーゼは, 解糖系の律速酵素である.
(3) 誤 解糖系の第一段階は, ヘキソキナーゼやグルコキナーゼによるグルコースのリン酸化 (グルコース 6-リン酸の生成) である.
(4) 誤 解糖系を構成する酵素によって触媒される反応は, 律速酵素が関与する3か所のみ不可逆的に進行する.
(5) 誤 解糖系における高エネルギーリン酸化合物の生産には, 酸化還元反応が関与する.
3=(2)
(1) 誤 オキサロ酢酸とアセチルCoAは, ともにピルビン酸から生成する.
(2) 正 解糖系においてATPを用いるリン酸化反応は, マグネシウムイオンを必要とする.
(3) 誤 フルクトース, ガラクトースは, ともに解糖系に入り分解される.
(4) 誤 グリセロールは, グリセロール 3-リン酸からジヒドロキシアセトンリン酸となり, 解糖過程に入る.
(5) 誤 グルコース 6-リン酸は, 解糖系, ペントースリン酸回路, 糖新生の中間体である.
4=(1)
(1) 正 クエン酸回路の酵素はミトコンドリア内に存在する.
(2) 誤 ピルビン酸は, ミトコンドリア膜を通過できる.
(3) 誤 ピルビン酸は, ミトコンドリアマトリックスでアセチルCoAになる.
(4) 誤 ケトン体の1つである 3-ヒドロキシ酪酸は, クエン酸回路を構成する中間体ではない.
(5) 誤 クエン酸回路には, トリカルボン酸のほかジカルボン酸 (α-ケトグルタル酸, コハク酸など) も存在する.
5=(3)
(1) 誤 解糖系やクエン酸回路には, 基質と酸素分子との反応過程はない.
(2) 誤 クエン酸回路には, 基質レベルのリン酸化による高エネルギーリン酸化合物 (GTP) 生成反応が存在する.
(3) 正 α-ケトグルタル酸は, クエン酸回路を構成する中間体である.
(4) 誤 クエン酸回路は, グルコースの解糖や脂肪酸のβ酸化によるアセチルCoAのアセチル基を酸化 (代謝) する.
(5) 誤 アセチルCoAは, オキサロ酢酸と反応してクエン酸回路に入る.
6=(2)
(1) 誤 ピルビン酸脱水素酵素複合体は, ビタミンB1の補酵素型 (チアミン二リン酸) を補酵素とする.
(2) 正 ピルビン酸脱水素酵素複合体は, パントテン酸の補酵素型 (アセチルCoA) を補酵素とする.
(3) 誤 クエン酸回路には, クレアチンリン酸を産生する過程はない.
(4) 誤 クエン酸回路では, 脱水素反応によってNADH+H+とFADH2が生成する.
(5) 誤 アセチルCoAは, クエン酸回路および脂質合成中間体である.
7=(5)
(1) 誤 ペントースリン酸回路は, 細胞質に存在する.
(2) 誤 ペントースリン酸回路は, 解糖系の側路である.
(3) 誤 ペントースリン酸回路は, ペントースリン酸 (リボース 5-リン酸) およびNADPH+H+を生成する.
(4) 誤 グルコースがペントースリン酸回路によって代謝される際に, NADPH+H+が生成する.
(5) 正 ペントースリン酸回路で生成するリボース 5-リン酸は, 核酸の五炭糖部分になる.
8=(1)
(1) 正 ペントースリン酸回路で生成するNADPH+H+は, 脂肪酸やコレステロールの合成に利用される.
(2) 誤 ペントースリン酸回路では, ATPは生じない.
(3) 誤 ペントースリン酸回路は, 主にエネルギーを消費する心筋や骨格筋では機能していない.
(4) 誤 ペントースリン酸回路は, 肝臓, 脂肪組織, 副腎皮質, 赤血球などで機能している.
(5) 誤 ウロン酸回路は, グルクロン酸抱合に用いられるUDP-グルクロン酸の生産に役立っている.
