管理栄養士国試のための基礎栄養学と生化学

管理栄養士国家試験のための基礎栄養学や生化学について, 勉強していきましょう.

人体 27-25

2012年05月31日 | 日記
「4 アミノ酸・たんぱく質・糖質・脂質の代謝」 のうち, 「C 脂質の代謝」 の正文集です.

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4 アミノ酸・たんぱく質・糖質・脂質の代謝 C 脂質の代謝 正文集
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C 脂質の代謝 a トリグリセリド・脂肪酸の生合成

◎◎◎ 脂肪酸の生合成は, 細胞質で行われる.
◎○○ 脂肪酸合成の最初の反応は, アセチルCoAへの炭酸付加によるマロニルCoAの生成である.
◎○○ 脂肪酸は, 糖質やケト原性アミノ酸から, β酸化経路とは全く異なる経路で合成される.
○○○ 脂肪酸の合成には, 還元剤としてNADPHが利用される.
○○○ 細胞質の脂肪酸合成系で合成されたパルミチン酸は, 滑面小胞体で鎖長延長反応によりステアリン酸となる.
○○○ ステアリン酸からオレイン酸への不飽和化反応は, 肝臓の小胞体で行われる.
○○○ ステアリン酸からオレイン酸への不飽和化反応には, 不飽和化酵素, O2, NADPH+H+が関与する.

C 脂質の代謝 b トリグリセリド・脂肪酸の分解

◎◎◎ 体脂肪は, 酸素と直接反応せずにエネルギーを産生する.
◎○○ アシルCoAは, アシルカルニチンとしてミトコンドリア内膜を通過する.
◎◎◎ 脂肪酸のβ酸化は, ミトコンドリアマトリックスで好気的に行われる.
○○○ 脂肪酸のβ酸化では, カルボキシ基側から炭素原子が2個ずつアセチルCoAとして離脱する.
○○○ 不飽和脂肪酸のβ酸化では, 還元剤としてNADPH+H+が利用される.
○○○ 脂肪酸のβ酸化によって生じたアセチルCoAは, クエン酸回路に入って酸化され, 最終的に水と二酸化炭素になる.
○○○ 脳などで進行する脂肪酸のα-酸化では, カルボキシ末端から炭素原子が1個ずつ切断される.
○○○ 中鎖脂肪酸のω-酸化では, カルボキシ基から最も遠い炭素原子から酸化を受ける.
◎◎◎ 脂肪酸のβ酸化経路には, 中間代謝物と酸素分子が反応する過程はない.

C 脂質の代謝 c 不飽和脂肪酸の代謝

◎◎◎ 非必須脂肪酸のオレイン酸は, 体内でステアリン酸の不飽和化により生成する n-9 系一価不飽和脂肪酸である.
○○○ n-3 系不飽和脂肪酸や n-6 系不飽和脂肪酸は, 体内で飽和脂肪酸から合成されない.
◎◎◎ 摂取したα-リノレン酸 (n-3 系不飽和脂肪酸) から, 体内でエイコサペンタエン酸 (EPA) やドコサヘキサエン酸 (DHA) が合成される.
◎◎◎ 摂取したリノール酸 (n-6 系不飽和脂肪酸) から, 体内でγ-リノレン酸やアラキドン酸が合成される.

C 脂質の代謝 d エイコサノイドの代謝

◎○○ プロスタグランジン, トロンボキサン, ロイコトリエンを総称してエイコサノイドという.
◎◎◎ エイコサノイドは, アラキドン酸やEPAなど炭素数20の多価不飽和脂肪酸から誘導される.
○○○ アラキドン酸などから, リポキシゲナーゼによってロイコトリエン類が合成される.
○○○ アラキドン酸などから, シクロオキシゲナーゼによってプロスタグランジン類やトロンボキサン類が合成される.
◎○○ プロスタグランジンは, 子宮筋や血管などの平滑筋の収縮を引き起こす.
○○○ プロスタサイクリン (アラキドン酸から合成されるプロスタグランジンI2) には, 血小板凝集抑制効果がある.
○○○ トロンボキサンは, 血小板凝集と血管収縮を引き起こす.

