管理栄養士国試のための基礎栄養学と生化学

管理栄養士国家試験のための基礎栄養学や生化学について, 勉強していきましょう.

26回解説の訂正 その2

2012年03月24日 | 日記
人体の問24の(5)にも, ミスがありました.

次のように訂正します.

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24=(4)

(5)誤
競合阻害では, 活性部位をめぐって阻害剤と基質の競合が起こるので, 阻害剤と基質には常に活性部位と結合する機会は少なくなる (=酵素と基質の親和性が低下する=ミカエリス定数 (Km) が増加する) が, 残されている. 一方で, 非競合阻害では, いったん阻害剤が活性部位以外の部位に結合してしまうと活性部位の立体構造が変化してしまい, 基質は活性部位と結合する機会を失ってしまう (最大速度 (Vmax) が低下する).

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26回解説の訂正

2012年03月24日 | 日記
人体の問25の(4), おもいっきりミスでした.

次のように訂正します.

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25=(5)

(4)誤
プロテインはたんぱく質, キナーゼはリン酸化酵素. したがって, プロテインキナーゼはたんぱく質リン酸化酵素である.

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26回 「人体」 30問と 「基礎栄養学」 14問の解説

2012年03月23日 | 日記
人体の30問全部の解説を作っていたら, 遅くなってしまいました.

では, 第26回 管理栄養士国家試験の 「人体の構造と機能および疾病の成り立ち」 (21~50) と 「基礎栄養学」 (76~89) の解説, イッキに載せます!

27回受験生のみなさん, ブログを眺めているだけではアタマに入りませんよ!

ワードにコピペして (あるいはプリントアウトして), 意味不明なところを教科書等で調べ, 自分なりの 「国試対策ノート」 を作り始めてください.

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≪人体の構造と機能および疾病の成り立ち≫
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21=(4)

(1)誤
リソソームは内部に糖質, 脂質, たんぱく質などを加水分解する酵素を持ち, リソソーム内に取り込まれた生体高分子を加水分解する. ATPの合成が行われるのは, ミトコンドリア内膜である.

(2)誤
細胞膜は 「水系」 の体液を仕切る 「油系」 の膜である. したがって, 膜の両側は 「水系」 の体液であり, 細胞膜を構成するリン脂質は, 親水性部分を外に向け, 疎水性部分が向き合って二重層をつくる.

(3)誤
ゴルジ体では, 分泌たんぱく質などの糖鎖修飾, リボソームたんぱく質のプロセシング, 分泌顆粒の生成・細胞外への分泌などが行われる. 遺伝情報の転写は, 核で行われる.

(4)正
滑面小胞体では, 脂質の代謝 (パルミチン酸からステアリン酸への鎖長延長, ステアリン酸からオレイン酸への不飽和化など) が行われる.

(5)誤
細胞膜に存在するナトリウムポンプ (Na+/K+-ATPase) によって細胞内から細胞外へNa+が汲み出され, 細胞外から細胞内にK+が取り込まれているので, 細胞内液のNa+濃度は, 細胞外液より低くなっている.
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22=(5)

(1)誤
核内では, 八量体を形成している塩基性たんぱく質であるヒストンにDNAが巻きついた構造をクロマチンといい, さらにクロマチンが折りたたまれて染色体となっている. したがって, クロマチンにはたんぱく質が含まれる.

(2)誤
細胞内のRNAで量が最も少ないのは, 伝令RNA (mRNA) である. DNAのなかで遺伝情報をもつ部分, すなわち遺伝子はDNAを構成する塩基対の 1~数% といわれ, そこから転写されてできるのが, 伝令RNA (mRNA) である. 一方で, DNAのなかで遺伝情報をもたない部分から転写されてできるRNAをノンコーディングRNAといい, 細胞内のRNAの多くを占める. ノンコーディングRNAのなかでも量的に多いのが, 転移RNA (tRNA) やリボソームRNA (rRNA) である.

(3)誤
DNAリガーゼは, DNA断片を結合させるための 「接着剤」 として機能する. DNA中の特定塩基配列を切断するのは, 制限酵素である.

(4)誤
DNAと伝令RNA (mRNA) の塩基対形成を, DNAの変性とは呼ばない. DNAの二重らせん構造など核酸の二次構造は塩基間の水素結合により形成されており, この水素結合が熱などによって破壊されることを変性という. DNAでは, 変性により二重らせんが2本の一本鎖に分離する. なお, 熱によるDNAの変性は温度を下げることにより復元させることができ, 再結合 (アニーリング) と呼ばれる. ポリメラーゼ連鎖反応 (PCR) 法において, サーマルリアクター (サーマルサイクラー) のなかで起きている反応である.

(5)正
ポリメラーゼ連鎖反応 (PCR) 法は, 微量のDNA断片を複製して増やす方法である. DNAの複製に用いられるのは, RNAポリメラーゼではなくDNAポリメラーゼである.
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23=(5)

(1)誤
NADH+H+やFADH2から電子伝達系に渡されたH+はミトコンドリア内膜と外膜の間に蓄積し, 濃度勾配を形成する. 通常は膜間に蓄積したH+が複合体5 (ATP合成酵素) を通過してミトコンドリアマトリックスに移動する際のエネルギーを利用してATPが合成されるが, 褐色脂肪組織などに存在する脱共役たんぱく質 (UCP) はH+が複合体5を通過することなくミトコンドリアマトリックスに移動させ, その際のエネルギーを熱として放出させる. したがって, 脱共役たんぱく質 (UCP) は, 酸化的リン酸化を抑制する.

(2)誤
Na+,K+-ATPaseは, 細胞内から細胞外へNa+を汲み出し, 細胞外から細胞内にK+を取り込む.

(3)誤
クエン酸回路では, アコニターゼの反応およびフマラーゼの反応の2か所で 「摂取した水分子」 が取り込まれる. この摂取した水分子の酸素原子を追跡すると, アコニターゼの反応で取り込まれた水分子の酸素原子はα-ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼの反応で放出された二酸化炭素に含まれ, またフマラーゼの反応で取り込まれた水分子の酸素原子は, イソクエン酸デヒドロゲナーゼの反応で放出された二酸化炭素に含まれることが示される. よって, 摂取した水分子の酸素原子は, 呼気中の二酸化炭素分子に含まれる.

(4)誤
身体活動のためのエネルギー源は化学エネルギー (ATP) であり, 代謝過程で生じた熱は利用することができない.

(5)正
脂肪酸のβ酸化経路には, 中間代謝物と酸素分子が反応する過程はない. 中間代謝物と酸素分子が反応する過程は, ミトコンドリア内膜における電子伝達系などに存在する.
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24=(4)

(1)誤
補欠分子族を含まない酵素をアポ酵素といい, 酵素活性も示さない. 逆に, 補欠分子族を含む酵素をホロ酵素といい, 酵素活性を示すようになる.

