最近お気に入りのゲレンデがある。
その雪質、規模はもちろんのこと、
何よりも徹底した顧客サービスが目立つ。
それが、福島県にある「アルツ磐梯」。
「アルツ磐梯」は、
実は、一度無くなりかけたスキー場だ。
1993年にオープンしたこのスキー場、
バブル期の開発投資の資金回収が進まずに
2002年10月に当時の運営会社(磐梯リゾート開発)は、経営破綻となる。
その負債額は、約950億円。
しかし、救世主とも言える
現在の運営会社によって買収され、復活への道を歩むことになる。
その新たな運営会社こそが、
軽井沢の星野温泉五代目である星野佳路氏率いる
「星野リゾート」だった。
“リゾートの達人”“リゾート再生請負人”の異名を取る同氏は、
「破綻の原因はマーケティングの欠如」とし、
“完全顧客志向”を目指し、新たな「アルツ磐梯」を創っていった。
客の上達をサポートする為に細かな段階別のスクールを展開。
しかも、各々に設定したレベルまで上達しなければ、
料金を返却するというものだ。
また、食堂では、その目玉として“おいしさ保証付きカレー”を展開。
「アルツ磐梯」のレストランのメニューは、どれも本当に美味しい。
靴を脱いでスリッパにて寛ぎながら、
本格的なフレンチを愉しめるレストランまである。
こうした星野リゾートによる第二の創業により、
たった3年間で、スキー場は、黒字化に成功。
現在では、人気のある本当に魅力あるゲレンデとなった。
特に“スノーボードの聖地”と豪語する程、
SnowBoardでは、魅力的。
計5種類ものレベル別パークがあり、
「X-Trail Nippon Open」などの世界的SnowBoardイベントも開催されている。
また、スクールもグランドトリック、ジブ系、キッカー、ハーフパイプといった
中級者以上のクラスも充実している。
フリーライディングに飽きたスノーボーダーには、
ぜひおすすめのゲレンデだ。
もちろん初心者にもおすすめ。
たった2時間のスクールにて、ターン習得を保証してくれる。
こんなスキー場は、他には無い。
今回、「アルツ磐梯」を訪れて、一番印象的だったのは、
従業員の方々が、自ら楽しみながら、客を楽しませるサービスを展開していることだ。
MCはなぜかお笑い調であるし、
リフトの従業員に至っては、宴会用のメガネ(目が書いてあるもの)をかけながら、
こちらを見ては、口だけニヤリ。
本当に楽しい。
「アルツ磐梯」は、福島県にあり、
上越方面のスキー場と比べると、確かに少し遠いが、
一度は足を延ばしてみる価値のあるゲレンデだ。
温泉や宿泊施設も豊富。
少し足を延ばせば、喜多方にてラーメンも堪能出来る。
行ったことのない人は、ぜひ一度お試しあれ。
日帰りも可能な距離であることも、また魅力的。
おすすめです。
「アルツ磐梯」
http://www.alts.co.jp/
ロックフェラーセンター。
村上隆。
というアーティストを知っているだろうか。
六本木ヒルズのキャラクターデザインを手掛けたことでも有名。
ルイ・ヴィトンとのコラボでは、世界を驚かせた。
世界的に活躍する日本を代表するアーティストの一人。
その独特の色使いと
宇宙人のような不気味だが愛らしいキャラクター達が人気。
不思議な魅力があるアーティストだ。
その村上隆が、ビル全体を作品にした。
一昨年、NYのロックフェラーセンターを訪れた時が、まさにその瞬間だった。
煌びやかなネオンが照らすNY。
その中心に存在し、一際存在感を放つそのビルは、
まさにNY、つまりアメリカの象徴そのものだ。
この時、鮮やかな村上作品に彩られたロックフェラーセンターは、
より一層の存在感を示していたように思う。
このロックフェラーセンター。
実は、今から17年前に日本企業のものだった時期がある。
それは、かのバブル期。
円高が進む中、日本企業は海外へ積極的な投資を進めていった。
それは、アメリカの不動産購入へも波及。
そうした流れの中、ロックフェラー一族の意思にて当時売却に出された
ロックフェラーセンター(計14棟)の買収を三菱地所が実行する。
昨日、その時の逸話を綴ったドキュメンタリー番組の再放送があった。
その中での話によると、当時の買収額は、日本円にして2,200億円。
現在の感覚でしか認識出来ないのだが、正直驚く金額だった。
そして、驚くべきは当時のアメリカでは、すでに不動産が「流動化」していたことだ。
不動産の「流動化」とは、
不動産が一つの金融商品となっていることを意味する。
文字通り動かないはずの不動産だが、その不動産が生み出す収益性を元に
資金を不動産へ投資する仕組みが出来ていたということだ。
つまり、アメリカでは、当時から不動産は一つの金融商品だったのである。
NYのビルが、全てお金で買える商品だったと考えればわかると思う。
近年、この概念は、日本において定着化してきた。
アメリカでは、20年近くも前からすでにこうした概念が定着化していたことは、
驚きだった。
そして、三菱地所は、
「土地を保有していれば、その価値は上がり、結果は出る」
そうしたバブル期の日本的概念により、
当時のロックフェラーセンターを破格の値段で購入した。
その結果は、1995年の12棟の債権者譲渡という形で幕を閉じる。
つまり、三菱地所は、購入からわずか6年にて、
ロックフェラーセンターを手放したのである。
それは、不動産の「流動化」による金融的概念に欠けたことでの
日本企業の敗北だったかもしれない。
今、三菱地所は、丸ビルを皮切りに丸の内の再開発を進めている。
オフィルワーカーしか見られなかった丸の内は、
見事にファッションやグルメが揃った活気のある街へと変貌した。
本業である不動産事業に徹すること。
これが、当時の教訓であるという。
一等地へのこだわりは、変わらない。
しかし、ディベロッパーである三菱地所は、
その一等地での不動産開発にこだわり続ける。
それは、まさしく正しいと思うし、強く共感させられる趣旨だった。
このドキュメンタリー番組の締めは、
バブル期に海外進出にて対時した外資企業が、
今、逆に日本に乗り込み、まさに対時していることを示した。
それは、様々な国のマネーが入り込む大買収時代の到来であるとも述べていた。
金融の知識は、これから様々な分野で更に重要となってくる。
そうした強い実感とともにその勉強の必要性を感じる内容だった。
そして、何よりもこれまで日本企業が対時してきた世界との戦いは、
非常に興味深いものだった。
今回のドキュメンタリー番組は、NHKスペシャルの再放送。
シリーズものなので、また次回もぜひ見てみたい。
ちなみに今回は、SONYが映画事業再建とともに経てきた
日本的家業経営からの脱却ももう一つのテーマとしてあった。
このテーマも非常に興味深く、面白かった。
次回もぜひ期待したい。