韓国>李元大統領の逮捕状発付 収賄容疑など
毎日新聞
【ソウル大貫智子】ソウル中央地裁は22日、韓国検察が収賄容疑などで請求していた李明博(イ・ミョンバク)元大統領の逮捕状を発付した。大統領経験者の逮捕は4人目で、昨年3月に収賄容疑などで逮捕された朴槿恵(パク・クネ)前大統領以来、1年ぶり。
李氏は2008~13年在任。在任中に情報機関の国家情報院(国情院)から約7億ウォン(約7000万円)の裏金を当時の高官を通じて受け取った疑いがもたれている。また、李氏が実質的に所有していたとされる自動車部品製造会社「ダース」の米国での訴訟費用をサムスン電子に負担させ、見返りにサムスン電子会長に恩赦を与えた疑惑などもある。収賄額は約110億ウォン(約11億円)、生み出した裏金は約350億ウォン(約35億円)に上るとされる。聯合ニュースによると、逮捕状に記載されたのは収賄容疑のほか横領や脱税など12の容疑で追加捜査次第で約20まで増える可能性があるという。
李氏は検察の聴取で容疑の大半を否認。検察は、収賄の規模が巨額であることや、証拠隠滅の恐れがあるなどとして19日、逮捕状請求に踏み切った。これを受けて地裁は当初、22日に逮捕状発付の可否を判断する審問を開く予定だったが、李氏は「聴取で立場を十分明らかにした」として出席しない意向を表明。このため地裁は審問中止を決め、書類審査のみで判断すると決定した。
保守系の李氏側は、革新系の文在寅(ムン・ジェイン)政権による政治報復と主張している。しかし李氏に対する世論は厳しく、22日、李氏の自宅周辺には支持者もほとんどいなかった。