「4 アミノ酸・たんぱく質・糖質・脂質の代謝」 のうち, 「C 脂質の代謝」 の正文集です.
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4 アミノ酸・たんぱく質・糖質・脂質の代謝 C 脂質の代謝 正文集
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C 脂質の代謝 a トリグリセリド・脂肪酸の生合成
◎◎◎ 脂肪酸の生合成は, 細胞質で行われる.
◎○○ 脂肪酸合成の最初の反応は, アセチルCoAへの炭酸付加によるマロニルCoAの生成である.
◎○○ 脂肪酸は, 糖質やケト原性アミノ酸から, β酸化経路とは全く異なる経路で合成される.
○○○ 脂肪酸の合成には, 還元剤としてNADPHが利用される.
○○○ 細胞質の脂肪酸合成系で合成されたパルミチン酸は, 滑面小胞体で鎖長延長反応によりステアリン酸となる.
○○○ ステアリン酸からオレイン酸への不飽和化反応は, 肝臓の小胞体で行われる.
○○○ ステアリン酸からオレイン酸への不飽和化反応には, 不飽和化酵素, O2, NADPH+H+が関与する.
C 脂質の代謝 b トリグリセリド・脂肪酸の分解
◎◎◎ 体脂肪は, 酸素と直接反応せずにエネルギーを産生する.
◎○○ アシルCoAは, アシルカルニチンとしてミトコンドリア内膜を通過する.
◎◎◎ 脂肪酸のβ酸化は, ミトコンドリアマトリックスで好気的に行われる.
○○○ 脂肪酸のβ酸化では, カルボキシ基側から炭素原子が2個ずつアセチルCoAとして離脱する.
○○○ 不飽和脂肪酸のβ酸化では, 還元剤としてNADPH+H+が利用される.
○○○ 脂肪酸のβ酸化によって生じたアセチルCoAは, クエン酸回路に入って酸化され, 最終的に水と二酸化炭素になる.
○○○ 脳などで進行する脂肪酸のα-酸化では, カルボキシ末端から炭素原子が1個ずつ切断される.
○○○ 中鎖脂肪酸のω-酸化では, カルボキシ基から最も遠い炭素原子から酸化を受ける.
◎◎◎ 脂肪酸のβ酸化経路には, 中間代謝物と酸素分子が反応する過程はない.
C 脂質の代謝 c 不飽和脂肪酸の代謝
◎◎◎ 非必須脂肪酸のオレイン酸は, 体内でステアリン酸の不飽和化により生成する n-9 系一価不飽和脂肪酸である.
○○○ n-3 系不飽和脂肪酸や n-6 系不飽和脂肪酸は, 体内で飽和脂肪酸から合成されない.
◎◎◎ 摂取したα-リノレン酸 (n-3 系不飽和脂肪酸) から, 体内でエイコサペンタエン酸 (EPA) やドコサヘキサエン酸 (DHA) が合成される.
◎◎◎ 摂取したリノール酸 (n-6 系不飽和脂肪酸) から, 体内でγ-リノレン酸やアラキドン酸が合成される.
C 脂質の代謝 d エイコサノイドの代謝
◎○○ プロスタグランジン, トロンボキサン, ロイコトリエンを総称してエイコサノイドという.
◎◎◎ エイコサノイドは, アラキドン酸やEPAなど炭素数20の多価不飽和脂肪酸から誘導される.
○○○ アラキドン酸などから, リポキシゲナーゼによってロイコトリエン類が合成される.
○○○ アラキドン酸などから, シクロオキシゲナーゼによってプロスタグランジン類やトロンボキサン類が合成される.
◎○○ プロスタグランジンは, 子宮筋や血管などの平滑筋の収縮を引き起こす.
○○○ プロスタサイクリン (アラキドン酸から合成されるプロスタグランジンI2) には, 血小板凝集抑制効果がある.
○○○ トロンボキサンは, 血小板凝集と血管収縮を引き起こす.
C 脂質の代謝 e ケトン体の代謝
○○○ アセトン, アセト酢酸, 3-ヒドロキシ酪酸を, ケトン体という.