(2)誤
律速酵素は, 代謝経路で最も遅い反応を触媒する.

(3)誤
アイソザイムとは, 異なるmRNAから翻訳され, 化学構造もミカエリス定数 (Km) も異なるが, 同じ基質特異性をもつ酵素群のことである. 異なるmRNAから翻訳されるのだから, 異なるアミノ酸配列をもつ.

(4)正
化学反応の活性化エネルギーは, 酵素によって低下する.

(5)誤
競合阻害では, 活性部位をめぐって阻害剤と基質の競合が起こるので, 阻害剤と基質には常に活性部位と結合する機会は少なくなる (ミカエリス定数 (Km) が低下する) が残されている. 一方で, 非競合阻害では, いったん阻害剤が活性部位以外の部位に結合してしまうと活性部位の立体構造が変化してしまい, 基質は活性部位と結合する機会を失ってしまう (最大速度 (Vmax) が低下する).
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25=(5)

(1)誤
オートファジー (autophagy) は, たんぱく質を分解する作用である. オートファジーは細胞内でたんぱく質を分解する機構の1つであり, リソソーム酵素であるカテプシンなどが関与している.

(2)誤
アラニンは, アラニンアミノトランスフェラーゼ (ALT) の作用でピルビン酸になる.

(3)誤
アスパラギン酸は, 脱アミノ後の炭素骨格が糖新生の基質となるオキサロ酢酸であるので, 糖原性アミノ酸である.

(4)誤
プロテインはたんぱく質, キナーゼはリン酸化酵素. したがって, プロテインキナーゼはたんぱく質分解酵素である.

(5)正
尿素回路を構成する酵素のなかには腎臓に存在するものもあるが, 尿素回路として完結している回路は, 肝臓に存在する.
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26=(2)

(1)誤
ヘキソキナーゼは筋肉細胞内などでグルコースをリン酸化してグルコース 6-リン酸を生成させる酵素であり, 解糖系の律速酵素である.

(2)正
グリコーゲンは, グリコーゲンホスホリラーゼによってグルコース 1-リン酸となり, 次にホスホグルコムターゼによってグルコース 1-リン酸となり, 最後にグルコース-6-ホスファターゼによって脱リン酸化されてグルコースとなる. 肝臓にはグルコース-6-ホスファターゼが存在するが, 筋肉には存在しないので, 筋肉に蓄えられたグリコーゲンはグルコースとして血糖調節に関与することができない.

(3)誤
グリコーゲンがグリコーゲンホスホリラーゼによって加リン酸分解されると, グルコース 1-リン酸が生成する.

(4)誤
ペントースリン酸回路は, グルコース 6-リン酸のところで解糖系から分かれ, 生成物であるフルクトース 6-リン酸やグリセルアルデヒド 3-リン酸は再び解糖系に合流する. すなわち, ペントースリン酸回路は解糖系の側路である.

(5)誤
低血糖などにより膵臓のA細胞から内分泌されるグルカゴンは, 肝臓のグリコーゲン分解を促進し, 血糖値上昇に働く.
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27=(5)

(1)誤
リポたんぱく質のなかでキロミクロンは最も大きい粒子 (直径約 180~500 nm) であり, 一方HDLはリポたんぱく質のなかで最も小さい粒子 (直径約 9 nm) である.

(2)誤
肝臓のLDL受容体は, HMG-CoA還元酵素の阻害に伴って増加する. HMG-CoA還元酵素の阻害によってコレステロール合成が阻害され, 細胞内コレステロールが不足してくると, 細胞外からコレステロールを取り込もうとして, LDL受容体が増加する.

(3)誤
リポたんぱく質リパーゼは筋肉組織や脂肪組織を流れる毛細血管の壁に存在する酵素で, キロミクロンに含まれている食事性トリアシルグリセロールを分解し, 生成する脂肪酸を筋肉組織や脂肪組織に取り込ませる働きをしている. リポたんぱく質リパーゼは, キロミクロンのアポたんぱく質であるアポC-Ⅱや, 食後に血糖値の上昇によって分泌されるインスリンによって活性化される.

(4)誤
リポたんぱく質のコア部分には疎水性のトリアシルグリセロールやコレステロールエステルが存在し, 表層部には, 親水性部分をもつリン脂質が単層膜として存在し, アポたんぱく質が点在する.

(5)正
酸化LDLはLDL受容体に結合できなくなり, マクロファージ表面のスカベンジャー受容体に認識されて結合し, 取り込まれる.
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28=(4)

(1)誤
動脈血の pH の基準範囲は 7.35~7.45 であり, 動脈血pH 7.1 はアシドーシスである.

(2)誤
肺静脈血の酸素飽和度は 100% であるが, 動脈血が末梢に流れるのにつれて徐々に低下し, 指先などでは 95~97% となる. 48% は, 明らかに低値である.

(3)誤
空腹時血糖値の基準範囲は 70~110 mg/dL であり, 96 g/Lは健常成人の血液検査値として数値は妥当であるが単位が不適切である.

(4)正
血漿の浸透圧の基準範囲は 275~290 mOsm/L であり, 284 mOsm/L は健常成人の血液検査値として妥当である.

(5)誤
血漿総たんぱく質値の基準範囲は 6.3~7.8 g/dL であり, 4.3 g/L は健常成人の血液検査値として数値, 単位ともに適正ではない.
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29=(2)

(1)誤
p53 は, 大腸がん, 胃がん, 肝細胞がん, 肺がんなど多くのがんについて抑制的に作用するがん抑制遺伝子の1つである.

(2)正
がん細胞が腹膜にばらまかれる進展様式を播種という. リンパの漏出から胸水や腹水がみられるようになる.

(3)誤
A型肝炎ウイルスによる感染は急性型のみであるが劇症化する可能性がある. 肝細胞がん発症と密接な関係があるのは, C型肝炎ウイルスである.

(4)誤
原発性肺がんの大部分は, 扁平上皮がんである.

(5)誤
腸上皮化生は, 胃がんの前がん状態である.
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30=(5)

(1)誤
浮腫は, 血漿膠質浸透圧の低下により生じる.

(2)誤
タール便は, 胃や十二指腸など, 消化管上部における出血でみられる. 直腸における出血でみられるのは, 鮮血便である.

(3)誤
仮面高血圧とは, 普段忙しい人やストレスに敏感な人などが病院の待合室でリラックスし, その結果診察室で測る血圧が普段の血圧より低くなる病態のことをいう. 「正常血圧という仮面をつけた高血圧」 である.

(4)誤
JCS (Japan Coma Scale) は, comaすなわち昏睡 (意識障害) の指標である.

(5)正
COPDなどでは, 呼吸を楽にするために座位をとる状態すなわち起坐呼吸でやっと眠れる場合がある.
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31=(4)

(1)誤
イレウス (腸閉塞) では絶飲食とし, 静脈栄養補給とする. 経腸栄養法は禁忌である.