C 脂質の代謝 e ケトン体の代謝

○○○ アセトン, アセト酢酸, 3-ヒドロキシ酪酸を, ケトン体という.
◎◎◎ ケトン体は肝臓のミトコンドリア内で生成し, 肝外組織でエネルギー源として利用される.
◎○○ グルコースの利用障害や脂肪酸の分解亢進によりケトン体の合成が亢進し, 血液pHが低下する.
○○○ ケトン体は肝外組織で利用されるほか, 尿中にも排泄される.

C 脂質の代謝 ※ リン脂質の代謝

○○○ ホスファチジルコリンの合成経路におけるコリン残基供与体は, CDP-コリンである.
○○○ ホスホリパーゼは, リン脂質を分解する酵素である.
○○○ コリン欠乏症やアルコール中毒症の際に, 脂肪肝がみられる.
○○○ スフィンゴシンは, パルミトイルCoAとセリンから生合成される.
○○○ ホスファチジン酸は, トリアシルグリセロール合成およびリン脂質合成の中間体である.

C 脂質の代謝 f コレステロールの代謝

◎○○ コレステロールは, 肝臓, 小腸, 皮膚などでアセチルCoAから合成される.
◎◎◎ コレステロール合成の律速酵素は, HMG-CoAをメバロン酸に変換するHMG-CoA還元酵素である.
○○○ コレステロール生合成は, コレステロール自身によってフィードバック調節を受けている.
○○○ 組織間のコレステロールの輸送は, 血漿リポたんぱく質が担っている.
◎◎○ コレステロールは胆汁酸およびステロイドホルモンの前駆物質であり, コレステロールのほとんどが胆汁酸になる.
◎◎◎ コレステロールは, 身体活動のためのエネルギー源にはならない.
◎○○ コレステロールは, 多くがエステル型で生体内に貯蔵されている.
◎○○ 体内に存在するコレステロールの大部分は体内で合成されたもので, 肝臓などで1日約 1 g が生合成される.

C 脂質の代謝 g 脂質の輸送とリポたんぱく質

◎○○ 脂質は疎水性なので, 脂質とアポたんぱく質 (アポリポたんぱく質) からなるリポたんぱく質として各組識へ血中輸送される.
◎◎◎ リポたんぱく質のコア部分は, トリアシルグリセロールやコレステロールエステルからなる.
◎◎◎ ホスファチジルコリンなどのリン脂質は, リポたんぱく質の構成成分となる.
○○○ リポたんぱく質の分類は, 密度によってなされている.
◎○○ キロミクロンは小腸吸収上皮細胞で合成され, 食事由来のトリアシルグリセロールを主に脂肪組織や筋肉, 心臓に運ぶ.
◎○○ VLDLは肝臓で合成され, 肝臓で合成されたトリアシルグリセロールを末梢組織に輸送する.
◎◎◎ インスリンは, リポたんぱく質リパーゼを活性化する.
◎○○ リポたんぱく質リパーゼは, キロミクロンやVLDL中のトリアシルグリセロールを加水分解する.
◎◎○ VLDLはリポたんぱく質リパーゼの作用によってLDLとなり, 肝臓で合成されたコレステロールを末梢組織に輸送する.
○○○ アポたんぱく質Bは, LDLの主な構成たんぱく質である.
○○○ 肝細胞は, LDLを取込むための受容体をそなえている.
◎◎◎ 肝臓のLDL受容体は, HMG-CoA還元酵素の阻害に伴って増加する.
◎◎◎ マクロファージのスカベンジャー受容体は, 酸化LDLを結合する.
◎◎◎ HDLの粒子径は, キロミクロンより小さい.
◎○○ HDLは, 種々の組織からコレステロールを肝臓へ輸送する.
○○○ 脂肪組織から動員された遊離脂肪酸は, アルブミンと結合して血液中を運ばれる.
○○○ コレステロールエステル転送たんぱく質 (CETP) は, HDLのコレステロールエステルとLDLのトリアシルグリセロールを交換する.

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次回は, 「4 アミノ酸・たんぱく質・糖質・脂質の代謝」 のうち, 「C 脂質の代謝」 の問題演習前半 (問題) です. 問題数が多い (16問) ので, 2回に分けて掲載します.

人体 27-24

2012年05月30日 | 日記
「4 アミノ酸・たんぱく質・糖質・脂質の代謝」 のうち, 「B 糖質の代謝」 の問題演習 (解答と解説) です.

