昭和歌謡のレジェントが亡くなられた。
しかも二人続けて。
一人は中村泰士さん。ちあきなおみの『喝采』の作曲者。
一人はなかにし礼さん。北島三郎の『まつり』の作詞者だ。
なかにし礼さんと中村泰士さんのコンビで作ったのが、細川たかしの『心のこり』と『北酒場』。
『心のこり』ってタイトルだけ言われてもピンとこないだろうが「わたしバカよね おバカさんよね」ってフレーズを耳にしたら「その曲なら知ってる」ってなると思う。ただし50歳以上に限定されるけど。
昭和の歌謡曲(演歌含む)ってのは3種類のパターンで出来ている。
一つはイントロ及び出だしでインパクトってタイプ。
この『心のこり』にしても、出だしのフレーズは知っててもそのあとの歌詞はなんだったっけ?ってくらいの曲も多い。
なかにし礼さんの作詞曲で言えば朝丘雪路さんの『雨がやんだら』や、菅原洋一の『今日でお別れ』なんかもそうだな。
中村泰士さんの曲なら桜田淳子の「私の青い鳥」だな。「ようこそここへ クッククック 私の青い鳥〜」の次が出てこない・・・。
当時の歌はそんなのが多い。
「会う時にはいつでも他人の二人」とか「あなたが噛んだ小指が痛い」とか「雨に濡れながら佇む人がいる」とかね。「そうよ私は蠍座の女」ってのもある。
由紀さおりの『夜明けのスキャット』なんかは「ルールールルル〜 ルールールルル〜」がインパクト強すぎて、肝心のその次からの歌詞を知らない人も多い。山本リンダの「ウララ〜うらら〜うらうらら〜」も怪しい。
一つはサビしか知らないってパターン。
90年代のテレビ主題歌でヒットした曲はこれが多いよね。カラオケでもサビ聴くまで「何(誰)の曲?」って感じでサビに来たら「あぁ知ってる〜」ってなるやつね。
だから出だしにサビをいきなり持ってきて、その後からAメロって編曲が一時多かったね。これされちゃったからこの世代以降の曲は「スーパーウルトライントロクイズ!ドレミファドン」が成り立たないんだよね。
そしてもう一つは1曲通して物語になってるパターン。
紅白歌合戦とか歌番組でよくやる、一番だけ&サビ繰り返しとかだとダメな曲ね。歌詞全てでストーリー(世界観)があるんだから。
一時期フォークソングやニューミュージックのアーティストが、テレビの歌番組の出演拒否をしてたのがこの理由ね。(だから俺はツギハギのメドレー曲はもっと嫌いだ)
中村泰士さんの作曲した『喝采』なんてまさにそうね。
いつものように幕が開き 恋の歌を歌う私の元へ 黒い縁取りの知らせが届く。三年前に 止めるアナタを駅に残して動き始めた汽車に一人飛び乗った。ひなびた町の昼下がり 教会の前で喪服の私は 祈る言葉さえ無くしてた。
一番の歌詞だけでここまで描いてる。この世界観を見事に描いた詞(吉田旺)もすごいが、曲に乗せた中村泰士さんもすごい。何よりそれを歌いこなしたちあきなおみがすごいんだけどね。他の人が歌ってもこうはならない。
10月に亡くなられた筒美京平さんとなかにし礼さんのタッグで一曲。
TOKIOの『AMBITIOUS JAPAN』。
山口メンバーの飲酒運転騒動で再結成とかは無理だろうけど、長瀬智也が来年3月で脱退するんだ。特別枠で出場ってどうだ?演奏しなくても映像だけでいいのでは。
ジャニーズではSnow Manが出場辞退するんだろ?宮舘涼太の新型コロナ感染に伴い、メンバーが濃厚接触者と判断されたのだから仕方がない。その枠が空いてるだろ?無理か?TOKIOが嫌がるか。
天童よしみはSnow Manに腹筋太鼓乱れ打ちをさせるコラボ企画だったみたいだが、それがダメになった今、『喝采』を歌ってはどうか。
肝心な時に細川たかしも出場していない。急遽サプライズで出場してもらったらどうだ。『北酒場』でも『心のこり』でもいい。
ついでにサブちゃんも登場させちゃえ。もちろん曲は『まつり』だ。えっ紅白卒業したって?いいやん、遊びに来たって。紅白歌合戦なんかお祭りなんだからさ。
ユーミンが出るとかさだまさしが出るとか、誰が見たいのかよくわからんサプライズより、よっぽど世の中の中高年は喜ぶと思うぞ。
ユーミンなんて旦那の松任谷正隆氏曰く「彼女は自分の声量声域を超えた曲を作ってしまう」のだからな。ユーミンの生歌は中居くんの生歌と同じくハラハラものだぞ。しかも歌う予定は『守ってあげたい』。危険だ。
ついでに近藤真彦も呼んできて、郷ひろみと同じく筒美京平トリュビュートメドレーを唄わすってどうだ。少年隊も呼んできて『デカメロン伝説』で・・・。しつこいな、もういいか。
なかにし礼さんの本で『兄弟』という作品がある。一攫千金の鰊漁投資など金に無頓着な兄のことも綴った本だが、実写化されてドラマになった。
北原ミレイの『石狩挽歌』の元になった逸話が詰まった本もいいけどドラマもまた傑作なのよ。
ビートたけし演じる兄がうまいんだ。金をせびりに豊川悦二演じるなかにし礼のところに来るのだが、そのクズっぷりがね。
ほとほと愛想をつかしてるのに断りきれない豊川悦二の苛立ちも伝わってくる。
機会があったら是非見てくれ。ちなみに実写ドラマ化された時のタイトルは『兄弟〜お兄さんお願いだから死んでくれ〜』だ。
亡くなってすぐに不謹慎でごめん。