◎◎◎ ケトン体は肝臓のミトコンドリア内で生成し, 肝外組織でエネルギー源として利用される.
◎○○ グルコースの利用障害や脂肪酸の分解亢進によりケトン体の合成が亢進し, 血液pHが低下する.
○○○ ケトン体は肝外組織で利用されるほか, 尿中にも排泄される.
C 脂質の代謝 ※ リン脂質の代謝
○○○ ホスファチジルコリンの合成経路におけるコリン残基供与体は, CDP-コリンである.
○○○ ホスホリパーゼは, リン脂質を分解する酵素である.
○○○ コリン欠乏症やアルコール中毒症の際に, 脂肪肝がみられる.
○○○ スフィンゴシンは, パルミトイルCoAとセリンから生合成される.
○○○ ホスファチジン酸は, トリアシルグリセロール合成およびリン脂質合成の中間体である.
C 脂質の代謝 f コレステロールの代謝
◎○○ コレステロールは, 肝臓, 小腸, 皮膚などでアセチルCoAから合成される.
◎◎◎ コレステロール合成の律速酵素は, HMG-CoAをメバロン酸に変換するHMG-CoA還元酵素である.
○○○ コレステロール生合成は, コレステロール自身によってフィードバック調節を受けている.
○○○ 組織間のコレステロールの輸送は, 血漿リポたんぱく質が担っている.
◎◎○ コレステロールは胆汁酸およびステロイドホルモンの前駆物質であり, コレステロールのほとんどが胆汁酸になる.
◎◎◎ コレステロールは, 身体活動のためのエネルギー源にはならない.
◎○○ コレステロールは, 多くがエステル型で生体内に貯蔵されている.
◎○○ 体内に存在するコレステロールの大部分は体内で合成されたもので, 肝臓などで1日約 1 g が生合成される.
C 脂質の代謝 g 脂質の輸送とリポたんぱく質
◎○○ 脂質は疎水性なので, 脂質とアポたんぱく質 (アポリポたんぱく質) からなるリポたんぱく質として各組識へ血中輸送される.
◎◎◎ リポたんぱく質のコア部分は, トリアシルグリセロールやコレステロールエステルからなる.
◎◎◎ ホスファチジルコリンなどのリン脂質は, リポたんぱく質の構成成分となる.
○○○ リポたんぱく質の分類は, 密度によってなされている.
◎○○ キロミクロンは小腸吸収上皮細胞で合成され, 食事由来のトリアシルグリセロールを主に脂肪組織や筋肉, 心臓に運ぶ.
◎○○ VLDLは肝臓で合成され, 肝臓で合成されたトリアシルグリセロールを末梢組織に輸送する.
◎◎◎ インスリンは, リポたんぱく質リパーゼを活性化する.
◎○○ リポたんぱく質リパーゼは, キロミクロンやVLDL中のトリアシルグリセロールを加水分解する.
◎◎○ VLDLはリポたんぱく質リパーゼの作用によってLDLとなり, 肝臓で合成されたコレステロールを末梢組織に輸送する.
○○○ アポたんぱく質Bは, LDLの主な構成たんぱく質である.
○○○ 肝細胞は, LDLを取込むための受容体をそなえている.
◎◎◎ 肝臓のLDL受容体は, HMG-CoA還元酵素の阻害に伴って増加する.
◎◎◎ マクロファージのスカベンジャー受容体は, 酸化LDLを結合する.
◎◎◎ HDLの粒子径は, キロミクロンより小さい.
◎○○ HDLは, 種々の組織からコレステロールを肝臓へ輸送する.
○○○ 脂肪組織から動員された遊離脂肪酸は, アルブミンと結合して血液中を運ばれる.
○○○ コレステロールエステル転送たんぱく質 (CETP) は, HDLのコレステロールエステルとLDLのトリアシルグリセロールを交換する.
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次回は, 「4 アミノ酸・たんぱく質・糖質・脂質の代謝」 のうち, 「C 脂質の代謝」 の問題演習前半 (問題) です. 問題数が多い (16問) ので, 2回に分けて掲載します.