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4 アミノ酸・たんぱく質・糖質・脂質の代謝 B 糖質の代謝 11問 解答と解説
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1=(4)
(1) 誤 解糖系は, 細胞質に存在する代謝経路である.
(2) 誤 解糖系は, 無酸素 (嫌気的) 条件ではグルコース1分子から最終産物として乳酸2分子を生成する.
(3) 誤 解糖系は, 有酸素 (好気的) 条件ではグルコース1分子から最終産物としてピルビン酸2分子を生成する.
(4) 正 ピルビン酸はミトコンドリア膜を通過し, ミトコンドリアマトリックスでアセチルCoAとなる.
(5) 誤 解糖系では, 基質レベルのリン酸化により2分子のATPが産生される.

2=(5)
(1) 誤 嫌気的条件下の解糖系では, 乳酸脱水素酵素とNADH+H+によりピルビン酸が還元されて, 乳酸が生成する.
(2) 誤 骨格筋のヘキソキナーゼや肝臓のグルコキナーゼは, 解糖系の酵素である.
(3) 誤 解糖系の第一段階は, ヘキソキナーゼやグルコキナーゼによるグルコースのリン酸化 (グルコース 6-リン酸の生成) である.
(4) 誤 解糖経路を構成する酵素によって触媒される反応は, 律速酵素が関与する3か所のみ不可逆的に進行する.
(5) 正 解糖系における高エネルギーリン酸化合物の生産には, 酸化還元反応が関与する.

3=(3)
(1) 誤 オキサロ酢酸とアセチルCoAは, ともにピルビン酸から生成する.
(2) 誤 解糖系においてATPを用いるリン酸化反応は, マグネシウムイオンを必要とする.
(3) 正 フルクトース, ガラクトースは, ともに解糖系に入り分解される.
(4) 誤 グリセロールは, グリセロール 3-リン酸を経て解糖過程に入る.
(5) 誤 グルコース 6-リン酸は, 解糖系, ペントースリン酸回路, 糖新生の中間体である.

4=(3)
(1) 誤 クエン酸回路の酵素は, ミトコンドリア内に存在する.
(2) 誤 解糖系やクエン酸回路には, 基質と酸素分子との反応過程はない.
(3) 正 クエン酸回路には, 基質レベルのリン酸化による高エネルギー化合物生成反応が存在する.
(4) 誤 α-ケトグルタル酸は, クエン酸回路を構成する中間体である.
(5) 誤 クエン酸回路は, グルコースの解糖や脂肪酸のβ酸化によるアセチルCoAのアセチル基を酸化 (代謝) する.

5=(2)
(1) 誤 アセチルCoAは, オキサロ酢酸と反応してクエン酸回路に入る.
(2) 正 ピルビン酸脱水素酵素は, ビタミンB1を補酵素とする.
(3) 誤 クエン酸回路には, クレアチンリン酸を産生する過程はない.
(4) 誤 クエン酸回路では, 脱水素反応によってNADH+H+とFADH2が生成する.
(5) 誤 アセチルCoAは, クエン酸回路および脂質合成中間体である.

6=(3)
(1) 誤 解糖系の側路であるペントースリン酸回路は, 細胞質に存在する.
(2) 誤 ペントースリン酸回路は, リボース 5-リン酸を生成する.
(3) 正 ペントースリン酸回路は, NADPH+H+を生成する.
(4) 誤 ペントースリン酸回路は, エネルギーを産生しない.
(5) 誤 ペントースリン酸回路は, 主にエネルギーを消費する心筋や骨格筋では機能していない.

7=(1)かつ(4)
(1) 正 ペントースリン酸回路で生成するリボース 5-リン酸は, 核酸の五炭糖部分になる.
(2) 誤 ペントースリン酸回路で生成するNADPH+H+は, 脂肪酸やコレステロールの合成に利用される.
(3) 誤 ペントースリン酸回路は, 肝臓, 脂肪組織, 副腎皮質, 赤血球などで機能している.
(4) 正 ウロン酸回路は, 細胞質に存在する.
(5) 誤 ウロン酸回路は, グルクロン酸抱合に用いられるUDP-グルクロン酸の生産に役立っている.