(2)誤
生体肝移植に健康保険が適用される疾患には先天性胆道閉鎖症, 肝硬変, 劇症肝炎, 肝細胞癌などがあるが, 非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH) は該当しない. NASHの治療では, 食生活の改善と運動療法が基本となる.

(3)誤
血液透析は, 糖尿病腎症第5期に行う. 糖尿病腎症第3期Aは不顕性腎症前期である.

(4)正
LDLアフェレーシスは, 家族性高コレステロール血症で薬物治療が思わしくない場合や動脈硬化性疾患がある場合に行う.

(5)誤
白血球 (顆粒球) 除去療法は, 潰瘍性大腸炎に行う. 顆粒球が増えてくると, 増えた顆粒球が腸の粘膜下で活性化して活性酸素を放出し, 活性酸素が組織を破壊するという悪循環となる.
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32=(2)

(1)誤
神経管閉鎖障害は, ビタミンEの欠乏症ではなく葉酸の欠乏症である.

(2)正
ビタミンKの欠乏により, 新生児の血液凝固障害 (新生児メレナ) が起こる.

(3)誤
角膜乾燥症 (ドライアイ) にはさまざまな原因が考えられ, ビタミンAの欠乏も原因の1つである.

(4)誤
葉酸ではなくビタミンB12の欠乏による巨赤芽球性貧血を, 悪性貧血という. 欠乏しているビタミンB12を経口投与しても治らないので, 「悪性」 と呼ばれた.

(5)誤
ペラグラは, ナイアシンの欠乏症である.
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33=(3)

(1)誤
フェニルケトン尿症ではフェニルアラニン水酸化酵素が先天的に欠損しているため, 血中にフェニルアラニンやフェニルピルビン酸が異常に蓄積する.

(2)誤
ホモシスチン尿症では, 血中のホモシスチンやメチオニンが増加し, シスチンが減少する.

(3)正
メープルシロップ尿症では, 血中の分岐鎖アミノ酸が増加する.

(4)誤
ウィルソン病では, 血中のセルロプラスミンが減少する. ウィルソン病は, 血清銅の低値, 血清セルロプラスミン値の低値, 尿中への銅の排泄量の増多, カイザー-フライシャー角膜輪の存在, 肝組織での銅含有量の増多によって診断される.

(5)誤
糖原病1型では, 肝臓にグリコーゲンが蓄積する.
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34=(1)

(1)誤
誤嚥の検査は, 喉頭ファイバースコープ下で検査食を用いて行う嚥下内視鏡検査などで行われる. DEXA法 (二重エネルギーX線吸収測定法) は, 2種類のエネルギーレベルのX線の透過率の差を利用して骨量を測定する方法である.

(2)正
高齢者には, 不顕性誤嚥がみられる.

(3)正
嚥下物の喉頭侵入では, 異常音 (ゴロゴロ音) が聴こえる.

(4)正
経鼻胃管挿入状態は, 誤嚥性肺炎のリスクになる.

(5)正
誤嚥性肺炎の防止には, 口腔ケアが有用である.
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35=(4)

(1)誤
非代償期肝硬変患者では, 血小板数は減少する.

(2)誤
血清γグロブリン画分にある免疫グロブリンはBリンパ球が分化した形質細胞から産生されるので, 非代償期肝硬変患者では増加する.

(3)誤
非代償期肝硬変患者では, 肝臓でのビリルビン代謝が障害され, 血清総ビリルビンが高値となって黄疸を呈する.

(4)正
血液凝固因子を産生しているのは肝臓であり, 非代償期肝硬変で肝臓の機能が著しく低下した場合には, 血液凝固因子の欠乏によってプロトロンビン時間が延長する。

(5)誤
非代償期肝硬変患者では, 血清乳酸脱水素酵素 (LDまたはLDH) は高値となる.
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36=(1)

(1)正
血圧の上昇により圧受容体が刺激されると, 血圧を下げようとして心拍数は低下する.

(2)誤
動脈血圧は, 心拍出量と末梢血管抵抗の積であらわされる (動脈血圧=心拍出量×末梢血管抵抗).

(3)誤
血液粘性が高いと, 血管を流れる際の抵抗が大きくなり, 血圧は上昇する.

(4)誤
副交感神経刺激では, 心拍出量は減少する. 心拍出量が増加するのは, 交感神経刺激時である.

(5)誤
心臓への流入血液量が増えると, 心収縮力は増加する.
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37=(5)

(1)誤
クッシング症候群では, グルココルチコイドの過剰分泌により内分泌性高血圧となる.

(2)誤
慢性糸球体腎炎では, 腎実質性高血圧となる.

(3)誤
褐色細胞腫では, カテコールアミンの過剰分泌により内分泌性高血圧となる.

(4)誤
原発性アルドステロン症では, アルドステロンの過剰分泌により内分泌性高血圧となる.

(5)正
大動脈の硬化により左心室から血液を押し出す際の抵抗が大きくなり, 収縮期高血圧となる.
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38=(1)

(1)正
健常成人の腎血漿流量は, 500~700 mL/分である.

(2)誤
健常成人の糸球体濾過量 (GFR) は, 90~130 mL/分/1.73 m2 である.

(3)誤
健常成人の尿量は, 約 1,000~1,500 mL/日である.

(4)誤
健常成人の尿比重は, 1.015~1.025 に調節されている.

(5)誤
健常成人の尿のpHは, 5.0~8.0 の範囲に調節されている.
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39=(4)

(1)誤
アドレナリンが骨芽細胞における破骨細胞誘導因子の発現を促進して骨吸収を促進させるという説もあるが, 現時点ではアドレナリンが骨吸収あるいは骨形成を明白に調節しているという根拠は少ない.

(2)誤
エストロゲンは, 骨吸収を抑制するホルモンである.

(3)誤
カルシトニンは, 骨形成を促進するホルモンである.

(4)正
副甲状腺ホルモン (PTH) は, 骨吸収を促進するホルモンである.

(5)誤
プロゲステロンは, 骨形成を促進するホルモンである.
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40=(5)

(1)誤
原発性アルドステロン症では, アルドステロンの過剰分泌により低カリウム血症が起こる.

(2)誤
ヨウ素欠乏は, 甲状腺機能低下症の原因となる.

(3)誤
バソプレッシンの分泌低下で起こる尿崩症では, 著しい水分喪失により高ナトリウム血症が見られる.

(4)誤
循環血液量の減少はレニンの分泌を引き起こし, レニン-アンギオテンシン-アルドステロン系が作動して, アルドステロンの分泌が促進される.

(5)正
新生児の甲状腺機能低下症 (クレチン症) では, 生育に必要な甲状腺ホルモンが欠如することにより, 発育障害や知的障害にいたる場合がある.
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41=(3)

(1)誤
脳は, グリコーゲンを貯蔵しない. グリコーゲンを貯蔵するのは, 肝臓と骨格筋である.