9=(2)かつ(5)
(1) 誤 グリコーゲンの合成には, エネルギー源としてUTPが用いられる.
(2) 正 グリコーゲン合成酵素の反応では, UDP-グルコースからグルコース残基が供給される.
(3) 誤 グリコーゲン合成において, UDP-グルコースはグリコーゲン鎖の非還元末端に α-1,4 結合する.
(4) 誤 グリコーゲン合成酵素は, グルカゴンやアドレナリンによって抑制される.
(5) 正 グリコーゲンの合成にあたっては, 分枝酵素によって特有の樹状構造を形成する.
10=(2)
(1) 誤 グルカゴンは, 肝臓のグリコーゲン分解を促進するが, 筋肉のグリコーゲン分解には関与しない.
(2) 正 肝臓には, グルコース-6-ホスファターゼが存在する.
(3) 誤 グリコーゲンホスホリラーゼは, グリコーゲンを加リン酸分解してグルコース 1-リン酸を生成する.
(4) 誤 グリコーゲンホスホリラーゼは, リン酸化により活性化される.
(5) 誤 グリコーゲンの分岐部の分解には, 脱分枝酵素が関与する.
11=(2)
(1) 誤 乳酸, ピルビン酸, オキサロ酢酸, グリセロール, 糖原性アミノ酸などからグルコースが合成されることを, 糖新生という.
(2) 正 糖新生は, 細胞質で進行する.
(3) 誤 糖新生の酵素であるグルコース-6-ホスファターゼは, 肝臓でグルコース 6-リン酸を脱リン酸化してグルコースを生成する.
(4) 誤 グルカゴンは, 糖新生を促進する.
(5) 誤 脂肪酸やそのβ酸化物であるアセチルCoAは, 糖新生の基質とはならない.
12=(1)
(1) 正 授乳中の乳腺では, UDPグルコースからUDPガラクトースが合成され, グルコースと脱水縮合してラクトースとなる.
(2) 誤 乳腺におけるラクトースの生合成では, グルコースとUDPガラクトースが縮合してラクトースとなる.
(3) 誤 オキサロ酢酸は, 糖新生およびクエン酸回路の中間体である.
(4) 誤 肝臓では, グルコース 6-リン酸がグルコースに変換される.
(5) 誤 骨格筋にはグルコース-6-ホスファターゼが存在しないので, 骨格筋のグリコーゲンからは血糖は供給されない.
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次回は, 「4 アミノ酸・たんぱく質・糖質・脂質の代謝」 のうち 「C 脂質の代謝」 の穴埋め問題と正文集です.
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4 アミノ酸・たんぱく質・糖質・脂質の代謝 B 糖質の代謝 12問 問題
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1 解糖系に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 解糖系の反応は, ミトコンドリア内膜上で進む.
(2) グルコースは, 解糖系で嫌気的に代謝され, アセチルCoAとなる.
(3) 解糖系では, 1分子のグルコースから2分子のピルビン酸または乳酸が生成する.
(4) 解糖系では, グルコース1分子当たりATPが38分子生成される.
(5) 乳酸脱水素酵素は, ピルビン酸を酸化して乳酸を生成する.
2 解糖系に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) グルコースが解糖系によって嫌気的に代謝されると, クエン酸が生成する.
(2) ヘキソキナーゼは, 解糖系の律速酵素である.
(3) 解糖系の第一段階は, グルコースとアセチルCoAの結合である.
(4) 解糖系を構成する酵素によって触媒される反応は, すべて可逆的に進行する.
(5) 解糖系における高エネルギーリン酸化合物の生産には, 酸化還元反応は関与しない.
3 解糖系に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) オキサロ酢酸とピルビン酸は, ともにアセチルCoAから生成する.
(2) 解糖系においてATPを用いるリン酸化反応は, マグネシウムイオンを必要とする.
(3) フルクトース, ガラクトースは, ともに解糖系とは別の経路に入り分解される.