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4 アミノ酸・たんぱく質・糖質・脂質の代謝 C 脂質の代謝 正文集
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C 脂質の代謝 a トリグリセリド・脂肪酸の生合成
◎◎◎ 脂肪酸の生合成は, 細胞質で行われる.
◎○○ 脂肪酸合成の最初の反応は, アセチルCoAへの炭酸付加によるマロニルCoAの生成である.
◎○○ 脂肪酸は, 糖質やケト原性アミノ酸から, β酸化経路とは全く異なる経路で合成される.
○○○ 脂肪酸の合成には, 還元剤としてNADPHが利用される.
○○○ 細胞質の脂肪酸合成系で合成されたパルミチン酸は, 滑面小胞体で鎖長延長反応によりステアリン酸となる.
○○○ ステアリン酸からオレイン酸への不飽和化反応は, 肝臓の小胞体で行われる.
○○○ ステアリン酸からオレイン酸への不飽和化反応には, 不飽和化酵素, O2, NADPH+H+が関与する.
C 脂質の代謝 b トリグリセリド・脂肪酸の分解
◎◎◎ 体脂肪は, 酸素と直接反応せずにエネルギーを産生する.
◎○○ アシルCoAは, アシルカルニチンとしてミトコンドリア内膜を通過する.
◎◎◎ 脂肪酸のβ酸化は, ミトコンドリアマトリックスで好気的に行われる.
○○○ 脂肪酸のβ酸化では, カルボキシ基側から炭素原子が2個ずつアセチルCoAとして離脱する.
○○○ 不飽和脂肪酸のβ酸化では, 還元剤としてNADPH+H+が利用される.
○○○ 脂肪酸のβ酸化によって生じたアセチルCoAは, クエン酸回路に入って酸化され, 最終的に水と二酸化炭素になる.
○○○ 脳などで進行する脂肪酸のα-酸化では, カルボキシ末端から炭素原子が1個ずつ切断される.
○○○ 中鎖脂肪酸のω-酸化では, カルボキシ基から最も遠い炭素原子から酸化を受ける.
◎◎◎ 脂肪酸のβ酸化経路には, 中間代謝物と酸素分子が反応する過程はない.
C 脂質の代謝 c 不飽和脂肪酸の代謝
◎◎◎ 非必須脂肪酸のオレイン酸は, 体内でステアリン酸の不飽和化により生成する n-9 系一価不飽和脂肪酸である.
○○○ n-3 系不飽和脂肪酸や n-6 系不飽和脂肪酸は, 体内で飽和脂肪酸から合成されない.
◎◎◎ 摂取したα-リノレン酸 (n-3 系不飽和脂肪酸) から, 体内でエイコサペンタエン酸 (EPA) やドコサヘキサエン酸 (DHA) が合成される.
◎◎◎ 摂取したリノール酸 (n-6 系不飽和脂肪酸) から, 体内でγ-リノレン酸やアラキドン酸が合成される.
C 脂質の代謝 d エイコサノイドの代謝
◎○○ プロスタグランジン, トロンボキサン, ロイコトリエンを総称してエイコサノイドという.
◎◎◎ エイコサノイドは, アラキドン酸やEPAなど炭素数20の多価不飽和脂肪酸から誘導される.
○○○ アラキドン酸などから, リポキシゲナーゼによってロイコトリエン類が合成される.
○○○ アラキドン酸などから, シクロオキシゲナーゼによってプロスタグランジン類やトロンボキサン類が合成される.
◎○○ プロスタグランジンは, 子宮筋や血管などの平滑筋の収縮を引き起こす.
○○○ プロスタサイクリン (アラキドン酸から合成されるプロスタグランジンI2) には, 血小板凝集抑制効果がある.
○○○ トロンボキサンは, 血小板凝集と血管収縮を引き起こす.
C 脂質の代謝 e ケトン体の代謝
○○○ アセトン, アセト酢酸, 3-ヒドロキシ酪酸を, ケトン体という.