8=(2)かつ(5)
(1) 誤 グリコーゲンの合成には, エネルギー源としてUTPが用いられる.
(2) 正 グリコーゲン合成酵素の反応では, UDP-グルコースからグルコース残基が供給される.
(3) 誤 グリコーゲン合成において, UDP-グルコースはグリコーゲン鎖の非還元末端に α-1,4 結合する.
(4) 誤 グリコーゲン合成酵素は, グルカゴンやアドレナリンによって抑制される.
(5) 正 グリコーゲンの合成にあたっては, 分枝酵素によって特有の樹状構造を形成する.

9=(2)かつ(5)
(1) 誤 グルカゴンは, 肝臓のグリコーゲン分解を促進するが, 筋肉のグリコーゲン分解には関与しない.
(2) 正 肝臓には, グルコース-6-ホスファターゼが存在する.
(3) 誤 グリコーゲンホスホリラーゼは, グリコーゲンを加リン酸分解する.
(4) 誤 グリコーゲンホスホリラーゼによる反応生成物は, グルコース 1-リン酸である.
(5) 正 グリコーゲンホスホリラーゼは, リン酸化により活性化される.

10=(2)かつ(3)
(1) 誤 乳腺では, UDP-グルコースからUDP-ガラクトースが合成される.
(2) 正 乳腺におけるラクトースの生合成では, グルコースとUDP-ガラクトースが縮合してラクトースとなる.
(3) 正 乳酸, ピルビン酸, オキサロ酢酸, グリセロール, 糖原性アミノ酸などからグルコースが合成されることを, 糖新生という.
(4) 誤 糖新生の代謝経路には, ピルビン酸からオキサロ酢酸が産生される過程が含まれる.
(5) 誤 糖新生は, 細胞質で進行する.

11=(3)
(1) 誤 糖新生の酵素であるグルコース-6-ホスファターゼは, 肝臓には存在するが筋肉には存在しない.
(2) 誤 グルコース-6-ホスファターゼは, グルコース 6-リン酸を脱リン酸化してグルコースを生成する.
(3) 正 グルカゴンは, 糖新生を促進する.
(4) 誤 脂肪酸やそのβ酸化物であるアセチルCoAは, 糖新生の基質とはならない.
(5) 誤 オキサロ酢酸は, 糖新生およびクエン酸回路の中間体である.

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次回は, 「4 アミノ酸・たんぱく質・糖質・脂質の代謝」 のうち, 「C 脂質の代謝」 の正文集です.

人体 27-23

2012年05月29日 | 日記
「4 アミノ酸・たんぱく質・糖質・脂質の代謝」 のうち, 「B 糖質の代謝」 の問題演習 (問題) です.

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4 アミノ酸・たんぱく質・糖質・脂質の代謝 B 糖質の代謝 11問 問題
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1 解糖系に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 解糖系は, ミトコンドリア内膜に存在する代謝経路である.
(2) 解糖系は, 無酸素 (嫌気的) 条件ではグルコース1分子から最終産物としてピルビン酸2分子を生成する.
(3) 解糖系は, 有酸素 (好気的) 条件ではグルコース1分子から最終産物として乳酸2分子を生成する.
(4) ピルビン酸はミトコンドリア膜を通過し, ミトコンドリアマトリックスでアセチルCoAとなる.
(5) 解糖系では, 基質レベルのリン酸化により38分子のATPが産生される.

2 解糖系に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 嫌気的条件下の解糖系では, 乳酸脱水素酵素とNADPH+H+によりピルビン酸が還元されて, 乳酸が生成する.
(2) 骨格筋のグルコキナーゼや肝臓のヘキソキナーゼは, 解糖系の酵素である.
(3) 解糖系の第一段階は, グルコースとアセチルCoAの結合である.
(4) 解糖経路を構成する酵素によって触媒される反応は, すべて可逆的に進行する.
(5) 解糖系における高エネルギーリン酸化合物の生産には, 酸化還元反応が関与する.

3 解糖系に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) オキサロ酢酸とピルビン酸は, ともにアセチルCoAから生成する.
(2) 解糖系においてATPを用いるリン酸化反応は, ナトリウムイオンを必要とする.
(3) フルクトース, ガラクトースは, ともに解糖系に入り分解される.
(4) グリセロールは, グリセルアルデヒド 3-リン酸を経て解糖過程に入る.
(5) グルコースは, 解糖系, ペントースリン酸回路, 糖新生の中間体である.