(4) グリセロールは, グリセロール 3-リン酸からグリセルアルデヒド 3-リン酸となり, 解糖過程に入る.
(5) グルコースは, 解糖系, ペントースリン酸回路, 糖新生の中間体である.
4 クエン酸回路に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 解糖系とクエン酸回路を構成する酵素反応は, いずれもミトコンドリア内で進行する.
(2) ピルビン酸は, ミトコンドリア膜を通過できない.
(3) ピルビン酸は, 細胞質でアセチルCoAになる.
(4) 3-ヒドロキシ酪酸は, クエン酸回路の中間体である.
(5) クエン酸回路は, トリカルボン酸のみで構成される.
5 クエン酸回路に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) クエン酸回路には, 基質と酸素分子との反応過程がある.
(2) クエン酸回路には, 基質準位のリン酸化による高エネルギーリン酸化合物生成反応は存在しない.
(3) α-ケトグルタル酸は, クエン酸回路の中間体である.
(4) クエン酸回路は, グルコース以外の化合物から生成したアセチルCoAのアセチル基を代謝できない.
(5) アセチルCoAは, ピルビン酸と反応してクエン酸回路に入る.
6 クエン酸回路に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) ピルビン酸脱水素酵素複合体は, ビタミンB6の補酵素型を補酵素とする.
(2) ピルビン酸脱水素酵素複合体は, パントテン酸の補酵素型を補酵素とする.
(3) クエン酸回路には, クレアチンリン酸を産生する過程がある.
(4) クエン酸回路では, 脱水素反応によってNAD+とFADが生成する.
(5) ピルビン酸は, クエン酸回路および脂質合成経路の中間体である.
7 ペントースリン酸回路に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) ペントースリン酸回路は, ミトコンドリア内に存在する.
(2) ペントースリン酸回路は, クエン酸回路の側路である.
(3) ペントースリン酸回路は, ペントースリン酸を分解するための代謝経路である.
(4) グルコースがペントースリン酸回路によって代謝される際に, NADH+H+が生成する.
(5) 核酸の五炭糖部分は, ペントースリン酸経路で供給される.
8 ペントースリン酸回路およびウロン酸回路に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) ペントースリン酸回路は, 脂肪酸の合成に必要なNADPH+H+の供給に役立っている.
(2) ペントースリン酸回路では, グルコース1モルあたり3モルのATPが生じる.
(3) ペントースリン酸回路は, 主にエネルギーを消費する心筋や骨格筋で機能している.
(4) 脂肪組織には, ペントースリン酸回路は存在しない.
(5) ウロン酸回路は, 核酸合成のためのリボースを供給する.
9 グリコーゲン合成に関する記述である. 正しいのはどれか. 2つ選べ.
(1) グリコーゲンの合成には, エネルギー源としてATPが用いられる.
(2) グリコーゲン合成酵素の反応では, UDP-グルコースからグルコース残基が供給される.
(3) グリコーゲン合成において, UDP-グルコースはグリコーゲン鎖の還元末端に α-1,4 結合する.
(4) グリコーゲン合成酵素は, アドレナリンによって活性化される.
(5) グリコーゲンの合成にあたっては, 分枝酵素によって特有の樹状構造を形成する.
10 グリコーゲン合成に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) グルカゴンは, グリコーゲン分解を抑制する.
(2) 肝臓には, グルコース-6-ホスファターゼが存在する.
(3) グリコーゲンが加リン酸分解されると, グルコース 6-リン酸が生成する.
(4) グリコーゲンホスホリラーゼは, リン酸化により不活性化される.
(5) 細胞内でのグリコーゲンの分解は, 分岐部に達すると停止する.
11 糖新生に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 乳酸, ピルビン酸, オキサロ酢酸, グリセロール, 脂肪酸などからグルコースが合成されることを, 糖新生という.
(2) 糖新生は, 細胞質で進行する.
(3) グルコース-6-ホスファターゼは, 解糖系の律速酵素である.
(4) グルカゴンは, 糖新生を抑制する.
