せんだい進行形>タピオカ熱どこまで 専門店続々「作る派」も出現、爆発的需要に流通関係者悲鳴
買ったばかりのタピオカドリンクの写真をスマートフォンで撮る女性客=仙台市青葉区
街行く女性の手にタピオカドリンク、そんな光景を仙台圏でも目にするようになった。今年に入って仙台市内に専門店が相次ぎオープン。ツイッターやインスタグラムに投稿したり、自分で作ったりと楽しみ方は広がる。1990年代初頭、2000年代後半に続く第3次タピオカブームといわれ、爆発的な需要の高まりの中、流通関係者は安定量の確保に四苦八苦している。(報道部・古賀佑美)
■多彩なメニュー
青葉区のサンモール一番町商店街内の商業施設「シリウス・一番町」に5日、タピオカドリンク店「天使島(ティアンシダオ)」がオープンした。近くの中華料理店が新業態に挑み、中国の大手業者から直接、タピオカを仕入れる。
初日に訪れた青葉区の大学生桑島凜さん(19)は早速、スマートフォンで写真撮影。「タピオカをツイッターに投稿すると、いつもより反応が良いんですよ」と笑顔で話した。
シリウスの出店企画に携わるミームプランニング(東京)の近藤圭介社長は「食はファッション化し、着るものより食べるものに価値を見いだす若者が多い。タピオカはその象徴だ」と分析する。
今年、市中心部にはタピオカドリンク専門のスタンドが少なくとも5店開店し、秋にかけても複数の出店が控える。大粒のタピオカの歯応えや、本場の茶葉を使った多彩なメニューがリピーターを呼ぶ。
■料理教室が人気
買って飲むだけでなく、自分で作って楽しもうと、同市の国際交流団体「ハロー ワールド」は7月、タピオカ料理教室を若林区の荒町市民センターで開いた。約20人が参加し、原料のイモの一種キャッサバの粉を使い、生地作りから学んだ。
参加者は協力してキャッサバ粉と煮詰めた黒糖を混ぜた後、生地を一粒ずつ丸めてタピオカパールに。熱湯で約30分煮てミルクティーに混ぜ、完成させた。
参加した宮城野区の会社員矢部遥奈さん(24)は「自分で作るとよりおいしい。友人と自宅でタピオカパーティーをしたい」と満足げ。講師を務めた泉区の大学生宮代佳典さん(22)は「台湾では家庭の味として親しまれている。食文化を知る機会になればうれしい」と語る。
需要が膨れ上がる一方で、供給体制が追い付いていない現状もある。スーパーの関係者は「全国から注文が殺到している。首都圏に入荷が集中し、東北にまで回ってこない」と語る。 取扱量が100倍に
東北のイベント会社や飲食店にタピオカを卸す仙台市の業者によると、今年の取扱量は昨年の約100倍。中国産の冷凍タピオカを複数の商社からかき集めているが、同種の商品を安定して確保するのが難しい状況だという。
ブームはどこまで続くのか。仙台を含む全国約30カ所にタピオカドリンク専門店「ブル プル」を展開するJ・J(川崎市)の忠岡鴻謹(ひろよし)社長は「台湾では街のスタンドで毎日買って飲むほど習慣になっている。一過性のブームで終わらせず、ドリンク文化を日本に根付かせたい」