(2)誤
たんぱく質は, 分子量が大きいなどの理由から, 血液脳関門を通過できない.

(3)正
脳は通常はグルコースのみをエネルギー源としているので, 脳で生成するATPのほとんどがグルコースに由来する.

(4)誤
脳の重さは体重の約 2% であるが, 安静時において全身で使われるグルコースの約 25% を使用する.

(5)誤
脳のエネルギー消費量は, 体が1日に消費するエネルギー量の約 18% である. 体が1日に消費するエネルギー量を 2,000 kcal とすると, 脳が1日に消費するエネルギー量は, 2,000 kcal × 0.18 = 360 kcal となる.
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42=(1)

(1)正
大気中の窒素分圧 (78%) は大気中の酸素分圧 (18%) よりも高く, この関係は肺胞内でも維持されているので, 肺胞内の窒素分圧は肺胞内の酸素分圧よりも高い.

(2)誤
動脈血中の酸素はほとんどがヘモグロビンに結合しているので, 大動脈血の血漿中に溶解している酸素の量は大動脈血のヘモグロビンに結合している酸素の量よりも少ない.

(3)誤
末梢細胞で生じた二酸化炭素の多くは赤血球内の炭酸脱水酵素によって重炭酸イオン (HCO3-) となって運ばれるので, 大動脈血に炭酸 (H2CO3) の形で存在している二酸化炭素の量は大動脈血に重炭酸イオン (HCO3-) の形で存在している二酸化炭素の量よりも少ない.

(4)誤
肺動脈を流れる血液は肺でガス交換されて肺静脈に流れ込むので, 肺静脈血の二酸化炭素分圧は肺動脈血の二酸化炭素分圧よりも低くなる.

(5)誤
門脈は腸から吸収した水溶性物質を肝臓に運ぶ機能血管で, 肝動脈は肝臓に栄養素等と酸素を運ぶ栄養血管である. したがって, 門脈血の酸素分圧は肝動脈血の酸素分圧よりも低い.
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43=(5)

(1)誤
慢性閉塞性肺疾患 (COPD) は主に喫煙によって起こる不可逆性の疾患である. 喫煙率などの理由により, 女性よりも男性に多い.

(2)誤
慢性閉塞性肺疾患 (COPD) の1つである慢性気管支炎の定義は, 「慢性, 反復性に痰を伴う咳が少なくとも3か月以上毎日続く状態が2年以上連続し, 他の心肺疾患や耳鼻咽喉科的疾患によらないこと」 である.

(3)誤
慢性閉塞性肺疾患 (COPD) では, 気道の閉塞により1秒率が低下する.

(4)誤
慢性閉塞性肺疾患 (COPD) 等の呼吸器疾患は呼吸や咳のために多くのエネルギーを消費する代謝亢進疾患であり, 除脂肪体重 (LBM) は減少する.

(5)正
インフルエンザワクチンの接種は, 増悪によるCOPD死亡率を 50% 低下させることが報告されている.
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44=(3)と(5)

(1)誤
グルココルチコイドは骨形成を低下させ, 骨吸収を促進させるため, クッシング症候群では骨折のリスクが高くなる.

(2)誤
閉経後骨粗鬆症では, 骨形成が低下し, 骨吸収が亢進する.

(3)正
慢性腎不全ではビタミンDが活性化されなくなり, カルシウムの吸収が低下して骨粗鬆症の原因となる.

(4)誤
低体重では膝関節にかかる負担が小さくなり, 変形性膝関節症のリスクが低くなる.

(5)正
小児期のビタミンD欠乏では, カルシウム吸収不全による骨形成不全のため, くる病が起こる.
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45=(5)

(1)誤
ライディヒ細胞は, テストステロンを分泌する.

(2)誤
セルトリ細胞は, 精子形成細胞を保持・保護する.

(3)誤
卵胞刺激ホルモン (FSH) は, セルトリ細胞を刺激して精子形成に関与する.

(4)誤
子宮筋腫はエストロゲン依存性であり, 発症率は閉経後に減少する.

(5)正
子宮内膜症はエストロゲン依存性であり, 薬物治療としてエストロゲン分泌を抑制するゴナドトロピン放出ホルモンアゴニストが処方される.
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46=(2)と(4)

ビタミンK依存性凝固因子は, 第Ⅱ因子, 第Ⅶ因子, 第Ⅸ因子, 第Ⅹ因子である.
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47=(2)

(1)誤
鉄欠乏性貧血時には鉄が欠乏している一方でトランスフェリンの産生が増加し, 不飽和 (未結合) のトランスフェリンと結合しうる鉄量 (不飽和鉄結合能, UIBC) が高値となる.

(2)正
溶血性貧血では, 放出されたヘモグロビンがハプトグロビンと結合するため, ハプトグロビンが低下する.

(3)誤
再生不良性貧血とは, 骨髄中の造血幹細胞が減少することによって骨髄の造血能力が低下し, 赤血球を含む末梢血中の全ての系統の血球が減少した病態のことである. 葉酸低値では, 巨赤芽球性貧血を起こす.

(4)誤
ビタミンB12が欠乏すると核酸合成が障害され, 赤血球系幹細胞の分裂が低下して巨赤芽球性貧血を起こす.

(5)誤
腎臓からのエリスロポエチン分泌が低下すると, 赤血球の産生が低下し, 腎性貧血を起こす.
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48=(1)

スギ花粉症のアレルギーは, IgEが関与する1型である.
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49=(2)

(1)誤
全身性エリテマトーデスは, 日光, 特に紫外線が当たることで新たに発症したり, 落ち着いていた症状が憎悪したりすることがあるので, 日光浴は避けなければならない.

(2)正
強皮症では, 食道に病変がおよぶと食道蠕動の低下や嚥下障害が起こる.

(3)誤
甲状腺機能低下症である橋本病では, 発汗作用が低下して, 皮膚が乾燥する.

(4)誤
シェーグレン症候群は主として中年女性に好発する涙腺と唾液腺を標的とする臓器特異的自己免疫疾患で, 唾液分泌が低下する.

(5)誤
関節リウマチは, 20~50歳代の女性に多い.
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50=(2)

(1)誤
ヒトパピローマウイルスは, 子宮頸がんなどを引き起こす.

(2)正
マイコプラズマは, マイコプラズマ肺炎などを引き起こす.

(3)誤
ヘリコバクター・ピロリは, 胃潰瘍や胃がんなどを引き起こす.

(4)誤
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) は, 院内感染などにより皮膚軟部組織感染症, 肺炎, 敗血症, 関節炎, 骨髄炎, 胃腸炎, 毒素性ショック症候群などを引き起こす. 成人T細胞白血病は, 成人T細胞白血病ウイルス (HTLV1) によって引き起こされる.