4 クエン酸回路に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) クエン酸回路の酵素は, 細胞質に存在する.
(2) 解糖系やクエン酸回路には, 基質と酸素分子との反応過程がある.
(3) クエン酸回路には, 基質レベルのリン酸化による高エネルギー化合物生成反応が存在する.
(4) グルタミン酸は, クエン酸回路を構成する中間体である.
(5) クエン酸回路は, グルコース以外の化合物から生成したアセチルCoAのアセチル基を代謝できない.

5 クエン酸回路に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) アセチルCoAは, クエン酸と反応してクエン酸回路に入る.
(2) ピルビン酸脱水素酵素は, ビタミンB1を補酵素とする.
(3) クエン酸回路には, クレアチンリン酸を産生する過程がある.
(4) クエン酸回路では, 脱水素反応によってNAD+とFADが生成する.
(5) ピルビン酸は, クエン酸回路および脂質合成中間体である.

6 ペントースリン酸回路に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) ペントースリン酸回路は, 小胞体に存在する.
(2) ペントースリン酸回路は, デオキシリボースを生成する.
(3) ペントースリン酸回路は, NADPH+H+を生成する.
(4) ペントースリン酸回路は, グリコーゲン合成のためのエネルギーを供給する.
(5) ペントースリン酸回路は, 心筋や骨格筋で機能している.

7 ペントースリン酸回路とウロン酸回路に関する記述である. 正しいのはどれか. 2つ選べ.
(1) ペントースリン酸回路で生成するリボース 5-リン酸は, 核酸の五炭糖部分になる.
(2) ペントースリン酸回路で生成するNADPH+H+は, 脂肪酸やコレステロールの分解に利用される.
(3) ペントースリン酸回路は, 脂肪組織では機能していない.
(4) ウロン酸回路は, 細胞質に存在する.
(5) ウロン酸回路は, グリコーゲン合成に用いられるUDP-グルコースの生産に役立っている.

8 グリコーゲンの合成に関する記述である. 正しいのはどれか. 2つ選べ.
(1) グリコーゲンの合成には, エネルギー源としてATPが用いられる.
(2) グリコーゲン合成酵素の反応では, UDP-グルコースからグルコース残基が供給される.
(3) グリコーゲン合成において, UDP-グルコースはグリコーゲン鎖の還元末端に α-1,4 結合する.
(4) グリコーゲン合成酵素は, グルカゴンやアドレナリンによって活性化される.
(5) グリコーゲンの合成にあたっては, 分枝酵素によって特有の樹状構造を形成する.

9 グリコーゲンの分解に関する記述である. 正しいのはどれか. 2つ選べ.
(1) グルカゴンは, 肝臓および筋肉のグリコーゲン分解を促進する.
(2) 肝臓には, グルコース-6-ホスファターゼが存在する.
(3) グリコーゲンホスホリラーゼは, グリコーゲンを加水分解する.
(4) グリコーゲンホスホリラーゼによる反応生成物は, グルコースである.
(5) グリコーゲンホスホリラーゼは, リン酸化により活性化される.

10 乳糖の合成と糖新生に関する記述である. 正しいのはどれか. 2つ選べ.
(1) 乳腺では, グルコースからガラクトースが合成される.
(2) 乳腺におけるラクトースの生合成では, グルコースとUDP-ガラクトースが縮合してラクトースとなる.
(3) 乳酸, ピルビン酸, オキサロ酢酸, グリセロール, 糖原性アミノ酸などからグルコースが合成されることを, 糖新生という.
(4) 糖新生の代謝経路には, オキサロ酢酸からピルビン酸が産生される過程が含まれる.
(5) 糖新生は, ミトコンドリアマトリックスで進行する.

11 糖新生に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) グルコース-6-ホスファターゼは, 肝臓と筋肉に存在する.
(2) グルコース-6-ホスファターゼは, グルコースをリン酸化してグルコース 6-リン酸を生成する.
(3) グルカゴンは, 糖新生を促進する.
(4) アセチルCoAは, 糖新生の基質となる.
(5) クエン酸は, 糖新生およびクエン酸回路の中間体である.