(5) 骨格筋細胞は, 脂肪酸をグルコースに変換する作用をもつ.
12 糖質の代謝に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) ラクトースの生合成は, UDPグルコースからUDPガラクトースを経てなされる.
(2) 乳腺では, UDP-ガラクトースはUDP-グルコースと縮合してフルクトースとなる.
(3) アセチルCoAは, 糖新生およびクエン酸回路の中間体である.
(4) 骨格筋では, グルコース 6-リン酸がグルコースに変換される.
(5) 骨格筋のグリコーゲンから, 血糖が供給される.
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4 アミノ酸・たんぱく質・糖質・脂質の代謝 B 糖質の代謝 12問 解答と解説
''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''
1=(3)
(1) 誤 解糖系は, 細胞質に存在する代謝経路である.
(2) 誤 解糖系は, 無酸素 (嫌気的) 条件ではグルコース1分子から乳酸2分子を生成する.
(3) 正 解糖系は, 有酸素 (好気的) 条件ではグルコース1分子からピルビン酸2分子を生成する.
(4) 誤 解糖系では, 基質レベルのリン酸化により2分子のATPが産生される.
(5) 誤 嫌気的条件下では, 乳酸脱水素酵素とNADHによりピルビン酸が還元されて, 乳酸が生成する.
2=(2)
(1) 誤 嫌気的条件下では, 乳酸脱水素酵素とNADHによりピルビン酸が還元されて, 乳酸が生成する.
(2) 正 骨格筋のヘキソキナーゼや肝臓のグルコキナーゼは, 解糖系の律速酵素である.
(3) 誤 解糖系の第一段階は, ヘキソキナーゼやグルコキナーゼによるグルコースのリン酸化 (グルコース 6-リン酸の生成) である.
(4) 誤 解糖系を構成する酵素によって触媒される反応は, 律速酵素が関与する3か所のみ不可逆的に進行する.
(5) 誤 解糖系における高エネルギーリン酸化合物の生産には, 酸化還元反応が関与する.
3=(2)
(1) 誤 オキサロ酢酸とアセチルCoAは, ともにピルビン酸から生成する.
(2) 正 解糖系においてATPを用いるリン酸化反応は, マグネシウムイオンを必要とする.
(3) 誤 フルクトース, ガラクトースは, ともに解糖系に入り分解される.
(4) 誤 グリセロールは, グリセロール 3-リン酸からジヒドロキシアセトンリン酸となり, 解糖過程に入る.
(5) 誤 グルコース 6-リン酸は, 解糖系, ペントースリン酸回路, 糖新生の中間体である.
4=(1)
(1) 正 クエン酸回路の酵素はミトコンドリア内に存在する.
(2) 誤 ピルビン酸は, ミトコンドリア膜を通過できる.
(3) 誤 ピルビン酸は, ミトコンドリアマトリックスでアセチルCoAになる.
(4) 誤 ケトン体の1つである 3-ヒドロキシ酪酸は, クエン酸回路を構成する中間体ではない.
(5) 誤 クエン酸回路には, トリカルボン酸のほかジカルボン酸 (α-ケトグルタル酸, コハク酸など) も存在する.
5=(3)
(1) 誤 解糖系やクエン酸回路には, 基質と酸素分子との反応過程はない.
(2) 誤 クエン酸回路には, 基質レベルのリン酸化による高エネルギーリン酸化合物 (GTP) 生成反応が存在する.
(3) 正 α-ケトグルタル酸は, クエン酸回路を構成する中間体である.
(4) 誤 クエン酸回路は, グルコースの解糖や脂肪酸のβ酸化によるアセチルCoAのアセチル基を酸化 (代謝) する.
(5) 誤 アセチルCoAは, オキサロ酢酸と反応してクエン酸回路に入る.
6=(2)
(1) 誤 ピルビン酸脱水素酵素複合体は, ビタミンB1の補酵素型 (チアミン二リン酸) を補酵素とする.