(5)誤
A群β溶血性連鎖球菌は, 扁桃腺炎や咽頭炎などの上気道感染症を引き起こす.
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≪基礎栄養学≫
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76=(4)
(1)誤
倹約 (節約) 遺伝子は, 効率よくエネルギーを利用し, 無駄なエネルギーを消費させないようにする仮説の遺伝子である.

(2)誤
2型糖尿病は, 複数の遺伝素因をもとに環境要因が作用することによって発症する.

(3)誤
ヒト遺伝子の塩基配列には個人差があり, これを遺伝子の多型という.

(4)正
肥満の遺伝形質をもつ人でも, 食生活や運動など生活習慣要因を個人の努力で改善することにより, 肥満の予防は可能である.

(5)誤
遺伝子の一塩基多型 (SNP) は先天的なものであり, 出生後の食生活の影響によって生じるものではない.
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77=(2)

(1)誤
空腹時には脂肪組織のホルモン感受性リパーゼが活性化され, 脂肪組織のトリアシルグリセロールが分解されて遊離脂肪酸が血中に放出されるため, 血中の遊離脂肪酸が増加する.

(2)正
生体リズムは主に明暗の周期によって形成されるが, 消化酵素の分泌などのリズムは摂食行動によって影響される.

(3)誤
味は, 甘味, 酸味, 苦味, 塩味, 旨味の5つを基本味とする. 辛味は, 味覚ではなく痛覚である

(4)誤
食欲の中枢 (摂食中枢) は, 視床下部に存在する. 視床下部外側野を破壊すると動物は餌を摂らなくなり, 刺激すると食後でも餌を摂る現象が確認されることから, 視床下部外側野は摂食中枢と呼ばれる.

(5)誤
脂肪組織から分泌されるレプチンは, 視床下部の満腹中枢を刺激して摂食を抑制するとともに, 交感神経を介してエネルギー消費を増加させる.
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78=(1)と(5)

(1)正
唾液分泌は, 咀しゃくによって増加する.

(2)誤
胃におけるたんぱく質の消化酵素は, ペプシンである.

(3)誤
胆汁は, 消化酵素を含まない.

(4)誤
フルクトースは, GLUT5を介した促進拡散によって吸収される.

(5)正
非ヘム鉄の吸収は, ビタミンCなど共存する食品成分の影響を受ける.
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79=(4)

(1)誤
たんぱく質の摂取量が多くなると, アミノ酸の代謝に関与するビタミンB6の必要量が増大する.

(2)誤
健常成人は体たんぱく質の合成と分解が釣り合った状態, すなわち窒素平衡の状態になっており, たんぱく質の摂取量が多くなっても尿中窒素排泄が増加するだけで, 窒素出納は負にも正にも傾かない.

(3)誤
糖質の摂取量が多いと, 摂取したたんぱく質は無駄なく体たんぱく質合成に利用され, 利用が低下することはない.

(4)正
食品たんぱく質の生物価は, 吸収された窒素の体内への保留割合を示す.

(5)誤
食品たんぱく質の栄養価は, 含まれる不可欠アミノ酸 (必須アミノ酸) の量とバランスで決まる.
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80=(5)

(1)誤
ミトコンドリアをもたない赤血球にはクエン酸回路は存在しないが, 脳にはもちろんクエン酸回路が存在する.

(2)誤
脳や赤血球などグルコースのみをエネルギー源とする組織へグルコースを供給するため, 空腹時でも血糖値は一定の値に維持されている. 脳は, グルコースであれば由来の如何に関わらず利用する.

(3)誤
筋肉グリコーゲンは嫌気的条件下でも代謝に利用され, 乳酸を生じる. この乳酸は血液を介して肝臓に運ばれ, 糖新生によってグルコースとなり, 筋肉に運ばれる.

(4)誤
筋肉にはグルコース 6-リン酸を脱リン酸化するグルコース-6-ホスファターゼがないので, 筋肉グリコーゲンはグルコースとなって血中に放出されることはない.

(5)正
血中の乳酸は, 肝臓の糖新生経路でグルコースに変換される.
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81=(4)

(1)誤
単位重量あたりのグリコーゲン貯蔵量は筋肉より肝臓のほうが多いが, 組織重量では筋肉の方が大きいため, グリコーゲンの貯蔵総量は, 肝臓より筋肉に多い.

(2)誤
筋肉は, 糖新生を行わない. 糖新生は, 肝臓で行われる.

(3)誤
肝臓のグルコース利用は, 血糖値の影響を受ける. 肝臓のグルコキナーゼは筋肉のヘキソキナーゼよりもミカエリス定数 (Km) が大きく, 食後に血糖値が上昇したときにグルコースをグリコーゲン合成へと誘導する.

(4)正
赤血球では, グルコースから乳酸が生成する. 赤血球にはクエン酸回路や電子伝達系が存在しないため, 解糖系のグリセルアルデヒド 3-リン酸デヒドロゲナーゼの反応によって生じたNADH+H+をNAD+に戻す過程でピルビン酸から乳酸が生成する.

(5)誤
脂肪組織では脂肪酸合成やトリアシルグリセロール合成が行われており, これらを合成する際の還元剤としてNADPH+H+を必要とする. したがって, 脂肪組織には, NADPH+H+を供給するためのペントースリン酸回路が存在する.
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82=(2)

(1)誤
ケトン体は肝臓で合成されるが, 肝臓はケトン体をエネルギー源として利用することができない.

(2)正
飢餓時や運動時などにホルモン感受性リパーゼによって血中に放出された遊離脂肪酸は, アルブミンに結合して運搬される.

(3)誤
食後, 血糖値の上昇によって分泌されるインスリンは, 空腹時に脂肪酸を遊離させるホルモン感受性リパーゼの働きを抑制する.

(4)誤
体内にはコレステロールのステロイド骨格を分解する酵素が存在しないので, コレステロールはエネルギー源として利用されず, ほとんどが胆汁酸に代謝される.

(5)誤
LDLを構成する脂質の約 10% がトリアシルグリセロールである.
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83=(5)

(1)誤
n-6 系の多価不飽和脂肪酸であるアラキドン酸は, 同じくn-6 系の多価不飽和脂肪酸であるγ-リノレン酸から生成する.

(2)誤
オレイン酸はヒト細胞内の滑面小胞体でステアリン酸の不飽和化反応によって生成するので, 非必須脂肪酸である.

(3)誤
ドコサヘキサエン酸は, 炭素数22, 二重結合数6の n-3 系多価不飽和脂肪酸である.

(4)誤
リノール酸は, ヒト体内では飽和脂肪酸から生成されないので, 必須脂肪酸となっている.

(5)正
炭素数20の多価不飽和脂肪酸から合成されるエイコサノイドであるプロスタグランジンI2やプロスタグランジンI3 は, 血小板凝集を阻害する.
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84=(3)

(1)誤
食後, 脳ではグルコースの利用が増加する. 脳でのケトン体の利用が増加するのは, 空腹時や飢餓時である.

(2)誤
食後, 筋肉ではインスリンの作用によりグルコースの取り込みが増加する.