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次回は, 「4 アミノ酸・たんぱく質・糖質・脂質の代謝」 のうち, 「B 糖質の代謝」 の問題演習 (解答と解説) です.

人体 27-22

2012年05月28日 | 日記
「4 アミノ酸・たんぱく質・糖質・脂質の代謝」 のうち, 「B 糖質の代謝」 の正文集です.

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4 アミノ酸・たんぱく質・糖質・脂質の代謝 B 糖質の代謝 正文集
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B 糖質の代謝 a 解糖

◎◎◎ 解糖系は, 細胞質に存在する代謝経路である.
◎◎◎ 解糖系は, 無酸素 (嫌気的) 条件ではグルコース1分子から乳酸2分子を生成する.
○○○ 解糖系は, 有酸素 (好気的) 条件ではグルコース1分子からピルビン酸2分子を生成する.
○○○ 解糖系では, 基質レベルのリン酸化により2分子のATPが産生される.
◎◎◎ 嫌気的条件下では, 乳酸脱水素酵素とNADHによりピルビン酸が還元されて, 乳酸が生成する.
◎◎◎ 骨格筋のヘキソキナーゼや肝臓のグルコキナーゼは, 解糖系の酵素である.
◎○○ 解糖系の第一段階は, ヘキソキナーゼやグルコキナーゼによるグルコースのリン酸化 (グルコース 6-リン酸の生成) である.
○○○ 解糖経路を構成する酵素によって触媒される反応は, 律速酵素が関与する3か所のみ不可逆的に進行する.
○○○ 解糖系における高エネルギーリン酸化合物の生産には, 酸化還元反応が関与する.
○○○ オキサロ酢酸とアセチルCoAは, ともにピルビン酸から生成する.
○○○ 解糖系においてATPを用いるリン酸化反応は, マグネシウムイオンを必要とする.
○○○ フルクトース, ガラクトースは, ともに解糖系に入り分解される.
○○○ グリセロールは, グリセロール 3-リン酸を経て解糖過程に入る.
○○○ グルコース 6-リン酸は, 解糖系, ペントースリン酸回路, 糖新生の中間体である.

B 糖質の代謝 b クエン酸回路

○○○ クエン酸回路の酵素はミトコンドリア内に存在する.
◎◎○ 解糖系やクエン酸回路には, 基質と酸素分子との反応過程はない.
◎○○ クエン酸回路には, 基質レベルのリン酸化による高エネルギー化合物生成反応が存在する.
○○○ ピルビン酸は, ミトコンドリアマトリックスでアセチルCoAになる.
○○○ α-ケトグルタル酸, コハク酸は, いずれもクエン酸回路を構成する中間体である.
○○○ クエン酸回路は, グルコースの解糖や脂肪酸のβ酸化によるアセチルCoAのアセチル基を酸化 (代謝) する.
○○○ アセチルCoAは, オキサロ酢酸と反応してクエン酸回路に入る.
◎◎◎ ピルビン酸脱水素酵素は, ビタミンB1を補酵素とする.
○○○ クエン酸回路には, クレアチンリン酸を産生する過程はない.
○○○ クエン酸回路では, 脱水素反応によってNADH+H+とFADH2が生成する.
◎○○ アセチルCoAは, クエン酸回路および脂質合成中間体である.

B 糖質の代謝 c ペントースリン酸回路

◎◎◎ 解糖系の側路であるペントースリン酸回路は, 細胞質に存在する.
◎◎◎ ペントースリン酸回路は, リボース 5-リン酸およびNADPH+H+を生成する.
○○○ ペントースリン酸回路で生成するリボース 5-リン酸は, 核酸の五炭糖部分になる.
◎○○ ペントースリン酸回路で生成するNADPH+H+は, 脂肪酸やコレステロールの合成に利用される.
◎◎◎ ペントースリン酸回路では, ATPは生じない.
○○○ ペントースリン酸回路は, 主にエネルギーを消費する心筋や骨格筋では機能していない.
○○○ ペントースリン酸回路は, 肝臓, 脂肪組織, 副腎皮質, 赤血球などで機能している.
◎○○ ウロン酸回路は, グルクロン酸抱合に用いられるUDP-グルクロン酸の生産に役立っている.