(2) 正 ピルビン酸脱水素酵素複合体は, パントテン酸の補酵素型 (アセチルCoA) を補酵素とする.
(3) 誤 クエン酸回路には, クレアチンリン酸を産生する過程はない.
(4) 誤 クエン酸回路では, 脱水素反応によってNADH+H+とFADH2が生成する.
(5) 誤 アセチルCoAは, クエン酸回路および脂質合成中間体である.
7=(5)
(1) 誤 ペントースリン酸回路は, 細胞質に存在する.
(2) 誤 ペントースリン酸回路は, 解糖系の側路である.
(3) 誤 ペントースリン酸回路は, ペントースリン酸 (リボース 5-リン酸) およびNADPH+H+を生成する.
(4) 誤 グルコースがペントースリン酸回路によって代謝される際に, NADPH+H+が生成する.
(5) 正 ペントースリン酸回路で生成するリボース 5-リン酸は, 核酸の五炭糖部分になる.
8=(1)
(1) 正 ペントースリン酸回路で生成するNADPH+H+は, 脂肪酸やコレステロールの合成に利用される.
(2) 誤 ペントースリン酸回路では, ATPは生じない.
(3) 誤 ペントースリン酸回路は, 主にエネルギーを消費する心筋や骨格筋では機能していない.
(4) 誤 ペントースリン酸回路は, 肝臓, 脂肪組織, 副腎皮質, 赤血球などで機能している.
(5) 誤 ウロン酸回路は, グルクロン酸抱合に用いられるUDP-グルクロン酸の生産に役立っている.
9=(2)かつ(5)
(1) 誤 グリコーゲンの合成には, エネルギー源としてUTPが用いられる.
(2) 正 グリコーゲン合成酵素の反応では, UDP-グルコースからグルコース残基が供給される.
(3) 誤 グリコーゲン合成において, UDP-グルコースはグリコーゲン鎖の非還元末端に α-1,4 結合する.
(4) 誤 グリコーゲン合成酵素は, グルカゴンやアドレナリンによって抑制される.
(5) 正 グリコーゲンの合成にあたっては, 分枝酵素によって特有の樹状構造を形成する.
10=(2)
(1) 誤 グルカゴンは, 肝臓のグリコーゲン分解を促進するが, 筋肉のグリコーゲン分解には関与しない.
(2) 正 肝臓には, グルコース-6-ホスファターゼが存在する.
(3) 誤 グリコーゲンホスホリラーゼは, グリコーゲンを加リン酸分解してグルコース 1-リン酸を生成する.
(4) 誤 グリコーゲンホスホリラーゼは, リン酸化により活性化される.
(5) 誤 グリコーゲンの分岐部の分解には, 脱分枝酵素が関与する.
11=(2)
(1) 誤 乳酸, ピルビン酸, オキサロ酢酸, グリセロール, 糖原性アミノ酸などからグルコースが合成されることを, 糖新生という.
(2) 正 糖新生は, 細胞質で進行する.
(3) 誤 糖新生の酵素であるグルコース-6-ホスファターゼは, 肝臓でグルコース 6-リン酸を脱リン酸化してグルコースを生成する.
(4) 誤 グルカゴンは, 糖新生を促進する.
(5) 誤 脂肪酸やそのβ酸化物であるアセチルCoAは, 糖新生の基質とはならない.
12=(1)
(1) 正 授乳中の乳腺では, UDPグルコースからUDPガラクトースが合成され, グルコースと脱水縮合してラクトースとなる.
(2) 誤 乳腺におけるラクトースの生合成では, グルコースとUDPガラクトースが縮合してラクトースとなる.
(3) 誤 オキサロ酢酸は, 糖新生およびクエン酸回路の中間体である.
(4) 誤 肝臓では, グルコース 6-リン酸がグルコースに変換される.
(5) 誤 骨格筋にはグルコース-6-ホスファターゼが存在しないので, 骨格筋のグリコーゲンからは血糖は供給されない.
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