(3)正
食後, 肝臓では脂肪酸合成が増加する.

(4)誤
食後, 肝臓ではクエン酸回路に十分量のオキサロ酢酸が供給されるため, ケトン体合成は低下する.

(5)誤
食後, 脂肪組織を流れる毛細血管の壁ではリポたんぱく質リパーゼが活性化されるため, キロミクロンからの脂肪酸の取り込みが増加する.
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85=(5)

(1)誤
ビタミンB6は, アミノ酸代謝の補酵素として働く.

(2)誤
ビタミンDは, 肝臓で 25-OH-ビタミンDとなった後, 腎臓に運ばれて活性型の 1α,25-(OH)2-ビタミンDに変換される.

(3)誤
ビタミンB1が欠乏すると, ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体が活性化されず, ピルビン酸が乳酸に変換されてしまうため, 血中の乳酸が増加する.

(4)誤
ビオチンには, 抗酸化作用はない. 抗酸化作用をもつビタミンやプロビタミンは, β-カロテン, ビタミンC, ビタミンEなどである.

(5)正
ビタミンCが欠乏するとコラーゲン合成が抑制され, 出血傾向 (壊血病) がみられる.
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86=(2)

(1)誤
副甲状腺ホルモン (PTH) は血中カルシウムを増加させるホルモンで, 骨吸収や活性型ビタミンDの生成を促進する.

(2)正
活性型ビタミンDは核内受容体に結合し, 転写調節因子として作用する. その結果, 小腸上皮細胞ではカルシウム結合たんぱく質 (カルビンディン) が誘導される.

(3)誤
ビタミンEの欠乏では, 溶血性貧血が起こる.

(4)誤
ビタミンAの過剰では, 頭蓋内圧が亢進する.

(5)誤
ビタミンKの欠乏では, 血液が凝固しにくくなる.
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87=(1)

(1)正
リンは, 核酸 (ポリヌクレオチド=ポリ(塩基+五炭糖+リン酸)) の構成成分である.

(2)誤
血中カルシウム値が上昇すると, 上昇したカルシウムを骨形成に利用させるため, カルシトニン分泌が亢進する.

(3)誤
鉄の体内貯蔵量は, 血清フェリチン値に反映される.

(4)誤
亜鉛の吸収は, フィチン酸で抑制される.

(5)誤
ヨウ素は, 甲状腺ホルモン (T3, T4) の構成成分である.
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88=(4)

(1)誤
通常の発汗でみられる水分欠乏型脱水すなわち高張性脱水では, 細胞外液を希釈しようとして細胞内液量が減少する.

(2)誤
不可避尿量は体内で生じた老廃物を排出するために必要な最小限の尿量 (約 500 mL) であり, 摂取する水分量によって変わることはない.

(3)誤
1日の水分必要量 (約 2,400 mL) は, 不感蒸泄量 (約 800 mL) よりも多い.

(4)正
たんぱく質が代謝されると, たんぱく質 1 g あたり 0.433 g の代謝水を生じる.

(5)誤
不感蒸泄量 (肺や皮膚から蒸発する水の量) は, 外気温が上昇すると増加する.
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89=(3)

(1)誤
基礎代謝量は, 除脂肪体重 (LBM) に比例する.

(2)誤
基礎代謝量は, 男性では15~17歳で, 女性では12~14歳で最大となる.

(3)正
基礎代謝量は, 甲状腺機能の亢進により増加する.

(4)誤
非たんぱく質呼吸商は糖質と脂質の燃焼によって排出された二酸化炭素の量と消費された酸素の量の比であり, 呼吸商が脂質よりも大きい糖質の燃焼割合が高いほど大きくなる.

(5)誤
安静時のエネルギー消費量は, 発熱により増加 (13%/℃) する.
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これから, 上記の解説をもとに, いつものように 「正文集」 をつくり, さらに, 正文集をもとに 「模擬問題」, 「実戦問題」 を作ることになります. 毎日の授業の合間に少しずつ進めていくことになるので, 時間がかかります.

一応, 5月の連休明けを目標に作業を進めていきますので, それまで, 更新のお休みをいただきたいと思います.

よろしくお願いします.

コメントへの回答

2012年03月21日 | 日記
次のコメントをいただきました.

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正文集でこの2つがのっていました。
○○○ 単糖類の炭素数は, 最大7個である.
○○◎ アルドースはアルデヒド基をもち, ケトースはケトン基をもつ

けれど、別の問題で誤りとなっていましたが、
どちらがあっているのでしょうか?

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正文集の
○○○ 単糖類の炭素数は, 最大7個である.
○○◎ アルドースはアルデヒド基をもち, ケトースはケトン基をもつ.
のほうが正しいです.

「別の問題で誤りとなっている」 のが誤りです.

もしもこのブログ内の解説等に疑問な点がありましたら, 日付やタイトルを
お知らせください.

今後の掲載時に修正しなければなりませんので.

よろしくお願いします.

基礎栄養学 26-78

2012年03月15日 | 日記
いよいよあと2日を残すのみとなりました.

「基礎栄養学 実戦問題F」 の最後, 第9回の問題ならびに解答と解説です.

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基礎栄養学 実戦問題F 第9回 問題 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

1 栄養学の歴史に関する記述である. 正しいのはどれか.
(1) ラボアジェは, 呼吸が燃焼と同じ現象であることを見出した.
(2) ローズは, 必須脂肪酸を発見した.
(3) 高峯譲吉は航海中の食事改善で脚気を激減させ, ビタミンB1発見の糸口をつけた.
(4) 江戸時代のわが国で流行した 「江戸患い」 とは, 今日の壊血病のことである.
(5) 高木兼寛は, アドレナリンの抽出と結晶化に貢献した.

2 遺伝形質と栄養の相互作用に関する記述である. 正しいのはどれか.
(1) 日本人は, 欧米人に比べてアルデヒド脱水素酵素2型の活性型が多い.
(2) 肥満と関連する遺伝子の多型は, 次の世代に遺伝しない.
(3) 生活習慣病の発症には, 遺伝素因は関与しない.
(4) 個人の遺伝子多型は, 食生活によって変化する.
(5) 遺伝子一塩基多型の中には, 表現型に影響を与えないものがある.

3 消化器系の構造と機能に関する記述である. 正しいのはどれか.
(1) 食道は, 咽頭に続いて胃の幽門にいたる臓器である.
(2) 塩酸を分泌する壁細胞には, ノルアドレナリン受容体が存在する.
(3) 大腸粘膜には, 小腸粘膜と同様に絨毛が存在している.
(4) 小腸で吸収した遊離の短鎖脂肪酸や中鎖脂肪酸は, リンパ管に入る.
(5) 肝臓は, 血液量の調節, 血圧の調節, 抗貧血因子の合成, 鉄の貯蔵などを行っている.