B 糖質の代謝 d グリコーゲンの合成・分解

◎○○ グリコーゲンの合成にはエネルギー源としてUTPが用いられ, UDP-グルコースからグルコース残基が供給される.
○○○ グリコーゲン合成において, UDP-グルコースはグリコーゲン鎖の非還元末端に α-1,4 結合する.
○○○ グリコーゲン合成酵素は, グルカゴンやアドレナリンによって抑制される.
○○○ グリコーゲンの合成にあたっては, 分枝酵素によって特有の樹状構造を形成する.
◎◎◎ グルカゴンは, 肝臓のグリコーゲン分解を促進するが, 筋肉のグリコーゲン分解には関与しない.
◎◎◎ 肝臓には, グルコース-6-ホスファターゼが存在する.
◎◎◎ グリコーゲンホスホリラーゼは, グリコーゲンを加リン酸分解してグルコース 1-リン酸を生成する.
○○○ グリコーゲンホスホリラーゼは, リン酸化により活性化される.
○○○ グリコーゲンの分岐部の分解には, 脱分枝酵素が関与する.

B 糖質の代謝 ※ 乳糖の合成

○○○ 乳腺では, UDPグルコースからUDPガラクトースが合成される.
○○○ 乳腺におけるラクトースの生合成では, グルコースとUDPガラクトースが縮合してラクトースとなる.

B 糖質の代謝 e 糖新生

○○○ 乳酸, ピルビン酸, オキサロ酢酸, グリセロール, 糖原性アミノ酸などからグルコースが合成されることを, 糖新生という.
○○○ 糖新生は, 細胞質で進行する.
◎○○ 糖新生の酵素であるグルコース-6-ホスファターゼは, 肝臓でグルコース 6-リン酸を脱リン酸化してグルコースを生成する.
◎◎◎ グルカゴンは, 糖新生を促進する.
◎◎◎ 脂肪酸やそのβ酸化物であるアセチルCoAは, 糖新生の基質とはならない.
○○○ オキサロ酢酸は, 糖新生およびクエン酸回路の中間体である.

B 糖質の代謝 f 血糖の調節

◎◎◎ 肝臓では, グルコース 6-リン酸がグルコースに変換される.
◎○○ 骨格筋にはグルコース-6-ホスファターゼが存在しないので, 骨格筋のグリコーゲンからは血糖は供給されない.

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次回は, 「4 アミノ酸・たんぱく質・糖質・脂質の代謝」 のうち, 「B 糖質の代謝」 の問題演習 (問題) です.

人体 27-21

2012年05月27日 | 日記
「4 アミノ酸・たんぱく質・糖質・脂質の代謝」 のうち, 「A アミノ酸・たんぱく質の代謝」 の問題演習 (解答と解説) です.

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4 アミノ酸・たんぱく質・糖質・脂質の代謝 A アミノ酸・たんぱく質の代謝 10問 解答と解説
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1=(2)かつ(5)
(1) 誤 アミノ基転移反応は, 細胞内でアミノトランスフェラーゼによって触媒される可逆反応である.
(2) 正 アミノ酸はアミノ基転移によりα-ケト酸となり, さらに代謝される.
(3) 誤 プロリンおよびヒドロキシプロリンは, アミノ基転移反応を受けない.
(4) 誤 アミノ基転移反応は, ビタミンB6の補酵素型であるピリドキサールリン酸を必要とする.
(5) 正 アミノ基転移反応により, グルタミン酸はα-ケトグルタル酸となる.

2=(3)
(1) 誤 アミノ基転移反応により, アスパラギン酸はオキサロ酢酸となる.
(2) 誤 アミノ基転移反応により, アラニンはピルビン酸となる.
(3) 正 アミノ基転移反応により, グリシンは酢酸となる.
(4) 誤 必須アミノ酸の炭素骨格は, 脂質や糖質の中間代謝産物から合成できない.
(5) 誤 筋肉では, 分岐鎖アミノ酸はアミノ基転移反応でアラニンとなり, 利用される.