◎◎◎ ケトン体は肝臓のミトコンドリア内で生成し, 肝外組織でエネルギー源として利用される.
◎○○ グルコースの利用障害や脂肪酸の分解亢進によりケトン体の合成が亢進し, 血液pHが低下する.
○○○ ケトン体は肝外組織で利用されるほか, 尿中にも排泄される.
C 脂質の代謝 ※ リン脂質の代謝
○○○ ホスファチジルコリンの合成経路におけるコリン残基供与体は, CDP-コリンである.
○○○ ホスホリパーゼは, リン脂質を分解する酵素である.
○○○ コリン欠乏症やアルコール中毒症の際に, 脂肪肝がみられる.
○○○ スフィンゴシンは, パルミトイルCoAとセリンから生合成される.
○○○ ホスファチジン酸は, トリアシルグリセロール合成およびリン脂質合成の中間体である.
C 脂質の代謝 f コレステロールの代謝
◎○○ コレステロールは, 肝臓, 小腸, 皮膚などでアセチルCoAから合成される.
◎◎◎ コレステロール合成の律速酵素は, HMG-CoAをメバロン酸に変換するHMG-CoA還元酵素である.
○○○ コレステロール生合成は, コレステロール自身によってフィードバック調節を受けている.
○○○ 組織間のコレステロールの輸送は, 血漿リポたんぱく質が担っている.
◎◎○ コレステロールは胆汁酸およびステロイドホルモンの前駆物質であり, コレステロールのほとんどが胆汁酸になる.
◎◎◎ コレステロールは, 身体活動のためのエネルギー源にはならない.
◎○○ コレステロールは, 多くがエステル型で生体内に貯蔵されている.
◎○○ 体内に存在するコレステロールの大部分は体内で合成されたもので, 肝臓などで1日約 1 g が生合成される.
C 脂質の代謝 g 脂質の輸送とリポたんぱく質
◎○○ 脂質は疎水性なので, 脂質とアポたんぱく質 (アポリポたんぱく質) からなるリポたんぱく質として各組識へ血中輸送される.
◎◎◎ リポたんぱく質のコア部分は, トリアシルグリセロールやコレステロールエステルからなる.
◎◎◎ ホスファチジルコリンなどのリン脂質は, リポたんぱく質の構成成分となる.
○○○ リポたんぱく質の分類は, 密度によってなされている.
◎○○ キロミクロンは小腸吸収上皮細胞で合成され, 食事由来のトリアシルグリセロールを主に脂肪組織や筋肉, 心臓に運ぶ.
◎○○ VLDLは肝臓で合成され, 肝臓で合成されたトリアシルグリセロールを末梢組織に輸送する.
◎◎◎ インスリンは, リポたんぱく質リパーゼを活性化する.
◎○○ リポたんぱく質リパーゼは, キロミクロンやVLDL中のトリアシルグリセロールを加水分解する.
◎◎○ VLDLはリポたんぱく質リパーゼの作用によってLDLとなり, 肝臓で合成されたコレステロールを末梢組織に輸送する.
○○○ アポたんぱく質Bは, LDLの主な構成たんぱく質である.
○○○ 肝細胞は, LDLを取込むための受容体をそなえている.
◎◎◎ 肝臓のLDL受容体は, HMG-CoA還元酵素の阻害に伴って増加する.
◎◎◎ マクロファージのスカベンジャー受容体は, 酸化LDLを結合する.
◎◎◎ HDLの粒子径は, キロミクロンより小さい.
◎○○ HDLは, 種々の組織からコレステロールを肝臓へ輸送する.
○○○ 脂肪組織から動員された遊離脂肪酸は, アルブミンと結合して血液中を運ばれる.
○○○ コレステロールエステル転送たんぱく質 (CETP) は, HDLのコレステロールエステルとLDLのトリアシルグリセロールを交換する.
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次回は, 「4 アミノ酸・たんぱく質・糖質・脂質の代謝」 のうち, 「C 脂質の代謝」 の問題演習前半 (問題) です. 問題数が多い (16問) ので, 2回に分けて掲載します.