4 消化管ホルモンに関する記述である. 正しいのはどれか.
(1) ガストリンは, 膵臓の外分泌腺から分泌されるポリペプチドである.
(2) セクレチンは, 十二指腸のI壁細胞から分泌される.
(3) セクレチンは, 膵液 (消化酵素) の分泌を促進する.
(4) コレスシストキニンは, 膵液中への炭酸水素イオン (HCO3-) の分泌を促進する.
(5) ソマトスタチンは, インスリン, グルカゴン, ガストリン, セクレチン, 胃抑制ペプチドなどの分泌を抑制する.

5 栄養素の消化と吸収に関する記述である. 正しいのはどれか.
(1) 健常者での動物性たんぱく質の吸収率は, 約 95% である.
(2) フルクトースは, グルコースよりも吸収は速い.
(3) 脂質の吸収は, 糖質を多く含む食品を同時に摂取すると増大する.
(4) カルシウムの腸管吸収率は, 年齢による影響を受けない.
(5) 摂取した水分の大部分は, 胃で吸収される.

6 たんぱく質の栄養に関する記述である. 正しいのはどれか.
(1) 食後には, 筋肉たんぱく質の分解が促進されている.
(2) アミノ酸プールのアミノ酸は, 体たんぱく質の合成に利用されない.
(3) エネルギー摂取量が不足すると, アミノ酸の異化が亢進する.
(4) たんぱく質の栄養価の評価には, 化学的評価法と物理学的評価法がある.
(5) たんぱく質の生物価は, 摂取窒素量に対する体内保留窒素量の比率として求められる.

7 糖質の栄養に関する記述である. 正しいのはどれか.
(1) 食後は, グルコースが肝臓に取り込まれ, 利用が増大する.
(2) 赤血球は, 血中の遊離脂肪酸をエネルギー源として利用する.
(3) 肥満になるとインスリン抵抗性が低下し, 細胞へのグルコースの取り込みが促進される.
(4) 飢餓時には, 筋肉のグリコーゲンはグルコースに分解され血液中に放出される.
(5) 血糖値が低下すると, 脂肪酸を材料にして肝臓で正味のグルコース合成が起こる.

8 脂質の栄養に関する記述である. 正しいのはどれか.
(1) 食事直後には, 脂肪組織におけるトリアシルグリセロールの分解が亢進する.
(2) ケトン体は, 肝臓においてエネルギー源として利用される.
(3) LDLは, 肝外組織に遊離脂肪酸を輸送する.
(4) 脂肪組織からのレプチンの分泌は, 脂肪蓄積量が多くなると増大する.
(5) 小腸に分泌される胆汁酸の再吸収率は, 50% 以下である.

9 脂溶性ビタミンに関する記述である. 正しいのはどれか.
(1) ビタミンAは, ステロイド骨格をもつ.
(2) エステル型レチノールは, 遺伝子発現の調節に関与する.
(3) ビタミンEは, 体内に貯蔵されない.
(4) 乳児ビタミンK欠乏性出血症は, 母乳栄養児よりも人工栄養児に多くみられる.
(5) ビタミンKは, 腸内細菌によって合成される.

10 ビタミンAに関する記述である. 正しいのはどれか.
(1) オプシンは, シス型レチナールと結合してロドプシンとなる.
(2) 肝臓に貯蔵されるビタミンAは, 遊離型レチノールである.
(3) β-カロテンはプロビタミンAとも呼ばれ, 紫外線によってビタミンAとなる.
(4) β-カロテンの大量摂取は, ビタミンAの過剰症を引き起こす.
(5) 血清のレチノールは, アルブミンに結合した形で末梢組織へ運ばれる.

11 カルシウムに関する記述である. 正しいのはどれか.
(1) カルシウムは, 腸管でカルモジュリンの助けによって吸収される.
(2) 体内カルシウム蓄積量は, 幼児期に最大となる.
(3) カルシウムは, 経皮的には排泄されない.
(4) 血中カルシウム濃度が低下すると, 尿細管でのカルシウムの再吸収が抑制される.
(5) カルシウム摂取量や吸収量が不足すると, 血中カルシウム渡度が低下する.

12 水の出納に関する記述である. 正しいのはどれか.
(1) 1日の水分出納は, 飲料水と食物由来の水と代謝水とで保たれている.
(2) 水分代謝の調節は, 延髄にある血液浸透圧調節中枢が中心となっている.
(3) 細胞外液のpHは, 7.50 以上に維持されている.
(4) 水分欠乏性脱水症では, 細胞外液は低張になる.
(5) 塩分欠乏性脱水症では, 細胞外液は高張になる.

13 エネルギー代謝に関する記述である. 正しいものの組合せはどれか.
a 体重当たりの基礎代謝量は, 成人に比べて小児の方が高い.
b 身体活動レベル1では, 基礎代謝量は全エネルギー消費量のうち約 40% を占めている.
c 食事誘発性熱産生によるエネルギー代謝量は, 総エネルギー摂取量の 40% である.
d 呼吸熱量計は, ヒトの間接的エネルギー測定法の一つである.
(1) aとb (2) aとc (3) aとd (4) bとc (5) cとd

基礎栄養学 実戦問題F 第9回 解答と解説 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

1=(1)
(1) 正 ラボアジェは, 呼吸が燃焼と同じ現象であることを見出した.
(2) 誤 ローズは必須アミノ酸を実験的に証明し, 8種類のアミノ酸の必要量を決定した.
(3) 誤 高木兼寛は航海中の食事改善で脚気を激減させ, ビタミンB1発見の糸口をつけた.
(4) 誤 江戸時代のわが国で流行した 「江戸患い」 とは, 今日の脚気のことである.
(5) 誤 高峯譲吉は, アドレナリンの抽出と結晶化や, タカジアスターゼの抽出に貢献した.

2=(5)
(1) 誤 日本人は欧米人に比べてアルデヒド脱水素酵素2型の非活性型が多く, 酒に弱い.
(2) 誤 遺伝子の多型は, 次の世代に遺伝する.
(3) 誤 生活習慣病の発症は, 通常複数の遺伝素因と環境要因の両方が作用して引き起こされる.
(4) 誤 遺伝子多型は先天的に1つの遺伝子のなかに複数生じた変異であり, 食習慣では変わらない.
(5) 正 遺伝子1塩基多型 (SNP) は個人間における1個の塩基の違いによるもので, 表現型に影響を与えない場合が多い.

3=(5)
(1) 誤 食道は, 咽頭に続いて胃の噴門にいたる臓器である.
(2) 誤 塩酸を分泌する壁細胞には, ガストリン受容体が存在する.
(3) 誤 大腸粘膜には, 絨毛は存在していない.
(4) 誤 小腸で吸収した遊離の短鎖脂肪酸や中鎖脂肪酸は, 上腸間膜静脈から門脈を経て, 肝臓に送られる.
(5) 正 肝臓は, 血液量の調節, 血圧の調節, 抗貧血因子の合成, 鉄の貯蔵などを行っている.

