Google+だけじゃない、Googleが打ち切ったサービスの数々
米Googleが10月8日、一般ユーザー向けのソーシャルネットワークサービス(SNS)Google+のサービスを終了すると、公式ブログの中で発表しました。世界最大のSNSであるFacebookの対抗馬として登場したGoogle+ですが、その閉鎖にネットで衝撃が走りました。
◆Google+が終了するのは、2019年8月末
サービス終了の理由として同ブログでは、Google+の利用率が低く、ユーザーセッションの90%が5秒未満であると説明。「エンジニアリングチームは長年にわたりGoogle+を構築するために多くの努力と献身を払ってきましたが、消費者や開発者の幅広い採用を達成できなかった」と、その失敗を認めました。
これまで投稿したデータを移行する方法などは、後日改めて発表するとしており、利用していた人は注視する必要があります。
ただ、一般ユーザー向けのサービスが終了するというだけで、Google+は、今後は企業向けのソーシャルネットワーキングサービスとして新しい機能が追加されるとのことです。
◆50万人分のユーザー情報が流出。なぜ今、公表?Google+のサービス終了は、同社の「Project Strobe」という、Googleアカウント、Android端末のデータへのサードパーティー開発者のアクセスのレビューの一環として発表されたものです。
そのなかで、Google+に登録されたプロフィールに不正にアクセスできるバグを2018年3月に把握していたことを公表しました。最大で50万人のユーザーの「氏名」「メールアドレス」「生年月日」「性別」などの非公開情報が流出した可能性があります。Googleは、このバグに気付いた開発者も、データが悪用された形跡もないとしていますが、この一件が閉鎖の理由の一端なのでは、との見方が広まっています。
◆AKBグループがGoogle+普及に寄与するも…
日本では、Google+のプラットフォームを利用して、AKB48やその姉妹グループ、SKE48、NMB48、HKT48のメンバーとファンが交流したことが広く知られるきっかけになりました。
Google+を利用している数百人のメンバーが、その活躍ぶりによって選ばれた「ぐぐたす選抜」というグループも結成され、CM出演や、CMソングが作られるなど話題になりました。
日本におけるGoogle+の普及に一役買いましたが、それでもユーザー数を伸ばすことはできず、AKB48のメンバーも現在はTwitter、Instagram、755やSHOWROOMなどを利用してファンと交流するようになっています。
◆Googleが過去に終了させたサービス
Googleはこれまでも提供していたサービスの採算が取れないとなると、早々にサービスを終了させてしまったり、他のサービスに再編したりすることが少なくありませんでした。Googleが終了させたサービスの一部を紹介します。かつて自分が愛用していたサービスもあるのではないでしょうか。
■Google リーダー
2007年に登場したフィードリーダーです。当時はTwitterも今ほど浸透しておらず、キュレーションアプリも無かったため、情報収集ツールとして人気のサービスでしたが、2013年にサービスが終了しました。その理由をサービス利用者の減少だとしています。
■iGoogle
iGoogleは、自分に必要な情報をまとめたページを簡単にカスタマイズできるスタートページです。天気予報やカレンダー、ニュースヘッドラインなど、自分に必要な情報を自由に追加することができ愛用者も少なくありませんでしたが、ChromeやAndroidの台頭により2013年にサービスが終了しました。
■Googleデスクトップ
ローカルディスクおよび指定したネットワークディスク上にあるファイルに対するテキスト検索が行えるデスクトップ検索ソフトウェアです。メールや、ファイル、メディア、ウェブ履歴、チャットなどを検索することができましたが、同等の検索機能がOSに組み込まれたことや、クラウド環境になりつつあることを理由に2011年にサービスが終了しました。
■Google Latitude
スマートフォンの位置情報を共有することができるサービスとして2009年にリリースされましたが、2013年にサービスが終了し、その機能はGoogle+に統合されました。その後2017年にGoogle+からGoogle Mapsに機能が組み込まれることになりました。
■Inbox by Gmail
多くのビジネスマンにとって必要不可欠になっているのがGmailです。大量のメールをやり取りする人が多くなったことを受け、ヘビーユーズの利用を念頭に設計されたサービスで、当初は招待制でユーザーが募集され大きな話題になり愛用者も少なくありません。2014年にリリースされたサービスですが、Inbox by Gmail は2019年に提供が終了し、Gmailと統合することが決定しています。
◆Google依存のユーザーは要注意?
そのほかにも、写真管理ソフトウェアの「Picasa」を「Googleフォト」に一元化したり、「Googleドライブ」を「バックアップと同期」に統合したりするなど、Googleはサービスの再編を頻繁におこなっています。なかにはユーザー数の減少に伴い、サービスそのものが消滅してしまうケースもあります。
現代を生きる私たちにとってGoogleは無くてはならないインフラとなっています。しかし、Googleは一民間企業であり採算が見込めないとなるとサービスを打ち切ることは少なくありません。
また、悪用された形跡は見つからないとしながらも、個人情報を漏えいさせ、それを3月に把握しながら現在まで公表しなかったことも事実で、これは隠蔽とも取られかねません。Google+終了の一件は、一民間企業に個人データを預けそのサービスに依存することの危険性を私たちに示唆したと言えるでしょう。