3=(3)かつ(5)
(1) 誤 アミノ酸の炭素骨格は, 脂肪や糖質に合成される.
(2) 誤 アミノ酸の炭素骨格は, エネルギー源として利用された後, 最終的に二酸化炭素と水に代謝される.
(3) 正 ケト原性アミノ酸 (ロイシンとリジン) は, アセチルCoAやケトン体となる.
(4) 誤 ケト原性アミノ酸のみの性質をもつロイシンは, グルコースには転換されない.
(5) 正 糖原性アミノ酸 (アラニンなど) は, 体内で糖新生の基質となる.

4=(3)かつ(5)
(1) 誤 アミノ基転移反応で遊離したアミノ基はグルタミン酸の形で肝臓に運ばれ, 尿素となる.
(2) 誤 グルタミン酸から脱アミノ反応により遊離したアンモニアは, カルバモイルリン酸を生成する.
(3) 正 尿素は主として肝臓内でアンモニアから尿素回路によって合成され, 血液によって腎臓に運ばれる.
(4) 誤 アミノ酸に含まれる窒素を尿素として処理するには, 尿素1モルの合成に3モルのATPが必要である.
(5) 正 オルニチンはカルバモイルリン酸と結合してシトルリンとなり, 尿素合成に向う.

5=(3)
(1) 誤 アルギニノコハク酸は, フマル酸を離脱してアルギニンになる.
(2) 誤 アルギニンは, 尿素を離脱してオルニチンになる.
(3) 正 尿素回路で合成される尿素の2つのアミノ基は, アンモニアとアスパラギン酸に由来する.
(4) 誤 アルギニンは尿素回路の中間体であるとともに, たんぱく質の構成アミノ酸でもある.
(5) 誤 オルニチンとシトルリンは尿素回路の中間体であるが, たんぱく質の構成アミノ酸としては用いられない.

6=(2)かつ(5)
(1) 誤 アルギニンから, 一酸化窒素 (NO) が生合成される.
(2) 正 フェニルアラニンから, メラニンが生合成される.
(3) 誤 フェニルアラニンから, ドーパミンが生合成される.
(4) 誤 フェニルアラニンから, ノルアドレナリンが生合成される.
(5) 正 フェニルアラニンから, アドレナリンが生合成される.

7=(3)
(1) 誤 フェニルアラニンは必須アミノ酸であり, 体内には前駆体は存在しない.
(2) 誤 チロシンから, チロキシン (甲状腺ホルモン) が生合成される.
(3) 正 トリプトファンからナイアシンを経てNADが生合成される.
(4) 誤 トリプトファンから, セロトニンやメラトニンが生合成される.
(5) 誤 グルタミン酸から, γ-アミノ酪酸 (GABA) が生合成される.

8=(1)
(1) 正 アミノ酸 (ヒスチジン) の脱炭酸反応により, アミン (ヒスタミン) が生成する.
(2) 誤 アルギニンとグリシンから, クレアチンが生合成される.
(3) 誤 グリシンとスクシニルCoAから, ヘモグロビンが生合成される.
(4) 誤 尿酸の前駆体のアミノ酸は, グリシン, グルタミン, アスパラギン酸である.
(5) 誤 グルタミン酸, システイン, グリシンから, グルタチオンが生合成される.

9=(1)かつ(4)
(1) 正 ホモシステインは, 葉酸およびビタミンB12によるメチル基転移反応でメチル基を受け取り, メチオニンとなる.
(2) 誤 ホモシステインは, ビタミンB6の作用でシステインとなる.
(3) 誤 メチオニンは, メチル基の供与体としてさまざまな化合物の合成に役立っている.
(4) 正 高ホモシステイン血症では, ホモシステインの尿中排泄が増加する.
(5) 誤 高ホモシステイン血症は, 動脈硬化性疾患の危険因子である.

10=(3)
(1) 誤 オートファジー (autophagy) は, たんぱく質を分解する作用のことである.
(2) 誤 プロテアソームは, ユビキチン化されたたんぱく質を分解する酵素の複合体である.
(3) 正 ユビキチン-プロテアソーム系によるたんぱく質の加水分解は, ATPを必要とする.
(4) 誤 一般的なプロテアーゼによるたんぱく質の分解は, ATP要求やATP産生を伴わない.
(5) 誤 すべてのたんぱく質は, それぞれに固有の半減期で分解される.

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次回は, 「4 アミノ酸・たんぱく質・糖質・脂質の代謝」 のうち, 「B 糖質の代謝」 の正文集です.