4=(5)
(1) 誤 ガストリンは, 胃のG細胞から内分泌される.
(2) 誤 酸性の胃内容物が十二指腸に入ると, 十二指腸のS細胞からセクレチンが内分泌される.
(3) 誤 セクレチンは, 膵液 (炭酸水素イオン) の分泌を促進する.
(4) 誤 コレシストキニンは, 膵液 (消化酵素) を分泌させる.
(5) 正 膵臓のランゲルハンス島D (δ) 細胞から分泌されるソマトスタチンは, インスリン, グルカゴン, ガストリン, セクレチン, 胃抑制 ペプチドなどの分泌を抑制する.

5=(1)
(1) 正 健常者での動物性たんぱく質の吸収率は, 約 95% である.
(2) 誤 能動輸送で吸収されるグルコースの吸収速度は, 促進拡散で吸収されるフルクトースの吸収速度よりも速い.
(3) 誤 脂質の吸収は, 糖質を多く含む食品を同時に摂取しても増大することはない.
(4) 誤 カルシウムの吸収率は, 年齢, 摂取量や生体の要求量, 他の食物成分等に影響される.
(5) 誤 摂取した水分の大部分は, 小腸および大腸 (特に小腸) で吸収される.

6=(3)
(1) 誤 食後, 筋肉では, インスリンによりたんぱく質合成が促進される.
(2) 誤 たんぱく質の合成には, アミノ酸プールのアミノ酸が利用される.
(3) 正 エネルギー摂取量が不足すると, アミノ酸の異化が亢進し, 炭素骨格からの糖新生が亢進する.
(4) 誤 たんぱく質の栄養価の評価法には, 化学的評価法 (アミノ酸スコア) と生物学的評価法 (生物価) がある.
(5) 誤 たんぱく質の生物価は吸収窒素量に対する体内保留窒素量の比率として求められ, 消化率は考慮されていない.

7=(1)
(1) 正 食後は, 肝臓や筋肉ではグリコーゲンの合成や脂肪酸合成が亢進する.
(2) 誤 赤血球は, グルコースを唯一のエネルギー源として利用する.
(3) 誤 肥満になるとインスリン感受性が低下し, 細胞へのグルコースの取り込みが抑制される.
(4) 誤 筋肉に貯蔵されたグリコーゲンはグルコース (血糖) にはならず, 筋肉のエネルギー源として利用される.
(5) 誤 空腹時や飢餓時に肝グリコーゲンが枯渇しても, 脂肪 (脂肪酸) から糖新生が起こることはない.

8=(4)
(1) 誤 食後は, 脂肪組織や筋肉でのトリアシルグリセロールの合成が亢進する.
(2) 誤 ケトン体は肝臓で合成されるが, 肝臓はケトン体を利用することができず, 脳や骨格筋で利用される.
(3) 誤 LDLは肝臓で合成されたコレステロールを運搬するリポたんぱく質で, コレステロールを最も多く含む.
(4) 正 レプチンの分泌量は, 脂肪蓄積量が多くなると増大する.
(5) 誤 十二指腸に分泌された胆汁酸は, ほとんどが小腸下部から担体を介して再吸収されて再利用される.

9=(5)
(1) 誤 ビタミンDは, ステロイド骨格をもつ.
(2) 誤 レチノイン酸は, 細胞内の受容体と結合してDNAからのmRNAの転写を調節する.
(3) 誤 成人では, 脂肪組織に大量のビタミンEが貯蔵されている.
(4) 誤 正 乳児ビタミンK欠乏性出血症は, 人工栄養児よりも母乳栄養児に多くみられる.
(5) 正 ビタミンKは, 腸内細菌によって合成される.

10=(1)
(1) 正 ビタミンAアルデヒド (シス型レチナール) は視たんぱく質のオプシンと結合してロドプシンを形成し, 暗順応に関与する.
(2) 誤 ビタミンAは, 脂肪酸エステル型レチノールとして肝臓に貯蔵される.
(3) 誤 プロビタミンAであるβ-カロテンは, 小腸粘膜や肝臓で必要量だけビタミンAに変換される.
(4) 誤 β-カロテンを過剰に摂取しても, 過剰分は上皮組織とともに排泄されるため, 過剰症はないと考えられている.
(5) 誤 血中では, ビタミンAはレチノール結合たんぱく質と結合して運搬される.

11=(5)
(1) 誤 カルシウムは, 腸管でカルビンディン (カルシウム結合たんぱく質) の助けによって吸収される.
(2) 誤 体内カルシウム蓄積量は, 思春期から20歳ごろまでに最大となる.
(3) 誤 カルシウムは, 尿中にも汗中にも排泄される.
(4) 誤 血中カルシウム濃度が低下すると, 尿細管でのカルシウムの再吸収が促進される.
(5) 正 カルシウム摂取量や吸収量が不足すると血中カルシウム渡度が低下し, 筋肉の緊張が高まってテタニーを起こす.

12=(1)
(1) 正 代謝水は, 飲水と同様に 「体内に入った水」 と解釈される.
(2) 誤 間脳視床下部の血液浸透圧調節中枢によって, 水分代謝が調節される.
(3) 誤 細胞外液のpHは 7.35~7.45 の非常に狭い範囲に維持されている.
(4) 誤 通常の発汗では電解質よりも水分の喪失の方が大きいため, 細胞外液が高張となる高張性脱水 (水欠乏性脱水) が生じる.
(5) 誤 激しい発汗では水分よりも電解質の喪失の方が大きいため, 細胞外液が低張となる低張性脱水 (塩欠乏性脱水) が生じる.

13=(3)
a 正 基礎代謝基準値 (体重あたりの基礎代謝量) は, 1~2歳で最大となり, 加齢により低下する.
b 誤 身体活動レベル1では, 基礎代謝量は全エネルギー消費量のうち約 67% を占めている.
c 誤 食事誘発性熱産生によるエネルギー代謝量は, 総エネルギー摂取量の約 10% である.
d 正 呼吸熱量計は, ヒトの間接的エネルギー測定法の一つである.

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昨日お知らせしましたが, 今回をもって, 26回国家試験対策を終了いたします.

このブログでは, 同じ選択肢を, 手を変え品を変え, 繰り返し繰り返し出題してきました.

いわゆる 「反復学習」 です.

このブログで勉強してきた人は, 生化学と基礎栄養学に関しては模試の得点率が上がったと思います.

あと2日, 最後の見直しをして, 万全のコンディションで国家試験に臨んでください.

今後の予定ですが, 数日間お休みをいただき, 来週後半には26回国家試験の生化学と基礎栄養学の解説を載せたいと思います.

そのあとは, 連休明けあたりから, 27回の対策をボチボチと始めて行きます.

みなさんはもうこのブログを見る必要はないと思いますので, 後輩の方々にご紹介いただければと思います.

では.